VaaSスタートアップ発、起業家・投資家をピッチ動画で繋ぐ『GoToPitch』とは?
こんにちは、スタートアップ好き大学生のちゃんもも🍑です。
今回はScientist Page社が2021/06/24付でリリースを発表した、ピッチによるマッチングプラットフォーム『GoToPitch』について書きたいと思います。
(記事最後に各種プレスリリースURLを添付しています)
先日オフィスにお邪魔し、その使い方と今後の展望について伺ってきたので詳しく説明をしていきたいと思います。
『GoToPitch』とは
(本セクション内の画像はTechCrunch記事からの引用です)
『GoToPitch』は、起業家と投資家(VC・CVC)を資金調達を主な目的としたマッチングを支援するプラットフォームサービスです。
スタートアップは事業内容に関するピッチを撮影・アップロードし、投資家はその動画を自由に閲覧し、コンタクトを取ることが出来るといった仕組みです。
今回『GoToPitch』をリリースしたScientist Pageは、研究論文・会議、および論文のビデオプラットフォームを展開するVaaSスタートアップで、
創業者のShashank Tyagi氏はインド出身で福岡の大学院を卒業後にこのScientist Pageを始めました。自身も起業家として投資家と接触を試みる際に、感染症の流行によって機会が大幅に激減したそうです。そこで同じような思いをしているスタートアップの課題を解決するために、この「GoToPitch」を考案しました。
「GoToPitch」という名前を聞いて、もしかして?と思われた方もいるでしょう。「GoToPitch」は、コロナによるダメージに対するアプローチであった「GoToキャンペーン」からインスピレーションを受けて名づけられています。
投資家を必要とするスタートアップは、どうにかしてコンタクト・アポを取り、何度も何度も至る場所でピッチをする必要があります。それも醍醐味ではありますが、同じ内容なのであればその時間は無駄です。
限られたリソースで、短期間でのスケールを目指すスタートアップにとって、手間は省略できればできるほど良いでしょう。
スタートアップにとって、マッチングプラットフォームを利用するメリットとは、無駄な労力を費やさずに済むこと、そして自力ではアプローチできなかった投資家を見つけるor見つけてもらえる可能性があることです。
実際の操作手順としては以下の通りです。
自分でPDFのピッチ資料をアップロードし、そのスライドに合わせてパソコン内蔵カメラに向かって説明を行い、それが録画されます。
過去のピッチ動画をアップロードしたり、自身で編集を加えたりすることはできません。
実際に完成する動画は、スピーカーの顔周りと音声を含むスライドのみで、投資家に見えるのもこのピッチ動画と会社の基本情報(メンバーや基本情報・目標投資額・累計収益など)だけになっています。
これらの作業は全て「GoToPitch」内で完結し、作成されたピッチ動画に対し「GoToPitch」を利用していない人にも配布可能なURLを発行することが出来ます。
なお、会社情報とメンバー情報を紐づけられるためも、コンタクトが重複してしまう心配はありません。
また、今後はフィルター機能が実装されていく予定で、事業領域や投資ラウンド・既存投資家の有無などより条件を絞ることができるようになるそうです。
スタートアップ評価に新たな指標が生まれる?
