あちこちで小説を書きます。 小説の他に周りの出来事や実体験。 毒にも薬にもならない小噺を、覚え書き程度に。

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  • 『ニンゲンはお好きですか』 連載小説

    現代の等身大の恋愛小説と、とある幻想を混ぜて書いています。ファンタジー要素を含む。

  • 創作小説 まとめ

    創作小説・エッセイ 主に短編やショートショート

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はじめまして、新しい拠り所

 noteという新しい場所を知りました、楓《カエデ》と申します。  とある処で創作小説を書いているのですが、未だに文章を綴ることへは慣れません。ただ理想は書き切っているため小説については自己で満足しておりました。その一方で、このもやついた行き場のない感情は何だろうと自問自答することが増えていきました。今年はそういった節目なのでしょうか。おうち時間、もとい、家族時間というものと向き合うと、色々な出来事を耳にして、様々な気づきが発生します。  そんな中で、ふ、と何でも話せる親

    • 『ニンゲンはお好きですか』 #3 連載小説

      最初『ニンゲンはお好きですか』#1 前話『ニンゲンはお好きですか』#2 「ひーちゃん、遊ぼ!」 「やだね、『ちゃん』で呼ぶなって言ってるだろ」 「もうひーちゃん、いつになったら、────」  トントン。肩を叩かれ、重い目蓋を上げた。  映るのは暗色のカウンター。組んでいたはずの腕はだらりと床へ垂れている。 「紘人くん、もうクローズの時間だよ。おはよう、起こして悪いね」 「……柳田さん。すみません、僕寝てたみたいで」 「うたた寝はいいんだけどさ、ずいぶん疲れてるようだ

      • 『ニンゲンはお好きですか』 #2 連載小説

        前話『ニンゲンはお好きですか』#1  あの喫茶店デートから二度目はまだ訪れていない。  休日の買い出しを終えた凛子は、散歩がてらあの喫茶店へ足を向けていた。もしかしたら居たりして、なんて。柄にもない程の乙女心を抱いてしまっている。  ──紘人さんのことが気になってるんだと思う。  初日を終えたあと、凛子は「機会があったらまたお会いしましょう」と一旦打ち込んだ社交辞令を削除し、代わりに「紘人さんの都合の良い日がありましたらお知らせください」と脈ありの返事を送った。この

        • 『ニンゲンはお好きですか』 一次創作、創作小説の連載をこちらでも始めました。理想に向かって完結を目指します。テーマは現代恋愛とファンタジーが混じったような。猫も含む、まったりとしたお話になればいいなと思います。読んでくださる方がいましたら、どうぞよろしくお願いいたします。

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        はじめまして、新しい拠り所

        • 『ニンゲンはお好きですか』 #3 連載小説

        • 『ニンゲンはお好きですか』 #2 連載小説

        • 『ニンゲンはお好きですか』 一次創作、創作小説の連載をこちらでも始めました。理想に向かって完結を目指します。テーマは現代恋愛とファンタジーが混じったような。猫も含む、まったりとしたお話になればいいなと思います。読んでくださる方がいましたら、どうぞよろしくお願いいたします。

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        • 『ニンゲンはお好きですか』 連載小説
          3本
        • 創作小説 まとめ
          5本

        記事

          『ニンゲンはお好きですか』 #1 連載小説

          「凛子さん、猫、お好きなんですね」  コーヒーをひと口すすり、紘人は言った。  マッチングアプリでやり取りして初めての対面。よろしくお願いします、からの第一声。辿々しい。人見知りな性格らしく、ちら、と凛子のスマホに目を向けている。よく言ってウブな印象。悪く言えば、女慣れしていない。凛子は、まあ馴れ馴れしいよりかはいいか、と同じようにコーヒーを口に含んだ。 「ええ、昔は実家で猫を何匹か飼っていたことがあって。物心がついた頃には、猫がいたんです」 「黒猫だったんですか」

