秋から冬になるにつれ静寂な世界に包まれていく。そんな中ゆっくりと読書したくなりませんか? 読書好きの僕が今年読んで良かった本を紹介します。 1.タンポポのあけくれ 片岡千歳 夫婦で営んだ高知の古本屋さんのお話。片岡千歳さんの人柄がたっぷりと染み込んだ文章からは、温度も匂いもなんだか伝わってきました。古本を愛するすべての人にぜひ読んで頂きたい一冊です。 2.帰れない山 パオロ・コニェッティ ピエトロとブルーノそれぞれの生き方の違い、雄大で美しい山とは裏腹に暴力的な側面の
だんだんと冬に近づくにつれ、仕事もそれに比例して落ち着いてくる。そうなると平日でも時間に余裕ができるので、1週間に2回の愛犬との散歩はほぼ毎日の日課になっている。露出した肌にあたる冷たい風は少しずつ、体の体温と奪い合いっこする感覚は新鮮でなんだか気持ちがいい。 いつものルートより少し長めに散歩しようと、あまり行かない道に入ると愛犬は「そっちの道行ってもいいの?」と目をキラキラさせながら僕の顔を見て微笑んだ気がした。 まだ夕方ではないけど、小学生たちが下校している。河川敷の
幼少期、僕は何かと自然に触れ合っていた。 子供ながら広大な草原の中を駆け巡り、虹を見つけ感動し夜には満天の星を眺めうっとりする。そんな体験を大人になったら必ず実現すると心に誓った。 しかし大人になるに連れ、仕事や人間関係のドロドロとした社会に、少しずつ心は侵食されていた。 いつしかこう思うようになった。 僕の中にある夢はそのままが一番いいんだと。 今思えば、夢を実現させるのが怖かったんだと思う。 実現させてしまうと、生きる意味を失ってしまうんだなって。 それでも、一定の
ある時、近所に住んでいる80代のおじいちゃんからフィルムカメラを譲って頂いた。おじいちゃんが20代の時に買ったらしい。けれどレンズには全くと言っていいほどカビが生えておらず、カメラ本体は目立った傷もない。 ずっと大切にされてきた事が一目で分かった。 このカメラは、僕よりずっと年上で僕の知らないおじいちゃんを知っている。 ひとりの人生に寄り添い、形に残してきたカメラには受け取る時、心なしか温もりを感じた。 あれから3年経った今、妻と出かけるときや仕事で移動しているときでも「あ
6月11日 タシケント ブハラからタシケントへ電車で移動をしたのだが、行きの時とは違い予定通り到着した。お腹も最骨頂に調子が悪く、カメラはぶら下げていたが写真を撮る気力も無くなっていた。 宿に着いた頃は只々、横になりたかった。 6月12日 アゼルバイジャンへ 最終日、早朝0時にタシケントからアゼルバイジャンへ移動する。眠たい目を擦りながら空港へ向かった。薬のおかげか先日より体調が楽になっている気がする。 アゼルバイジャンに到着する予定は3時半。昼行性の僕にとっては常に眠
顔も知らない誰かに路地裏で追いかけられる。 必死で逃げるが迷路のように入り組んだ場所だったので、 直感を頼りに曲がりながら必死に走る。 不意に振り返ると追いかけてくる人は、少しづつ距離が遠くなっていた。 これなら撒けれると思い、再び前を向くとそこは壁一体が張り巡らされていた。 そう、行き止まりだ。 すると後ろから首を絞められ、必死に抵抗するが相手の力が上回っていたのかびくともしない。 意識が少しづつ朦朧となり「あぁ…終わったな…」と思った瞬間、目が覚めた。 起きたときはこ
眠たい目を擦りながら起床し、2時半に宿をチェックアウトした。 乾燥地帯だからか、夜は意外と涼しいというか寧ろ少し肌寒い。今回も寝台列車に乗り移動する予定で6時間ちょっと。中々に長い時間で気が滅入るが、ベットはあるから少しは快適に過ごせるだろうと思っていた。 早朝の寝台列車電車の出発時間まで外で待機していたが、予定時間になっても電車は一向に来ない。来たと思ったら貨物列車だったり、なんだかんだ1時間遅れて電車が来た。 幸先が少し不安だな。 電車の車両が思ったより多く、自分た
6月5日 夕方にかけて、お土産を物色したり観光街から離れた場所に行ったりしていた。夜ご飯は目星をつけていた飲食店がまさかの閉まっていた。まぁ、食べる所は観光地なのでいくらでもあるけど、少しがっかり。 予定変更で、屋台で食べ物を買い持ち帰る事にしたのだが、僕たちが行った屋台の若い男性が少しオネエな雰囲気が漂っていた。 サモサ?みたいなものを何個か買ったのだが、男性が下唇を噛みながら友人に釘付けになっており、その光景が中々カオスで笑ってはいけないと心の中で思えば思うほど、笑い
