Mari |うつくしいものを求めて
私のフランスの記憶たち
これは一番最初に書いたnote。 ずっと下書きに眠っていたからそろそろ成仏させなければ、と思い、最後の推敲を行う。奇しくもメンタルヘルスデーだし。 これは私の話だけど、きっと私みたいな人はたくさんいるはず。 疲れてしまっても頑張り続け、もうダメだ、というところまでいった時の話。3年前の話。 ❖ おかしいかも最初の気づいたのは夏頃、気分がすっきりしないなぁぐらいだった。 そこから少しずつ考えるのが億劫になっていって凡ミスが増え、ふとした時に泣きたくなるような日々が増えていっ
夏が過ぎて行った。始まった時と同様に、急激に。 浴衣のシーズンももう終わり。 今年の夏は浴衣色に染まった夏だった。 浴衣を手に入れる 浴衣がほしいなぁ、とぼんやり思い始めたのはそれこそ、去年の夏ぐらいから。巷のお店で色々なものを見るけれど、かわいすぎる柄は好みじゃないし、だからと言って百貨店で売っているものは高すぎて買えないし、そもそも店にも入りづらいし… なので困った時の母頼み、と母に相談してみた。母なら絶対に何かヒントをくれる。 「ねぇ、浴衣を着たいと思ってるんだけ
今年も5月25日がやってきては過ぎて行った。この日はあおいの誕生日。あおいは私の友人でもないし、なんなら実在する人間でもない。 あおいは私が今までで最もよく読んだ本の主人公の名前。 私をフィレンツェの大聖堂(=ドゥオモ)まで呼び寄せた人。 私の好きな本と、その主人公を追体験した話。 § 20年以上前に「冷静と情熱のあいだ」いうラブストーリー本が発売され、ベストセラーとなった。女性側の視点を江國香織、男性側の視点を辻仁成が描くことで2冊で1冊、まるで合わせ鏡のような構成の
本日、都内は花散らしの雨。 これを機に1年ほど下書きに眠っていたこの話を書き切りたい。 30年ばかし生きてきたが、桜というものが好きではなかった。 「なぜ?」といろんな人に聞かれるし、それなりに納得感のある理由はいくつかあった。けど、それらの理由が桜をここまで毛嫌いするほどの理由ではないような気がしていて、実は自分自身、ずっと不思議に思っていた。 それがやっとここ1-2年で氷解した。 桜が好きじゃなかったのは、表面的な理由に隠れて別のところに本当の理由があったから。これは
前回、「マダムたちよ、永遠なれ」という記事を書いた。マダム=素敵なフランス人女性、とイメージするけど、フランス人女性でなくても素敵な女性はたくさんいるし、素敵な女性の総称として「マダム」と言いたい時もある。 記憶の片隅にある素敵なマダムが忘れられなくて、感謝と賞賛の気持ちを込めて手紙を書いてみた。 拝啓、真冬日に出会った眩しいマダムへ
Liberté, Égalité, Fraternité (自由、平等、博愛) フランス革命時に作られ、今もフランスの背骨となっている標語。けれど、私はここにもう一つ加えたい。Liberté, Égalité, Fraternité, Madame、と。そう、マダムたちを付け加えたいのだ。だって彼女たちは本当にイケてるから。 以前、マーマレードを渡してくれたマダム(正統派マダムの場合参照)の話はしてしまったけど、他にも私が出会ったマダムたちの話をしたい。 マダムとの出会
年も明けて早1ヶ月(うそでしょ..)。2021年の年明けは、突然に止まったしまった世界がそろそろ動き出すのでは、という淡い期待も持っていたけれど、さすがに2年も続くと気持ちも変わってくる。与えられたゲームの中でプレイしていくしかない、という諦めのような、ルールのギリギリのところを攻めちゃうもんね、という好戦的なモードになってくる。 Disney+ 昨年のうちに色々とサブスクリプションの見直しを行ったので満を持して私も加入した、disney+。いわゆるディズニールネッサンス(
11月が、秋が、終わってしまった。私の一番好きな季節が。だからいつもやってるその月の振り返りじゃなくて、今年の秋を振り返ろうと思う。 秋といえば芸術の秋だったり、読書の秋だったり、食欲の秋だったりと社会は長期休暇のないこの時期に経済停滞を防ぐべく、購買意欲を煽ろうとやたら”xxの秋”というフレーズをつけたがる気がする。 とはいえ、常に芸術や本や食べることに対して貪欲な私にとっては別に秋であろうがなかろうか、通常運転である。芸術には接するし、本は読むし、食べる。どれも好きだ
