【高齢者再雇用制度による現役世代へのしわ寄せ】
政府は本年度5月中旬、希望する高齢者が70歳まで働けるようにするための高年齢者雇用安定法改正案の骨格を発表しました。
企業の選択肢として下記の7項目を挙げました。
①定年延長 ②定年廃止 ③契約社員などでの再雇用 ④他企業への再就職支援 ⑤フリーランスで働くための資金提供 ⑥起業支援 ⑦NPO活動等への資金提供
すでに①〜③は現行で企業に希望者全員の65歳までの雇用を義務付けています。
安倍首相は「人生100年時代を迎え、元気で意欲ある高齢者の方々に、経験や知恵を社会で発揮していただける、70歳までの就業機会確保に向け法改正を目指す」と述べました。
現在すでに日本が抱えている問題の一つに高齢者の再雇用が企業の人件費を圧迫し、それに伴う「しわ寄せ」が起きています。
具体的に企業はこの問題による資金原資として、若年者の採用を抑制したり、現役世代の収入の上昇を抑制するといった手段を取っています。
仮に、企業側が総人件費を増やさずに定年を延長するということは、1人の社員(現役世代の若手社員)から考えると本来60歳までにもらえていた賃金が薄く引き延ばされ65歳まで働かなければ同等の生涯賃金を得られないという解釈にもなります。さらに企業としては同じ人件費で5年間分の労働力を得られるというメリットを手にすることができます。
政府としては経済や社会保障の担い手を増やすのが狙いだが、この「しわ寄せ」問題は若い世代ほど受ける影響が大きくなってしまうのではないでしょうか?
すでに再雇用制度により現役世代の収入が圧迫されている状況から、再雇用制度の年齢上限が65歳から70歳まで引き延ばされたらどうなってしまうのでしょうか?
平均寿命が延びることで退職年齢もスライドし、年金受給開始年齢も後ろ倒しになっていく可能性は高いのではないでしょうか。
現在の資本主義社会の中では、生産力が向上するとともに必要労働時間の減少としてもたらされるのではなく、収縮した雇用のパイを働き手が奪い合うという結果をもたらしているのではないでしょうか。
という会社員の独り言です。