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「科学は、どこまで進化しているか」(池内 了)を読んで〜読書感想〜
科学の各分野について、理論、現状と課題を分かりやすく解説した本。
とはいえ、専門的な事柄も述べているので理解できたのは7割くらい。
科学は知であり技術とは分けて考えるということは、
わかっているようで案外わかっていないことで、根本的で大事なことだと認識した。
技術が進化すればするほど、人間は謙虚であるべきだとあらためて思った。
「人類が滅ぶとしたら、何が原因か?」の項で、
生物は遺伝子の劣化による絶滅を繰り返していて、その寿命は400万年から500万年らしい。
だが、近代以降化学物質を多用したり、放射線を浴びたり、
耐性ウィルス・耐性菌の発生などにより人類の遺伝子の劣化は加速されていると考えるべきとのこと。
それよりも、「人類がバカであるための絶滅」があり得ると著者は警告している。
〈欲張りで、向こう見ずで、先行きのことを考えずに、自分の利得だけを考える、
そんなバカな人類であるために絶滅してしまう危険性がある〉
〈私は、地下資源文明から地上資源文明に切り換え、欲望を抑制し、自己を確立し、
地産地消に徹し、過剰な科学・技術に毒されない、
そんな生き方を100年以内に発見すれば、
人類の滅びは、遺伝子の悪化までは持つのではないか、と思っている。〉
100年って、例えば地球温暖化問題への世界の取り組みを見ても、あっという間だ。
私たちが思っているほど時間的余裕はないのだと、
もっと真剣に考えなければならない、そう訴えている。
「原子力発電の危険性の本質は何か?」の項は、すとんと納得し、胸に刺さった。
〈1000度の技術で1000万度の世界を操作しようとしている〉
〈化学反応が主体の地球上に、
原子核反応という質の異なった星の世界の営みを持ち込んでいることを、
強く意識すべきではないだろうか。〉
一瞬で血の気がひいたようだった。
スケールが違いすぎる。
踏み込んではいけない領域に入ってしまっているではないか。
そのことをほとんどの人々は知らない。
止まらない列車に乗ってなすすべもないまま行き着くところへ行くだけなのか…。