          『ニンゲンはお好きですか』 #1 連載小説

          『もの言わぬ贖罪』 ショートショート

           ごみを拾う。募金をする。ボランティア。  資格を取る。理想へ近づく。真面目に働く。  親になる。反面教師。睡眠を取る。  質素な食事。豪華な晩餐。ご褒美デザート。  健康維持。ランニング。スポーツに励む。  読書をする。乗り物に乗る。参礼する。  日々、みんな意思を持って動いてるけれど。  書き出すだけでもこんなに。生活しているだけで様々な動作がある。そんな中で、善行や愚行が繰り返され、ニュースとして刮目せよと飛び交う。  だがちょっと待った。  ただ生きていることが、

          『もの言わぬ贖罪』 ショートショート

          『季節の変わり目、世界の入り口』 ショートショート

           ああもうすぐ日が暮れる。  辺りは茜色。  僅かに冷えた空気。  河川敷から見上げたうろこ雲はそのちぎれた形状だけで、もう秋かあ、と得心する。  たったのそんなことで、ちょっぴり感傷に浸って。  秋だからと言って塞ぎ込む理由にはならないのに、不思議だ。秋めいた情景が自分をどこか別の世界へ連れて行ってくれるんじゃないかと変に期待してしまう。  河川敷近くの道路を歩いていたら、うっかりいつもの道と間違えてしまって、慌てて辺りを確認すると似たようで違う町にいたりして。  実は

          『季節の変わり目、世界の入り口』 ショートショート

          もしもあの人が生きていたらなんて言っただろうね

          「お父さんがいたら驚くだろうね、こんなに技術は進化したんだよって」  無線仲間がいて、自作PCが趣味で、新し物には誰よりも素早く飛びつく父。  携帯がスマホへ変わって、新作が出るたび頭に過る。  彼が他界したのは、2003年だった。  携帯、2003年(平成15年)には何があっただろう。 "12月に発売された「505iS」シリーズでは最高画質200万画素のカメラを登載した機種も発売された。"  画素数が高くなったカメラ付き携帯、折り畳み携帯。  調べていくうちに、昔、

          もしもあの人が生きていたらなんて言っただろうね

          『心が口ほどにモノを言いすぎた』 ショートショート

           ──離魂。  離婚ではない。リコン。病をつけて離魂病。聞いたことはあるだろうか? そんな言葉はない? ネットで調べてみた。 『離魂病とは、魂が肉体から離れて、もう一人全く同じ姿の人間になると信じられた病気。影の病。または夢遊病』  前者はずいぶんとオカルトチックに聞こえ、後者は睡眠時の現象として物理的に捉えられているように聞こえる。いずれにしても一般的に馴染みのある言葉ではない。    これは、正常な思考とはちょっと相容れないお話。  二十代前半。私は悲観していた。

          『心が口ほどにモノを言いすぎた』 ショートショート

          きれいな世界をみていたい

           きたないものが多すぎて、うんざりしたら外へ出て、  オフィス街の真ん中で、慌ただしく行き交う人々に  また嫌気が差す。  疫病、病気、事故、自死、不倫、犯罪、借金、罵倒、誹謗、悪口、裏切。  もっと世界がきれいならいいのに。  人間の卑劣で、強慾さなんて見えなきゃいいのに。  信頼したいひとたちの本性が見抜けられないなら  最初からあなた方なんて目にしたくなかったのに。  もっと頭を柔らかくして臨機応変に考えたところで、  そこにあるのは汚らしい慾望の塊に違いないのだ

          きれいな世界をみていたい

          ご祝儀を横取りした母親の話

           タイトルどおりのことをした人がいます。  実の母親です。  以前、こんな記事を書きました。  嘘の口実で親が子に金銭を求めるも返さなかった話。  私の人生ではどうやら金銭絡みの不運が続くようで。早く断ち切りたいのですが。  と言っても、全ての原因は母親なんですけどね。 見栄っ張りの、お金大好き、でも社会人経験なし。 子たちのお金は自分も自由に使えると思っている。  もしも近くにいる身内にそんな様子があったら、ご注意ください。あまり例がないと思うので、身バレしない程度

