想定外と共存する力
よく、「田舎は時間の流れがゆっくりとしている」や「田舎はスローライフ」といった話があります。
実際には、時間の流れ自体はどこの場所でも同じなんですが、なぜそのような印象を抱くのでしょうか。
自然の中で過ごしている、人間性が穏やかであるなど、様々な理由があると思いますが、そのひとつの要因として「想定外と共存する力」があるからではないかと考えています。
想定の範囲内が前提の社会
今の社会、特に仕事の面では、想定の範囲内が前提であると思います。都会でも地方都市でもそうですが、基本的には人間が作ったものの中で、人間同士がやり取りすることがほとんどだなと感じます。
そうなると誰かが作り出したものばかりなので、想定することができます。そしてその想定から、要望、締め切り、期待などが生まれます。
そうなると結果として、業務のほとんどが人間の想定の元の依頼で動いたり、想定を予測して動くことになります。
想定できないものと向き合い共存する社会
一方田舎では、想定できないものと向き合うことが多いと感じます。農業や林業などの一次産業はまさにそれです。自然をコントロールすることはできないので、作業のスケジュールを組んでいたとしても簡単にひっくり返ります。梅雨の時期はほとんど何もできないといったこともあります。
私も飲食店をやっているのですが、自然の影響をモロに受けます。雨が降れば当然お客さんは来ないし、大雨になれば道路が通れなくなることもあります。そうなれば営業どころか職場に行くこともできず、なにもできないこともよくあります。そんな中でも、もちろん売上の想定を立てますが、当然ひっくり返ります。
そういった、自分では想定やコントロールできないものと向き合う経験を積重ねていく中で、諦めや受入を体感しその結果として「想定外との共存する力」が身についていったのではないかと思います。
でもこれって、よく考えたら当たり前のことで人間の能力や動き、感情もそもそも想定できたりコントロールできるものではなかったはずです。いつの間にか忘れてしまった感覚なのかもしれません。
この本来当たり前である「想定外との共存する力」が田舎の人の穏やかさにつながり、追われない、ゆっくりとした時間感覚につながっているではないかと思います。もちろん、田舎の人全てにあって、都会の人のすべてにないといった話ではありませんが。
自分自身もこれから先、想定外と共存し、楽しめるように生きていきたいと思います。