本サービスの1番の特徴としては、アナリティクス機能と言えます。
「GoToPitch」は、現在動画の再生回数のみが見られる状態ですが、
今後以下のような機能を随時追加していくとしています。
・誰が(その投資家が)見ているのか
・どれくらい注目されているのか(いいね数)
などを含むエンゲージメント・インプレッションの数値が表示されます。
また、今後そういった数値を元にスタートアップのランキング表示もされるようになる予定です。
投資家は、他投資家からも評価されているスタートアップを一目で発見できるようになります。
スタートアップとしても、自分たちの事業がどれくらい注目されているのか数値で見えるというのは、気になるはずです。
通年開催の万国オンラインDemo Day
アナリティクス機能に関して賛否両論あると思いますが
実際に行われるDemo Dayでは、ピッチの成績も投資判断の材料となります。
先ほども触れたように、「GoToPitch」ではプラットフォーム内での撮影・アップロードが求められ
スタートアップ自身で工夫できる点は、
見せるスライド資料とトーク術くらいです。
字幕やエフェクトのような、映像としてのクオリティといった余計な変数が入ってくることはないので、実際のピッチコンテストのように共通の条件下で純粋に事業内容を知ってもらえるような仕組みになっていると言えます。
「GoToPitch」は、ピッチ時間の制限は3~5分程度としています。
ただし、撮り直しは何度でも可能です。
そのため、世界中を対象に非同期のオンラインDemo Dayのようなプラットフォームであると考えることもできます。
(個人的には、20秒程度でTikTokのようにスマホ・縦スクロールで見られるエレベーターピッチがあったら面白いのになと日々考えています💭)
動画はマッチングを加速させられるのか
国内で同様のサービスというと、Showcase capitalが昨年2020年5月にリリースされたSmartPitchが挙げられ、同様にピッチ動画による起業家・投資家間のマッチングを掲げています。
定期的にピッチイベントを開催しているため、イベントのイメージが強く、ビデオプラットフォームとしての認識が無いという方も多いのではないでしょうか。
イベントをきっかけに認知拡大を試みたり、営業支援などの特典をつけたりしているもののSmartPitchのサービス自体のサインアップ数が伸びておらず、「動画によるマッチング」単体では成立しない、パッとしないという印象を受けました。
SmartPitchは、スタートアップが自由に動画をアップロードでき、運営にその作成代行を頼むこともできる仕組みです。動画が均質化されないために、閲覧者にとっては映像のクオリティによるバイアスもかかる恐れがあると言えます。
最近では、採用や恋愛の場面でも動画によるマッチングを図る動きは増えていますが、これらが市民権を得るにはまだ時間がかかりそうです。
『GoToPitch』の今後🦄
『GoToPitch』は年内に
登録数 : スタートアップ 10万 / 投資家 2000
を目指すとしています。
日本で登記・活動をしておりますが、グローバルを対象としてローンチしており、現在は日本語・英語の2言語に対応しています。
既に国外スタートアップでの登録も進んでいるそうです。
ビデオ会議が一気に普及したおかけで、1度も対面で会うことなく投資実行をしたという話も聞くようになりましたし、動画を起点としたソーシングを行うということ自体には抵抗はないはずです。
ただし、今後どれだけ著名な投資家を取り入れられるか、登録スタートアップを増やせるかといったことが課題となっていきます。
マッチングサービスは当然母数が求められてきますが、
ピッチイベントやアクセラレータープログラムなどにリーチできない、投資家や事業会社を含むスタートアップの輪に入っていけない、といったスタートアップはまだまだ沢山いるので、そうした起業家たちを巻き込んでいけるサービスとなれることを期待したいです。
そして、日本⇄他国間の資金調達・事業連携の事例はまだまだ少ないため、それが日本発で実現すればとても嬉しいことです。
『GoToPitch』の皆様には大変お世話になりました!
私の拙い英語をサポートしてくださったHitomiさん、お手製チャイを振る舞ってくださったAbhayさん、そして終始丁寧にご対応くださった代表Shashankさんに感謝を申し上げます。
一緒に食べさせていただいたインド料理も美味しかったです🇮🇳🍽
本当にありがとうございました!
各種プレスリリース情報
▶︎日本経済新聞 / TechCrunch / PR TIMES
最後までお読みいただきありがとうございました!
私は現在、国内の起業家や投資家・事業会社間の検索・マッチングサービス『StartupList』(https://www.startuplist.jp/)の運営に携わっています。
実際に利用してくださっている投資家の方々から「StartupList」をきっかけに投資実行をしたという嬉しい報告を聞けることが増え、喜びを感じています。
今回は、高校時代に起業家と投資家を動画で繋ぎたいと言っていた私にとって「GoToPitch」は気になるサービスであったため、Zoomでお話をさせていたのちオフィスにもお誘いいただき、細かく使い方を教えていただきました。
良かったら『StartupList』もぜひチェックしてみてください😉
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※本文は全て個人の見解ですので、ご承知ください。