          ご祝儀を横取りした母親の話

          今だからこそ、この作品を知っていてほしい。 『パンドラの匣』 太宰治

           死を暗く真っ黒いものと捉える前に、──。 『パンドラの匣』 太宰治 光がこぼれる青い春。結核療養所という生死と隣り合わせの舞台にもかかわらず、それを憂鬱に感じさせず爽やかな読後感を運んでくれます。感染症、生命や死を題材としているのに、淡く甘酸っぱく青臭く、それでいて眩しいのです。  太宰治は死生観が暗いんでしょ?  そう認識している方にぜひ存在だけでも知っていてもらいたいです。  個人的に印象に残ったお気に入りな文章を一部抜粋していきます。ほんとうは他にもあるのですが

          今だからこそ、この作品を知っていてほしい。 『パンドラの匣』 太宰治

          自死、それもまた寿命だと思うことにした。

           暗い題材を含みますので、ご覧になる方はご注意ください。哲学のような死生観ではありません。誰かを諭せるほど賢くもありません。どこかの誰かのぼやき程度に流していただけたら。というより、あまり堅苦しく考えてしまっては今後を生きていく私たちの肩が凝ってしまうだけです。 思考の備忘録 名の通った方々の自死が相次いでいる。一般の方々の自死が去年に比べて増えている事実も記事で読んだ。関東圏においては人身事故も多い。当初、正直これは異常だと思った。 『ウェルテル効果』そのものが今起きてい

          自死、それもまた寿命だと思うことにした。

          どうやら人間の慾深さから連鎖する金銭のしがらみから解かれないらしい。15年は顔を合わせていない親戚が他界、その負債が回ってくる出来事に直面。まさかそんな小説のようだと思っていたら当事者になるとは。もちろん相続を放棄する予定だが、同じような境遇の人のために以降、記録をつけていく所存

          どうやら人間の慾深さから連鎖する金銭のしがらみから解かれないらしい。15年は顔を合わせていない親戚が他界、その負債が回ってくる出来事に直面。まさかそんな小説のようだと思っていたら当事者になるとは。もちろん相続を放棄する予定だが、同じような境遇の人のために以降、記録をつけていく所存

          短編小説 『凡百の道』

           人には人の、私には私の、家には家の──。  アルバムだけじゃ分からない軌跡があって、写真の表には視えない背景が詰まっている。  久々に帰省した二十代の半ば。息の詰まるような日々から解放されたかった私は、祖母の部屋に置いてあるそれをぺらぺらと捲っていた。生まれる前はこうだったんだ、これは懐かしいなあ程度で目的は特になかった。我が一般家庭の歴史は事業を営んでいたからといって紆余曲折あるわけでもなく、かといって興味に欠けるわけでもない。  祖母と肩を並べる亡き祖父に「若い頃の二

          短編小説 『凡百の道』

          家族だからは免罪符にならない。無条件の愛が美しく気高い訳ではない。

          "家族だからは免罪符にならない。無条件の愛が美しく気高い訳ではない。事あるごとにうんざりするなら相手に期待をしないこと。すると個が家の枠を外れて独立していく。施錠が解かれたように真新しい景色は、眩ゆい。清々しい。ただ誰よりも期待したかった、ほんとうは。せめて夢で貴女の愛に浸りたい。"  上記はTwitterより。 「おばあちゃんが大変なの。だから、──」  よく聞くことです。兄弟、姉妹、両親、親戚、伴侶。最後を除いては血が繋がっているからといって、それを振りかざして良い

          家族だからは免罪符にならない。無条件の愛が美しく気高い訳ではない。