6月4日 朝、僕たちは長距離バスで青の都へ行く予定。 日本みたいにサービスエリアなどなく、街から街への間が長く売店もないかもという情報だったので、宿近くの売店で食料調達をした。 写真以外にもパンなどを買い、準備万端だ。 宿からタクシーで約30分くらいだったと思う。 今まで乗ったタクシーのほとんどが冷房がついてなく暑く、窓を開ければ熱風が吹いて、僕たちは徐々に溶けていきそうだった。 少ない情報を手立てに目的のバスステーションに着いた。 受付に行きチケットを無事、買うこと
6月1日横浜で気づく 4日前、出身地広島を離れ東京に来ている。 出発日までに、空港までのルートを調べていると勘違いしていることに気づいた。なんと成田空港と思っていた場所が羽田空港だった。 それに気づくまで「横浜付近にいればすぐに着くだろう」と気楽に考えていた。 幸いの事に、当日気付いたわけではなかったのでよかった。 6月2日成田空港へ ホテルで荷造りをし空港へ向かう。 台風が接近しているらしい、飛行機よ無事に飛んでくれ。 出国前の朝ごはんを食べたが、本当は和食を食べた
去年の秋終わりの季節、「来年は卯年かぁ。」と思っていた。 うさぎは小学生の時、友達の家で飼っているのを触った事がある。 それ以来は見た記憶がない。 そう考えていると、広島にうさぎに会える島があるじゃん!! とふと思い出した。 朝日が照らす海の街 早朝に支度をし、広島市から下道で約2時間弱走らせて竹原市忠海町に着いた。 着いて早々に感じたのは、どこかホッと心が落ちるかせてくれる街並みが出迎えてくれた。 まだフェリーが出発するまで時間があるので、散歩しよう。 太陽のや
顔が凍えるような寒さと共に目が覚めた。 カーテンを開くとそこには、焼ける空をバックに、白銀の世界が目に映っていた。 ここ数年見ない景色に、眠気が吹っ飛んでいった。 吹雪と道と私 どこに行くか決めず、外出する支度を淡々とこなし、車へ向かった。 乗り込むと、Googleマップを開いた。「自宅よりもっと雪深いところに行ってみう。」と思い、検索しているとある場所が引っかかった。 2時間かかる道のりだったけど、そんなのはお構いなし。雪道を走行するワクワクと山麓にある村という
朝はツンっと鼻が摘まれたように感じる季節になった。 そんな肌寒い季節、ある人から一本の電話がかかっていたらしい。 今年の4月、僕がトルコへ行く前に写真を依頼してくださった方からだった。 90歳の老夫婦で、二人並んだ写真がないとのことで撮らしてくれることになったが、撮影後すぐにトルコへ出発し2ヶ月ほど帰らなかった。「帰ってきたら、顔見せにきなさいよ」と約束をしていた。 海外から帰省してすぐ、挨拶に行くと老夫婦はおられず、代わりに娘さんがおられた。話を聞くと、僕が帰る2日前
日本に帰省してから月日が経ち、海外で過ごした夢のような感覚が 少しずつなくなってきたある時、僕の中でより一層 日本の歴史ある風景を見てみたい気持ちが強くなっていた。 Googleマップで探していると、地元ではあまりみない街並みを見つけた。 しかも、住んでいるところから程よく近い。 休日の早朝そそくさに支度を済ませ、目的地に車を走らせた。 場所は岡山県の真庭市にある、勝山町並み保存地区。 1.勝山町並み保存地区 早朝だったからかまだ人通りは少なく、 鳥のさえ
夏真っ只中、疲弊しきった心と体。 僕は癒しを求めて、静かな場所へ行こうと決めてた。 そう、何もない、鳥の囀りが響き渡るくらいのところを。 僕が住んでいる町は、四方八方、海に面していない。 なので、いつも行く場所は自ずと決まる。 海に面したところに行こう。 そう決めた時には、パソコンで宿を調べていた。 旅館とかももちろんいいのだけど、今回の目的は静かな場所へ行くこと。 古民家に泊まろうかな。 瀬戸内海で検索していると、 今年の初めにオープンした一棟貸しの古民家を
僕たち二人は、黄色電車であるところに向かっている。 特に、計画を立てていたわけでもない。 ただ直感で行きたいと思う場所はいつも決まっていた。 電車内に差す光の先には、海に囲まれた島たちが見える。 いや、もしかしたら島に囲まれた海なのかも。 最近の僕は、何をやっても心の中で「何か違う」という感情に憚れていた。 でもいつもこの場所に来ると、その感情はなくなる。 街に浸るだけで、心が落ち着く。地元ではないのに、どこか懐かしい思い出が浮かび上がるような、そんな気持ちにな