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100 gecs の『1000 gecs』を聴いてみた編

こんばんは、内山結愛です。

hyperpopシリーズ!

今回は 100 gecs の『1000 gecs』を聴いてみた編をお届けします。

強烈に加工されボーカルの肉体性を失っても溢れ出る感情、過剰に注ぎ込まれる情報量、パンチラインしかない歌詞。

様々な音楽ジャンルごった返すキュートでドラッギーな一枚。

ぜひ、読んでみて聴いてみてください!

1.745 Sticky

近未来で無菌な感じ。メタリック。ビートが肉感的で脈打つ感じ、スーパー気持ち良い。0:33〜ピッチシフトとえボーカル、ほとんど人間っぽさを感じない。0:43〜人間居た…!0:58〜HIPHOPを感じる。ラップ…?韻とかノリが気持ち良い。1:26〜突然の爆アゲクラブ1:42〜凄いハピネス。ハピネスかと思ったら暴力。脳みそが歪む。たまに交通事故起きてると思う。交通事故にたまに絶叫や犬の鳴き声、イカつい「イェ゛」が入ってくる。歌詞が怠そうで良い。親しい友人との「マジだり〜」みたいな会話を聞いてるみたい。とにかくお金のことを心配してる。次から次へと注ぎ込まれる情報量。Twitter(現X)が好きだから、hyperpopな音楽好きなんだよなぁきっと。

2.Money Machine

冒頭3行、マジで良い。「ハァ?」が生意気ギャルで好き。ビートと言葉のリズム、アクセントが重たくバキッとハマる瞬間昇天。「They look like lil' cigarettes(タバコみたいだね)I bet I could smoke you(きっと君を吸えるよ)I could roast you(あなたを焼いてもいいよ)」ここも好きすぎる。歌詞のマインドが好き。もうボーカルのピッチ変えすぎてどれが本当の声かわからない。頭の中にはピチピチギャルが浮かんでいる。1:40〜ノイズにまみれてグリッチグリッチ。映像に落とし込みたくなる音。

↓1:38〜の謎歩き好き、ナイスグリッチ!

3.800 DB Cloud

しっとりかと思ったら0:20〜音割れしているみたいなビートが飛び込んでくるから最高。こういうジャンルの音楽って常に音割れしているイメージがある。格好良い。割れてたら割れてるだけ良い(過激思想)。1:30〜「might go and throw my phone into the lake, yeah(湖へ行って携帯を投げ込んでしまいそうだよ)」、私にもあります、こんな気持ちになること。どれだけピッチを変えても感情がある、この絶妙なバランス感覚。1:55〜ノイズデスメタルドゥームメタル、何このおどろおどろしい世界観。突然のホラー。

4.I Need Help Immediately

気の抜けたパーカッション。0:08〜音が良すぎて映画館かと思った。子供が自分の好きな効果音を無邪気に継ぎ接ぎしたような文脈のない目まぐるしい展開。「もう音楽ジャンルに当てはめようとか、そんなことをしようとする方が野暮だよね、自由で居て…」という気持ちになる。

5.Stupid Horse

タイムスリップできそうな音で吸い込まれていった先に、キラキラポップでカラフルな景色が広がる。歌声のキャピ具合が元気出る。0:50〜こんな格好良いギターの音が聞けるなんて聞いてない。「フォー!」ってあり得ないくらいテンション上がった声が飛び込んでくるけど、自分の心の声かと思った。1:15〜どんどん行け行け!と応援されてる気持ちになる。歌詞読んだら賭けた競走馬が負けて、それに怒って、騎手から金品を奪って、その馬を駆って家まで帰る話で笑っちゃった。ブッ飛んでる。

6.Xxxi_Wud_Nvrstøp_Üxxx

タイトル可愛いけどシリアスな雰囲気。ボーカルのピッチがより高めで年齢が若く感じる。どんどん高まっていくような曲の構成。0:53〜もう知らない音しか無い。プギィんプギィんなビートに殴られ続ける。気持ち良すぎる。わからないけどイヤホン壊れそう。イヤホンがどこまで耐えられるのか。1:47〜歌声が不安定で、ヨレたり、ピッチシフトによってひっくり返ったり、情緒めちゃくちゃ。

