記事一覧
8月30日 本日クリスマス
綺麗とはいえないキッチンに、年季の入った脚立を椅子にして、刺身と酒瓶を目の前に広げる。
お酒を飲んで、酔っ払ったら、いつもより世界が早くまわって、目も回る。仕舞っておいた記憶が、ぐるぐるまわる。
彼のお家にあった、すこし高級な、瓶に入ったお醤油とか、桜貝を閉じ込めたみたいなちいさな岩塩のこととかを思い出した。わたしの知らない生活の豊かさが、いつもそこにはあって、いつもそこは暖かかった。
換気扇
1番好きな曲を教えて
夢の中で「サカナクション好きなんだ、僕も好き」って言われた。わたしとその子は、しばらく笑いあってた。顔はどんなだった?声は?名前はなんて言うの?どんな服を着てた?どんな匂いだった?
思い出せない。
あなたは、誰?
存在しないはずの男の子。夢の中で出会ってしまった。出会ってしまったから、目が覚めた時、失ったみたいで悲しかった。夢の中でしか、会えない子。また、眠ったら会えるかな。たくさん眠ったら会える
海岸線を飛ばす、死に向かって。
おばあちゃん家は、海岸線をずっと行ったところにある。梅の木があって、鼻の潰れた猫がいて、いつも美味しいご飯が出てくるところ。
おばあちゃんは、ここのところ具合が悪い。少し前まで、悪戯に笑いながら、水だと言い張って飲んでいた焼酎や、チャッカマンでつけて吸う煙草も、いつの間にかしなくなった。
おばあちゃん家に着いた。おばあちゃんがいつも寝転がっているベットは空っぽだった。おばあちゃんは、数日前から入院
さらさら黒髪、逃避行
空が泣いている。静かに誰にも見つからないように、涙を流している。
カラオケボックス。歌うのを放棄されたあのガールズバンドの曲は、すこし気まずそう。
大好きな女の子が泣いている。涙を拭ってみたけど、悲しみまでは拭ってあげられなかった。この子が泣かなければならないことも、悲しみを拭ってあげられない自分にも、腹が立って、虚しくて、信じていない神様に、馬鹿野郎と言ってみた。
わたしの大好きな、女の子。