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障害調査のプライオリティ決めはビジネスマンの悲哀に満ちている

障害対応のアプローチは多々ありますが、基本的には仮説検証の繰り返しになります。当然ですが、調査の初期段階においては仮説立案に必要な調査結果(事実)も少なく、関係者のバックグラウンド(視野・視座・視点)も異なることもあって、各人が異なる仮説を持つ、つまり仮説の幅が出てきてしまいます。そうした状況では、人はみな自分の仮説こそが正しい、自分の仮説を検証したい・実証したいという欲に駆られてしまうものです。

本来ならば、それまでに集めた事実を元に、仮説の確からしさ・予想される効果・検証に必要な人手やコスト・検証結果を得られるまでにかかる日数などを加味して、仮説検証の優先順位というものがロジカルに決められていくべきです。

しかし、実際はそのようにうまくことが進められることは稀で、"仮説の持ち主の地位"が強く影響してしまうことが往往にしてあります。障害対応の現場のみならず、通常の会議においても、たかが一担当の意見よりも部課長の仮説がそれなりのプライオリティーを持って実行されるというのは、みなさん経験があるのではないでしょうか。

たとえ担当者がどんなにその仮説に対して否定的な意見を持っていても、悲しいかな、そこは一介のビジネスマンですので上司の言うことを真っ向から否定もできません。ましてや、まだ原因がはっきりしていない状況下では、(あなたが心の中で否定している)その意見もあながち間違いとは言えないのです。

限られた日程、限られた調査リソース、限られた予算の中で、障害の調査を進めていかざるを得ないのですから、前述のように合理的かつ客観的に優先順位を決めていきたいところですが、会議中に役職の高い者がポツリと呟いた思いつきが最優先事項として設定され、多くのリソースを費やして実行を余儀なくされるのが、担当者として一番辛い瞬間なのではないでしょうか。

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