※ヘッダー画像はAnsel Magnus Hirschhaeuserという名のアーティストの作品です 旅の記憶目的で書き始めたnote、気づけばそれ以外のことも書いてしまっているけど、とりあえずnoteは続けることが大事、ということを自分に言い聞かせ、ちょうど2年前に思いを馳せる。その時にいたのは、オーストリアはウィーン。 ウィーンといえばハプスブルク家、そしてコーヒーハウス文化。サーヴされるコーヒーは種類も様々だし、サーヴしてくれるウェイター(=ケルナー)の動きの美しさ
8月が終わったあとはちゃんと振り返りnote書けたからちゃんと習慣づけよう、って軽く思ってた私が甘かった。9月が終わって1日、2日、3日と経つ毎に、書かなきゃという気持ちの下からめんどくさいという気持ちがムクムク沸き起こり、めんどくささに完敗。自分の継続力のなさに少し嫌気が差すも、まぁそんなものと思った先月の振り返り。 晩夏のような日差しから始まった10月も終わるころには初冬なんじゃないかという冷え込み。でもそんな中でのほんの数日は秋って最高だよね、と思えるような天気の日が
旅をするのも好きだけど、本を読むのも好き。だって自分の知らない世界の中で揺蕩うという意味だとどっちも同じじゃない? この本を読んでいる間、開けてある窓から秋雨がさぁぁっと聞こえる日本の部屋の中にいるはずなのに、時折雨音が消え、バイクや車のクラクション、埃と人と香辛料の匂い、トーンが高めの耳慣れない言葉が聞こえてきた。だから、読書は旅。 このnoteはバングラデッシュへ行った時の(≒バングラデッシュの本を読んだ)話。 § バウルを探して、という本がある。ユネスコ無形文化遺
ビジネスフォーラムをバリ島の某ホテルでやりたいんだ いつも突飛な要望を出すパートナー企業だからワガママには慣れてるが、正直これは度が過ぎると思った。リゾート地で仕事なんてできる訳ないだろ、と心の中で盛大にツッコみながらあくまでも顔はにこやかに「できたらいいですね」と曖昧な返事をした。 でも待てよ。先方の無茶を聞き入れたら、それはつまり私もバリに行けるってこと…? やっぱサラリーマンだし、先方の言うこと聞かないとよね。 ということで、先方がどうしてもって言うんです、とパー
気づくと毎日毎日が繰り返しのようになっていて、今が4月なのか7月なのか8月なのか分からなくなってしまう。だから、自分が触れたもの、感じたもの、忘れないように、8月を振り返ってみた。ちゃんと8月も生き抜いた、えらいぞ私。 ワクチン幸運なことに住んでいる自治体では大規模接種会場が設置されたので、予約開始日と同時に8月中に1回目と2回目の予約を完了。以下は参考も兼ねて備忘。30代女性、基礎疾患なし、ファイザー接種。 1回目:19時半に打ち、翌日は微熱。ピークは接種後18時間後で
冷蔵庫を整理していて、奥の方にマーマレードがあったことに気づく。 陽の光を凝縮したような色と味が好きで、特に夏場はついつい買ってしまうマーマレード。それを見つめながら数年前に出会ったマダムを思い出す。 パリのairbnbでホストしてくれたマダム。 人に読ませる程のものでもないけど、私にとって忘れたくない話。 § 家は高級住宅街と言われるパリ16区。空港からのタクシーを降りると、すぐそこにエッフェル塔が見える。フランスと言ったら思い浮かぶような、真っ白な壁に青の屋根がずら
”したい”という気持ちには旬があると思っている。待ち焦がれることも素敵だけど、でも私はできるだけやりたいとか、行きたいとか、ほしいとか思った時に手を伸ばすようにしている。 そのうちいつかと思っていると、その旬は過ぎ去り、熟し過ぎてしまって、それが本当に”したいこと”のか、それとも”しなきゃいけないこと”になってるのか分からなくなってしまうから。 機会を奪われた昨今、なおさらそう思う。 それで思い出すのは、3年前に決行したフランスはニースの旅。友人とニースで待ち合わせするも
「趣味は海外旅行です」 今までは年1は海外に行っていて、「趣味は?」と聞かれると躊躇なくそう答えていた。が、そういう時代が終わりを告げ、早1年。ふとした瞬間に旅に行きたい!とした衝動に駆られるも、スマホをスクロールして消えていった数秒前の情報を覚えていないのと同じように、そんな衝動もすぐに過ぎ去っていく。 そしてここまでご無沙汰だと、果たして未だに趣味と呼んでいいのか少し疑問にすら思えてくる。 私、なんで旅するのが好きなんだっけ。。?改めて考えた。 *** 最後の海