Marvin Gaye の『What's Going on』を聴いてみた編
こんばんは、内山結愛です。
今回は Marvin Gaye の『What's Going on』を聴いてみた編をお届けします。
繊細に動き回るベース、柔らかなリズム、苦悩しながら穏やかに訴える歌声。
統一感のあるサウンド、構成でコンセプトアルバムのような一枚。
ぜひ、読んでみて聴いてみてください!
1.What's Going On
ザワザワ。自分がライブ前の声出しにやる発声みたいな音聞こえる。こんな良い声の「Mother」を聞いたことがない。「Brother」も「Farther」もある。Marvin Gayeの柔らかくて、全てを包み込んでしまうような包容力に早速抱きしめられる。重なるバック・コーラスが入れ代わり立ち代わり入ってくる。コーラスもMarvin Gaye。なんかクリスマスの気持ちになる。でも、歌詞の内容はベトナム戦争に従軍していた弟から聞いた壮絶な体験談だったり、社会的な状況、様々なメッセージが込められている。2:00〜ソプラノサックスの響きが高貴。優しいベースの音が心地良すぎる。このアルバム、ベースがお二人いるけど1〜5まではJames Jamerson。制作された背景を知った上で聞く、サビの「What's Going on」は胸がギュッとなる。声が本当に素敵。
2.What's Happening Brother
一曲目が地続きになっているような二曲目。サウンド、雰囲気にまとまりがある。コーラスが美しい。ソフトタッチで動きまくっているベース。James Jamersonのベースは人差し指だけでプレイするのが特徴らしい。声が本当に良すぎて泣きそうになってしまう。歌詞はシリアス。凄く冬を感じるけど、パーカッションは夏っぽい。
3.Flyin' High (In The Friendly Sky)
ドラみたいな音で始まる。妖しげ。ファンキーなソウル。「フ〜」すらセクシー。ベトナム帰還兵の事を歌っている。当時はこういうメッセージ性の強いシリアスな音楽をリリースすることはレーベル側から反対されていたのにも関わらず、確固たる意志を持ってリリースしてくれて有難う…。確固たる意志だけど、優しく歌い上げているのがまた素敵。
4.Save the Children
ずっと一曲目が続いているような感じ。コンセプトアルバムと言われるのも納得の統一感。ちょっとMarvin不穏な語り。煌びやかではあるけど、重たい。手数が多いし、動き回っているのに変に目立たないベース凄いな。むしろそっと引っ張っている。繊細な指さばき。3:16〜好き。控えめにノリノリになる。歌声は控えめだけどソウルフル。子供たちを救う世界であって欲しいという強い願い、メッセージ。
5.God Is Love
繋ぎがシームレスすぎて…もはやずっと一曲目なんじゃないか…?パーカッションがずっと良い。ピアノの音もずっと良い。タイトルが強い。歌詞の内容はとても重量のあるものだけど、ずっとサウンドは祝福感に満ちたような、幸福感を感じるこのギャップが堪らない気持ちになる。
6.Mercy Mercy Me (The Ecology)
シームレスだけど、ガツンと勢いを持って曲が始まる。ここからベースがBob Babbittにバトンタッチ。ピアノとドラムが、パーカッションもとっても軽やか。晴れやかな気持ち。心地よすぎる。2:04〜サックスの熱唱とピアノの躍動感。最後10秒くらい、ピアノもコーラスもなんか怖い…暗い…!そして曲が…終わった…!
7.Right On
ずっと「ギィギィ」鳴ってるのなんだろう…って思ったらグィロという楽器の音なんだ。さっきまでとちょっと違った雰囲気。ジャジー。フルートの音が野鳥のようで良い。自由。ピアノの表現力凄い。ベースはBob Babbittに変わっても相変わらず溶け込むようにそっと地盤を支えている。2:06〜アルバム始まってからこの雄叫びにグッと来っぱなし。ボーカルも楽器もみんな生き生きとしている。ずっと流れているグィロの音が気になりすぎる。5:00〜急に一曲目から続いてきたような本来のしっとりとした雰囲気に戻る。ビックリした。5:57〜ビックリした〜!!6:47〜ドラムが突然目立ち出す。長尺だけど展開が面白い!
