「お腹から声を出す」のワナ
営業職の方々の
プレゼンレッスンが、先ほど終わりました!
声量アップのトレーニングをしながら、noteのネタを思いつきました!
声の小さい人や、歌が上手くなりたい人に、先生が「お腹から声を出しましょうね」と言っているイメージがありませんか?そういう私は、「もっとお腹から声を出して!」と指導されたことが何十回もあります。
はて、お腹から声を出すとは?
きょうは「お腹から声を出す」のワナについて考えます。
------------------------
声は何で出来ている?
そもそも声は何で出来ているのでしょう?
この20年間、行く先々で問いかけてきました。
「喉チンコ!」
「空気」
「摩擦」
「声帯」
さまざまな答えが返ってきます。
考え方としては、どれも一理ありそうです。
そんななか、私の持論は、声=呼吸 です。
呼吸を止めると声は出ないからです。
深い呼吸の人は、深い声を出すし
浅い呼吸の人は、浅い声で話します。
リラックスしているときは大らかな声がでるし
緊張しているときは、ビビっている声になりますよね。
「息」という字は、自分の心(自の下に心)と書くように
呼吸と声と心は、密接に結びついています。
では、声=呼吸 であるとしたなら、どんな呼吸が理想なのでしょうか。
------------------------
呼吸は3つに分けられる
私たちは、3つの呼吸を使い分けています。
①腹式呼吸(横隔膜呼吸)
寝ているとき。リラックスしているときなど。
②胸式呼吸(肋骨呼吸)
デスクワーク、運転中など。
③肩式呼吸(鎖骨呼吸)
50m走や猛ダッシュをしたあとなど。
3つの中で最も身体の機能を使うのが腹式呼吸です。
------------------------
「お腹から声を出す」が生まれた背景
では、腹式呼吸とは…?
息を吸うことで肺が膨らみます。
肺が膨らむことで、肺の下にある横隔膜が下に押し下げられます。
横隔膜が下がることで、その下にある胃が行き場を失い、前や側面、背面に膨らみます。
吐くときには、逆の現象が起き、お腹は凹みます。
丁寧な呼吸ほど肺は大きく膨らみますから、それと連動し、様々な臓器や筋肉が体内で動きます。それらが動くほどのパワーから吐き出された声には、張りやツヤが伴います。
「腹式呼吸」という呼び方の印象から「お腹から声を出す」という表現が一般化しているのかもしれません。
------------------------
「お腹から声」のワナ
ここで留意したいことは、「お腹を動かすことのみに意識を奪われてはいけない」ということです。
レッスン場で、掌をお腹に当て、一生懸命お腹の動きを感じ取ろうとしている人をたまに見かけます。注目すると…肩や首に力が入り、喉がキュッと硬くなっていることが多いようです。
スポーツでも何でもそうですが、緊張で凝り固まった体では、良いパフォーマンスはできません。まずは十分に息を吐き、自然に息が入ってくるような呼吸をする。お腹の前だけではなく、背中側や側面まで膨らむくらい深い呼吸を意識できるようになると、次に意識したいのは丹田です。
------------------------
丹田を意識する
「あ、足元に新1万円札が落ちていますよ」と言われたら、どうしますか?
足元を見て、新札を拾いますよね。
A:かがんでお札を拾うときに硬くなる部位ーそこが丹田です。
おへその、指3~4本分、下のあたりですね。
B:「おーーーーい」と、低めの大きな声で、架空の誰かに8秒間ほど呼びかけてみましょう。このときに硬くなる部位が丹田です。
A、Bどちらかで、丹田の場所を分かっていただけたでしょうか。身体の中心でもあり、武道、スポーツ、モデルさんがウォーキングでバランスを取るときや、声にぐっと力を込めるときに威力を発揮する部位でもあります。
------------------------
「語尾伸び」は改善する
意外と知られていないと感じるのは、丹田の使い方です。
いわゆる「語尾伸び」といわれる話し方(私はぁ、それでぇ、ところがぁ、したんですぅ等)は、丹田を意識することで改善します。
たとえば。
このあと、1,2,3で、一瞬、息を止めてください。
1,2,3・・・
(息を一瞬止める)
息を止めた瞬間、おへその下(丹田)が硬くなりませんでしたか?
そこを意識して、語尾や助詞のところで息を一時停止するのです。いかがでしょう。意識しすぎると訳がわからなくなります(笑)
うまくいかない場合は、伸びてしまう音をスタッカートぎみに言ったり、半音(短く)話すなどしてみましょう。(そのときも丹田を無意識に使っています)。
いかがでしょうか。
歯切れのいい話し方に、少し近づいたでしょうか。
------------------------
【結論】お腹を使って声を支える
このほか、「あーーーーーー」と声を出し続けながら、丹田にグングン「力」を入れていくと、声にグングンとパワーがみなぎります。ぜひ試してみてくださいね。
これらのことから、間違いなく「お腹」には、良い声を出すための機能が詰まっています。
「お腹から声を出す」という表現を、外見上から捉えるとワナにかかってしまうので、内に、内に意識を向け、お腹を使って声を支える意識をしてみてはいかがでしょうか🙋♀️