「街とその不確かな壁」(村上春樹著)を読んで〜読書感想〜
【初読の感想】
静かなトーンの語りだった。
(歩くくらいの文速は)疲れなくて体に合っていた。
程よい距離をウォーキングした後に全身心地よく血が巡っているように、
物語が身体じゅうに沁み込んできている、
そういう余韻の感じ方。
初読の今は
第二部が好きだな。
とりあえず浸っていたい。
2023年4/14初読読了。
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【再読の感想】
年を跨いで読みたくて年末から読み始めた結果、、、
とても個人的な物語なのではないかと思った。
物語を超える現実の破壊力・・・。
2024年1/7読了。
年末から年始にかけて読むと決めていた。
年々年越しの感覚が薄れてきて、
その曖昧さが相応しいと思って。
注意深く丁寧に読んだつもり。
そのせいか、
非常に疲れた。
無理をしているというか、
文の裏に何かモノを引き摺っているような重さを感じてしまって。
全文が高い壁に囲まれたその街に覆われているような、
その街が全ページの透かし模様になっているような。
当分の間、再読しないだろうと今は思う。
***読書メモ*******
第一部
やはり「ぼく」の「沈黙と無」に共鳴できない、
なぜ30年近くもそれに囚われ続けるのか理解できないと思いながら読み進める。
「影」との逃避行の場面に至ってようやく気づいた。
ぼくが喪失した「きみ」は物語上の恋人であって、
「その人にとって唯一無二の存在」と考えれば、
「ぼく」の心情に近づけるのではないか、と。
この“主人公に寄り添えない”問題をクリアできて、
本題に取り組めるぞと期待が膨らんで第一部を読み終えた。(1/2)
第二部
なんといっても魅力的なのは謎の人物子易さんに尽きる。
それにしても「私」のような精神生活を送っていたら疲れる。
読んでいるだけで疲れる。
途中から少しずつうんざり気分になってきた。
コーヒーショップの女性やイエローサブマリンの少年が出てきて、
物語の進行に引っ張られてやっと読み進めたとさえ感じる。
「私」が年齢を重ねて「ぼく」よりは余裕を感じさせてくれるのが、私にとって救い。(1/7)
第三部
意識と心は別物。
この物語での意識は深いところにあって本人にも自覚できない意識だけれど、
それが心とは別物?
影と本人は二つでひとり。
時に表裏入れ替わることもあるとは?
なんとも観念的なことを表現されているのだろうと思うけれど、
それはとても難しいことなのだと感じた。(1/7)
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