8.Wholy Holy
しっとりしっとり…わかんないけど濃厚なホットチョコレートとか飲みたい。神を讃え、 神に捧げている。讃美歌だ…!美しすぎる。今の季節に聴くと本当に沁みる。冬。クリスマス。荘厳なストリングスに、静かにそっとベースがいる状況好き。愛の美しさ・・・
9.Inner City Blues (Make Me Wanna Holler)
これまでの曲とテイストが違う。パーカッション?が心臓の音みたいで格好いい。ベースに珍しく緊張感を、というか雰囲気全体に強めではないけど緊張感がある。他の曲よりもベースがよく聞こえる。軽やかすぎる「ラ〜タラッタ〜」。コンガ、いいね。歌詞は黒人街やスラムの貧困を取り上げている。4:15〜スキャット、いいね。4:44〜ここで「Mother,Mother」と歌って、オープニングの世界観に戻ってくるのめちゃくちゃ格好いいな…こだわり抜かれた統一感。
Marvin Gayeは、1958年から1984の間に活動していたアメリカのミュージシャン。モータウンレコードに所属しており、所属当初はドラマーとしても活動していた。1970年代のソウルミュージックを定義付けたと言われている。
James Jamersonは、1958年から1983年の間に活動していたアメリカのベーシスト。Marvin Gayeと同じくモータウンを中心に活動していた。現代のポピュラー音楽で、最も影響力のあるベーシストとして知られている。没後17年の2000年にはロックの殿堂入りしている。
Bob Babbittは、1966 年から1972 年の間に活動していたベーシスト。モータウンレコードのスタジオバンドである「The Funk Brothers」のメンバーとして活躍した。
☆モータウンレコード:デトロイトの別名「モーター・タウン」に因んで名前を付けられたレーベル会社。モータウンは、流れ作業的に次々とトラックレコーディングが行なわれ、次々と歌を吹き込むといった製造工程で、工場と例えられることが多くある。モータウンで生まれた独特なソウルミュージックは「モータウン・サウンド」(複雑なアレンジや、「こぶし」的なボーカルは避けられていた)と呼ばれる。
ベースヒーロー編ではあるけど、このアルバムに込められたメッセージとか、レーベルとの関係性がとても興味深くて、そっち方面のアレコレを色々調べてしまいました。
キーワードは「モータウン」!
まるで「工場」と言われるくらい、作業的に音楽が作られていたレーベルで、こだわりにこだわったサウンドで、かつ強いメッセージを込めてセルフプロデュースでアルバムを出したMarvin Gayeは本当に異例だっただろうな〜
行動力と信念、めっちゃ格好良い…!!!
モータウンの社長に「What's Going On」の歌詞のシリアスさに難色を示されて、シングルとしてのリリースを拒否されても、Marvin Gayeはリリースしないのなら残りのレコーディングをしないと対抗したというエピーソードも。
結果リリースされて大ヒットしてるから凄いです。
音の柔らかさ、ゆったりなグルーヴ、個人的に凄く冬やクリスマスを連想したサウンドにとっても心癒されました。
目立ちまくりのベースというよりは、下で優しくしっかり支えるベースは沁みたし、ベーシストが2人いて豪華だった!
時に哀しく、暖かく、全てを包み込むように歌う声がとっても素敵だった!
同じメロディ、同じ言葉が度々登場したり、メッセージに一貫性があってとても統一感のある一枚でした。
次回は The Who の『Who's Next』を聴いてみた編をお届けする予定です。お楽しみに…!
最後まで読んでくださり、有難うございました。