理想とする人生は案外、身近にあるのかもれない。
だんだんと冬に近づくにつれ、仕事もそれに比例して落ち着いてくる。そうなると平日でも時間に余裕ができるので、1週間に2回の愛犬との散歩はほぼ毎日の日課になっている。露出した肌にあたる冷たい風は少しずつ、体の体温と奪い合いっこする感覚は新鮮でなんだか気持ちがいい。
いつものルートより少し長めに散歩しようと、あまり行かない道に入ると愛犬は「そっちの道行ってもいいの?」と目をキラキラさせながら僕の顔を見て微笑んだ気がした。
まだ夕方ではないけど、小学生たちが下校している。河川敷の広場には親子で走り回って遊んでいる。「やっほーー!。お母さん聞こえる?」と子供が広場の端で大きな声で呼んでて、その子の母親は両手をあげ丸のマークを作り返答していた。
「お母さん!!小鳥がいっぱい飛んでるよ!すごいねぇ〜!」と雀の群れに指を差している。
子供の豊かな感性と好奇心を目の当たりにして心がほっこりした。
小学生の男の子3人が、石ころを蹴りながら歩いてきていた。僕の前に差し掛かると蹴っていた石ころを拾い上げ、お辞儀をして通り過ぎていく。
本当は石ころを蹴るのは危ないし、やってはいけない事だと思う。けど、その光景に幼少期の頃の自分と重ね、僕も石ころ蹴って隣人宅の窓を割ったなぁと思い出に浸っていた。
路地を照らす陽光はどこまで続いているのだろうか、今日の空はより一層に蒼いな、猫が外壁の上で寛いでいるなど、散歩でも感性の輪を広げれば見えなかった物も見えてくる。
新しい地を巡って旅をしたりする事はもちろん楽しい。
けれど、こんな平凡で穏やかな日常こそ自分の考え方次第で、最高の人生になるのではないかな。