見出し画像

Rp:3~5まとめ 調剤報酬と後発医薬品

調剤報酬は大きく2つに分類され、一度届けを出せば要件を満たしている限り算定できるものと、その都度要件を満たした段階で算定できるものだ。
処方に疑義があり疑義後変更があった際に算定出来る「重複投薬・相互作用等防止加算」は後者にあたる。
この後者の算定に関しては日々勉強しアンテナを貼り続けなければ算定することが難しいものと言える。
それに対して前者は後発医薬品調剤体制加算、地域支援体制加算などがある。
これは要件を満たして届け出をしていれば処方箋を受け付けるたびに算定できる。
現代の薬局運営でより後発医薬品調剤体制加算を算定するために後発率を上げていくことは必須といっても過言ではない。
後発医薬品とは、いわゆる「ジェネリック医薬品」と言われるものだ。
ジェネリック医薬品とは先発医薬品の特許が切れた後に他の製薬企業が製造・販売できる薬で、よく薬剤師が説明する言葉でいえば、
「昔ながらの薬と同じ成分で、値段がやすい薬です」というものだ。
それに対し先発医薬品はロキソニン、ガスター、アレグラといったよく耳にする薬にあたる。
我々国民は皆保険制度のお陰で高くても3割の負担で処方薬を購入できている。
では残りの7割はどこから賄っているのか?
国だ。
医療費の増大に苦しんでいる国は少しでも医療費を下げるためにジェネリック医薬品という制度を導入したのだ。
では、なぜ薬剤師がジェネリック医薬品を患者に進める必要があるのか?
「安い薬を取り揃えている薬局には優遇する制度」があるからだ。

「ホーム薬局では今までジェネリック医薬品の在庫はもちろん変更調剤に伴う説明もしてこなかったと思いますが、今後はしっかりしていこうと思います。」
僕はスタッフが全員揃ったところで当面の方針を伝えた。
「ジェネリック医薬品は澤井製薬や東和医薬品がCMも打っているくらい有名ですけど、うちの薬局でも揃えるんですか?」
「国として医療費削減の方針を掲げていて体制率を上げれば加算も算定出来ますので、まずは一通り在庫を揃えて、順次患者さんに説明していこうと思います。」
「私はジェネリックは嫌ですね。パチモンですよね?自分が患者だったらそんな薬飲みたくないです。」
彼女は事務員さんで、中川さんといった。
「中川さんはジェネリック医薬品に対してあまり良いイメージを持たないんだね。それはなぜか教えてもらえるかな?」
「谷口さんが言っていましたよ。ジェネリックは効かない、パチモンだって。」

谷口は門前クリニックの現院長で、2代目院長にあたる。
ジェネリック医薬品(以後GE)は効かないという医者いるのも確かだが、実際は違う。
GEが発売、薬価収載されるにあたって重要なのは「生物学的同等性が示されたか」どうかだ。
簡単に言えば、先発品と同じかどうかだ。
現在ジェネリック医薬品として薬価収載されているものは全て先発医薬品と生物学的同等性が示されたもので効果は同じとされている。
抗てんかん薬に関しては学会が後発品への変更後発品同士の変更に関しても慎重な意思を示しているので、ここだけは例外といえる。
とにかくは、先発医薬品とGEに関しては基本的には効果も同じというわけだ。

「谷口先生はあまりGEに関して良いイメージを持たれていないんですね。ちなみに、先生がそのようなことを言っておられたのはいつ頃の話ですか?」
「そうですね、、少なくとも令和になってからは聞いていないかも。となると、6年は前でしょうか。」
「でしたらもしかして先生の考えも変わっているかもしれませんね。処方箋はどうなっていますか?」
「先発名の処方が多いですね。チェックがついているものもちらほらあります。」
「わかりました。お昼にでも少し先生と話してみますね。」

基本的に処方箋の変更不可欄(医療上必要)にチェックがついていない場合、患者の同意が得られた時点で薬局側で変更するのは問題ない。
しかし今回はチェックがついているものもあるようなので僕は今後もお世話になるであろうDrに挨拶がてら話をしに行こうと決めたのだ。

「はじめまして、桜井と申します。」
「小林くんから聞いているよ。経営状態次第では君が薬局を引き継ぐみたいだね。」
「聞いておられましたか。まだスタッフにも伝えてはいませんが、そのような流れになるかと思います。
ところで先生、以前はGEに関してあまり良いイメージを持たれて居なかったと聞きました。」
「以前は、ね。今のGEは先発と効果に変わりはないと聞いているよ。」
「そうですね、今はAGもありますし続々と新しいGEも出てきています。痛み止め、睡眠薬など直接的な効果を感じられるもの関しては『効いていない』と感じる方もいらっしゃるようですが、基本的には効果に変わりありませんね。」
「そうか、土堂薬品にいた薬剤師が言うんならそうなんだろう。」
「先生の処方箋なんですが、現在先発名で処方されていますが一般名処方にしてみてはいかがでしょうか。」
「一般名処方か。それは別にいいがDo処方でも打ち直さないといけないだろう。面倒くさいな。なにかメリットあるの?」
「一般名処方加算というのがあります。どうしても先発品を希望するもの以外を一般名にしてくだされば最低でも8点の診療報酬を算定することができます。
現在いろいろな薬が供給困難な状況にあります。薬局から変更しても良いか電話があるかと思いますが、一般名処方にしてくださればそのような電話は減るかと思います。」
「そうか、とりあえず一周するまで打ち替える手間はあるが電話対応が減るなら事務や看護師の負担も減るのか。検討してみるよ。」
「新薬の相談や訪問の同行など、何かあれば積極的に参加させていただきます。」

僕自身、こういった医師への提言は初めてのことなのでうまく言ってとてもホッとした。
本来こういった医師との交渉は経営者、管理薬剤師が行う場合でもそれなりの信頼関係が成り立っている上で行うのが常識だ。

いいなと思ったら応援しよう!