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ムムの日。無と夢。
眼科に行く。今週2回目の眼科でどれだけ目を見てもらいたいのだろう。目が口ほどにものを言うからだろうか。何かを伝えたいけれどできないので目を見てもらいたいのかもしれないという嘘。
2年ぶりの検診。2年前は医者がずっと首をかしげていた。膜が薄すぎるんだよねえ、これは先天的なものなのかなあと無知の僕に尋ねられた。知らないよ。不安だよという気分で検診をする。
受付開始時間前に行ってももう受付をしている人がいて、みんなはどれだけ早い時間に待っているのだろう。待合室で待っている間、どこを見て良いのかわからなくなる。
これから目の検査をするのだから、目を休めることが必要だと思って閉じてしまう。しかしその姿は検診が怖いと思って精神集中している姿にも見える。検診は怖くない。じゃあ時間潰しのためにスマホでも見るか、と思うが、それは不良すぎる。屋上でタバコくらいの愚行。目を見てもらうのに目を酷使させるなんて、不良。
不良ではないので、じっと虚空を見つめる。
ずっと無。
2年前の先生とは違う先生に診てもらう。目の中身の写真を撮られる。特に問題はないようで、あんなに薄かった膜は薄くなくなっていた。何があったのだろう。2年の間に人間が変わったのかもしれない。膜は再生するのか。処女に戻れるのか。特に問題はないですね、と言う先生は一瞬首をかしげていた。僕はその倍、首をかしげたくなっていた。眼科を出るともうお昼だった。いつの間にか時間が折りたたまれたように過ぎている。
まるで夢。

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