見出し画像

「受身文」の見分け方

直接受身?間接受身?それとも持ち主の受身?
その見分け方を講座で教わりました。
ルールのようなものがあるのは心強いですね。
忘れたくないので、書き留めます。


受身文の見分け方

(1)ヲ格(目的語)が受身文の中にあるか、ないかを見る

太田先生セレクトのテキストが、とても分かりやすいです。
    ↓     ↓

受身文の中にヲ格(目的語)がない
(1)受身の動詞が他動詞 
 →①直接受身文(目的語が主語となる)
(2)受身の動詞が自動詞
 →②間接受身文(自動詞の受身文)
 
●受身文の中にヲ格(目的語)がある
(1)主語と目的語の間に所有・身体関係がない
→②間接受身文
(2)主語と目的語の間に所有・身体関係がある
→③持ち主の受身文

考えて解いて学ぶ 日本語教育の文法/スリーエーネットワーク P47


※他動詞の受身は、基本的には直接受身、
自動詞の受身は、間接受身文だと思って良いことが分かりました。

(2)間接受身の場合、迷惑受身か持ち主の受身かを判断する

間接受身には、「迷惑受身」と「持ち主の受身」があります。
迷惑受身
→自動詞
が受身。※①ただし全てではない
日本語で自動詞が受身になった文は、マイナスの影響を表現することが多いという特徴があります。
例:雨に降られた
  妻に先立たれた
  寝ようとしていて友人に来られた

一方、「彼に微笑まれて嬉しかった」など、必ずしもマイナスの影響じゃない場合もあり、この場合は、ただの間接受身になるのでしょうか。

※①「寝ようとしたら、母に電気を付けられた」など、他動詞の受身でも、迷惑の受身になるので注意が必要ですね。

持ち主の受身

→影響を受ける目的語の所有者や関係者が主語となるもの。
他動詞の目的語(ヲ格)は、能動文でも受動文でも残り続けるので分かりやすいですね。

「足を踏まれた」 ←私の身体の一部
「財布を取られた」 ← 私の財布
「息子をけなされた」 ← 私の身内

プラスの意味合いも表します。
「バッグを褒められた」
「親から頭を撫でられた」


また「私は、工事車両に道をふさがれた」のような文も、持ち主の受身に分類できる。「私」と無関係の道での出来事なら、受身にせず、能動文で「工事車両が道を塞いだ。だから、車が通れず渋滞が起こった」などと言えばいい。受身文からは、「私」の所有物ではないが「私」に何らかの関係がある「道」であると解釈される。つまり、他動詞文で、目的語があるのにそれを受身の主語にしない(=直接受身にしない)受身文は、意味的には「持ち主の受身」の一種になるということである。

ヒューマンアカデミー著 日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド 第5版 P69

最後に、試験に出るかもしれない3項動詞についてもメモしておきます。

(3)3項動詞の受身文に注意

3項動詞は、受身になるとヲ格が残るため注意が必要です。ヲ格の有無だけで判断すると危険ですね。そこで3項動詞を調べてみました。

紹介する、教える、知らせる、見せる、示す、告げる、連絡する、預ける、渡す、与える、授与する、あげる、やる、贈る、送る、くれる、売る、貸す、借りる

置く、据える、並べる、付ける、添える、設置する、載せる、積む、塗る、貼る、はずす

運ぶ、移す、動かす、戻す、入れる、注ぐ、放す、投げる、捨てる、蒔く

参照:日本語3項動詞文の統語構造/工藤和也

https://opac.ryukoku.ac.jp/iwjs0005opc/bdyview.do?bodyid=BD00004929&elmid=Body&fname=r-ky_036_02_006.pdf


多い…(・・;)
でも、所有や場所が変わる動詞が多いということはつかめました。

自動詞、他動詞の理解が、ヴォイスで問われることになろうとは……。深いですね。難しい。きょうは、ここまで。お疲れ様でした!