釣り好きの5歳の少年が食のバイヤーになるまで。なってから。
#04,愛食家:上原一晃さん
今回、インタビューをさせていただいたのは、食のバイヤーの上原一晃さん。彼の人生を変えた「食」との出会いとは?世界にたった1つのストーリーのはじまりです。
質問1:食のターニングポイント
※うなぎ弁当(まるます家)
※のり弁(行きつけの居酒屋)
私は物心ついた時から「食べること」が好きでした。5歳の頃から釣りが趣味だったので、自分で釣った魚を見様見まねで捌くのはもちろん、母が作る料理を手伝っていたことも大きく影響しています。食のターニングポイントは、母が販売員として大手百貨店に勤め始めた小学生の頃です。百貨店の仕事が忙しく、夕食を作れなかったある日、地下の食品売り場で売っているお弁当を買ってきてくれました。ひと口、お弁当を食べてビックリ!な、な、何だこれは!!母が作る味、自分で作る味とも違うプロのおいしさ。こんな食べ物があるのかと衝撃を受けました。それからというものの、ただ単に食べることが好きなのではなく、「おいしいものを食べること」に敏感になり、食に目覚めたと思います。
質問2:食に目覚めて、自分の中で何が変わりましたか?
※東京ラーメンマリオン
※田中屋
※古亭(熊本)
※カネキッチンヌードル
食に目覚めた私は高校生の時にラーメンの食べ歩きを始め、大学時代はジャンルに捕らわれることなく様々な飲食店に行きました。そのような経験から、グルメサイトを運営している企業に就職し、飲食店との関係も深くなりました。入社時から自分が美味しいと思った料理や店を世間に紹介したいという気持ちを抱いていました。全国の生産者の方々と繋がるプロジェクト、「マルシェ(都市型の産直市場)」の立ち上げに携わる機会がありました。マルシェで生産者の方々と一緒に食材を売り、仲良くなった方の産地へ行くようにもなりました。交流をしたことがきっかけで、生産者の食材への情熱やこだわりを「料理人さんに伝えたい!」という思いが沸き起こりました。料理人さんに生産者の方々を紹介したところ、両者が喜んでくれたことが、その思いを確実なものにしました。
その後、熊本県の上天草市役所に食材PR担当として出向しました。
民間企業の立場で行政職員としての出向で学んだ『生産者の未来を考えた視点』を大切にしています。
行政職員としての役割は、ただ食材のPRやマッチングをするのではなく、飲食店や消費者などのマーケットニーズを生産者に伝え、生産者と一緒に考えて食材を売り込むことでした。生産者が食材を作るだけでなく自分たちを売り込み、その先の飲食店や消費者といった使う側、食べる側の声を知って欲しかったのです。それが、その後の自身の食材の提案スタイルへと繋がっていきました。
東京の飲食店へ食材の売り込みを任されたことが、食の原点となる「食材」に注目するようになるきっかけでした。私がおいしいと感じる料理には、飲食店、料理人、食材、生産者の思いや努力が詰まっていると現場から学びました。食に関わる全ての視点、思いを経験した結果、ただ単に食べているだけではダメだ!自分の手で食材を産地から飲食店、消費者に届けられないかと考えるようになったことが一番の変化でした。そして、今では飲食店の仕入れ担当です。
質問3:あなたにとって「食」とは?一言で言うと何ですか?
食は「幸せのおすそわけ」です。私が海外旅行した時のことです。ふらりと立ち寄った屋台で、その国のローカルフードを食べていました。屋台で料理を作ってくれた店員さんが、おいしいか?と聞いてきました。もちろん、言葉は分かりません。雰囲気で感じ取りました。満面の笑みでおいしいと伝えると、大きく頷きながら屋台の方へ戻っていきました。しばらくすると片手に鍋を持って、私以上の笑顔で食べ終わった丼にオススメの料理とビールをくれました。相手は“おいしい”と言ってもらえたことに幸せを感じ、その幸せを私に分けてくれたのです。食は年代性別、国境も人種も簡単に越えて人を幸せにするパワーがあると強く感じました。“おいしい”に出会ったから、誰かに教えたい!連れて行きたい!食べてもらいたい!その気持ちこそ、「幸せのおすそわけ」なのだと思います。
愛食家:上原さんの愛する●●とは
🍽 上原さんの愛おしいお店とは
とにかく、おいしい!Part1【おにぎり ぼんご】です。
おにぎりって、こんなにおいしいんだ!と教えてくれました。ふっくらとした大きなおにぎりは、ほおばると口いっぱいに広がる幸福感に満たされます。優しいお米と海苔の香り、相性抜群の具材たちに味覚も胃袋も大満足です。
女将さんたちのおにぎりを握る職人技はもちろんのこと、常に50種類以上の具材が用意されていて、いつ来ても何を食べようかワクワクさせてくれます。お客さんを満足させよう、喜んでもらおうという気持ちがお店に溢れていて素晴らしいです。おにぎりをひと口食べればわかると思いますので、ぜひ行かれてみてください!
🍽 上原さんの愛おしい人にあげたい手土産とは
とにかく、おいしい!Part2【マロンハウス甲斐果樹園 栗きんとん栗九里】です。
妻の友人の故郷が宮崎で、おいしいからとお土産にいただきました。栗きんとんは普段からあまり食べるものではないので、おいしいと言われてもピンと来ず、特に意識せず食べたところ、とてもおいしくてびっくりしました。それ以来、栗きんとんを見つけると買って食べるのですが、「栗きんとん栗九里」を超えないのです。デパ地下、アンテナショップを探しても売っていないので、宮崎へ行った際に探してもすぐには見つからず、やっとの思いで買いました。友人が私たちの為においしいからと買ってくれた気持ち、何でも揃う東京で買えないこと、県産の栗を使用しているこだわりの三拍子が揃っていることが大きいです。そして、何よりも他に無いおいしさが決め手です。