映画感想「ミス・シェパードをお手本に」
見た日 2023年6月2日
ほぼ実話(ほぼ実話!?)
劇作家の主人公と近所の名物クソババアの交流の話でした
信仰のために音楽を捨てた人が、それでも音楽から逃れられない姿が美しかった
ミス・シェパードがマジでかなりクソババアで、いつもキレてる、お礼言わない、謝らない、頑固という嫌われる老人のお手本みたいな性格してる上に風呂入ってなくてゴミ屋敷みたいな車に住んでてめちゃくちゃ臭いというマジであの…ヤバい ヤバい人
しかも敬虔なカトリック教徒らしく路上で神の教えを説いている
わあ…
彼女は実は昔ピアノの勉強をしていて、フランスですごい巨匠の弟子にもなってて、あまりにも才能がありすぎて、
「ピアノを弾くのが祈りより簡単すぎる」
と司祭様に打ち明けたところピアノや音楽を全部絶って信仰の道に進むことになったという
それでなんやかんやあって今の車上生活に至るのですが
ある日、地域の福祉センターの人の勧めで老人施設に行きます(デイケアみたいなとこ)
夕暮れの誰もいない施設でピアノを弾くんですが、そのシーンがすごく良かったです
あんなにヤベー老人ムーブしてたのに、背筋を伸ばしてめちゃくちゃきれいに演奏する…
最初はおずおずと、段々滑らかになっていく演奏と
嬉しさと苦しさが混じったみたいななんとも言えない表情が印象的でした
帰ってきてから「音楽から逃げられない」と苦しそうに主人公に吐露する姿が今までのヤバさが嘘みたいに静かで、
何十年も弾いてなかったピアノを、つい昨日も弾いてたみたいに弾けちゃったから、彼女の信仰が全部足りていないと感じたのかな…
「ピアノを弾くのが祈りより簡単すぎる」という悩みピンと来なかったんですが、
キリスト教的には人間は原罪を背負ってるから苦しまないとダメなのかな?「悪魔を呼び寄せる」って言われてたし簡単すぎることで身を立てるのは堕落と同義だったのかも…と思いました
見てて思ったのが、多分彼女はASDとかの傾向があって、「苦しまないといけない」「音楽を断たないといけない」をマジで言葉通りに受け取ってしまって
必要以上に苦しんでたのかなあという感じもあり…
(私がわかんないだけでカトリックの方が基本こんな感じなんだったらすみません)
とにかく自分の一部、半身とも言うべき音楽をむりやりにでも引き離さないといけなくなったのは本当にめちゃくちゃ不幸に見えて、
(信仰が幸福と言われたらなんも言えんが…)
もし彼女が音楽の道に進んでいたら、信仰との乖離でもがき苦しむこともなかったんだろうなあ…と思った
結局彼女は何一つ救われないまま死ぬけど、その後主人公(劇作家)の特権でクソ雑昇天してたのが良かった
主人公なりに彼女に愛着があって、せめて自分ができることをと思ったらああなったのかなあと思ってなんかよかったなあと思った
とにかく「音楽から逃げられない」というセリフがめちゃくちゃ刺さった
ネトフリ
https://www.netflix.com/jp/title/80062034?s=i&trkid=0&vlang=ja&clip=81066558
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