7.Ringtone

タイトル通り、携帯から鳴る音がずっとピコピコ鳴っていてキュート。歌詞もキュンキュンする。けどすれ違っている。1:12〜歌声の感情の昂ぶりとグッドメロディライン、迫ってくるような言葉のリズムで最高潮。キュートな狂気。

8.Gecgecgec

劇チック。また子供が無邪気に遊んでいるみたいな構成。0:41〜カエルになっちゃった。1:04〜ドラマチックとビートでぶん殴るターンが交互に来る。1:28ーやっと本編な感じ。携帯電話(インターネット)というものがこのアルバムにとってキーワードなんだろうな。恋人へ依存したい、依存されることを歌っているなんて…

9.Hand Crushed By a Mallet

歌声めちゃくちゃ力強いし、トラックもカーレースしたくなるような疾走感、焦燥感、ギラギラ感があって格好良い。ダークヒーロー。Laura Lesによるとボーカルを加工しているのは自分の声が好きではないかららしいけど、絶対にめちゃくちゃ良い声だと思う。ビートというビートがブリブリで気持ち良い。脳が振動する。3曲に一回くらいのペースでタバコを吸っているな。

10.Gec 2 Ü

タイトルの表記が可愛い。やっぱりめちゃくちゃ良い声。加工はされてるけど、本当の声と近いような気がする…どうなんだろう。サビ?で繰り返し出てくる「And you say, "I need love, can you get to me now?(そしてあなたは言う、 「愛が必要なの、 今すぐ連絡をくれる?」)というフレーズキュンだな。2:01〜好き。2:23〜スピードアップしてビートぶん殴りタイムが始まる。油断すると様子おかしくなる。エッもう聴き終わっちゃった…!?(アルバム通しても役 約23分)

100 gecsは、2019年にデビューしたLaura Lesと Dylan Bradyによるプロジェクト。この名前は、ネット通販でヤモリ(gecko)を1匹注文したら、誤って100匹届けられてしまったことが由来しているという。本作は2019年にリリースされたデビューアルバム。

踊る言葉のリズム、殴られるビート…音の気持ち良さがとにかく最高でした。

絶え間なく、過激に、キュートに、カラフルな情報が次から次へと注がれて楽しかったです!

hyperpop特集のユリイカで、hyperpopについて「ポップの条件を最大化し過剰化することによって非ポップに近づく」と書いている部分があって、ポップな要素を増やせば増やすだけポップになるのではなく、ある一定量を超えたらポップからもはみ出たハイパーなものになってしまうのか…なるほど…となりました。

ユリイカ、色んな角度で色んな人が違った言葉でそれぞれのhyperpopを語っているので本当に面白かった!

hyperpopの虚実の入り乱れ方も面白いなと思いました。

サウンド面やヴィジュアル、アートワーク面ではポップさや現実世界からも超えたような存在だけど、歌詞は人間関係やジェンダー、自分自身の内側のことなどストレート(?)に現実そのものを取り扱うような…その虚実のギャップに惹かれました。

100gecsの場合も、収録曲の半数以上に携帯電話のモチーフが現れていたり、恋人との関係、金銭面のことを歌っていたな…

ちなみにアルバム制作中もレストランでフルタイムで働いていたらしい。ビックリ…!

今回このアルバムを聴いてかなり100gecsのことが好きになってしまったので、この先もめちゃくちゃ聴くだろうなぁ。

↓2021年にも聴いていたけど、今このタイミングでこんな好きになるなんて…

そしてhyperpopシリーズ、フィジカルの入手が普段のロック名盤より困難で公開が遅くなりごめんなさい!次回も遅くなってしまったらごめんなさい!でもhyperpopは最高です!


次回もhyperpopシリーズ!

次回は Charli XCX の『How I'm Feeling Now』を聴いてみた編をお届けする予定です。お楽しみに!


最後まで読んでくださり、有難うございました。


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