デーリー東北「ふみづくえ」執筆⑨|地層よサラバ
菜園を始めるまでは、スーパーでその時安い野菜を買い、日々の献立を考えていました。元々が面倒くさがりのズボラですので、野菜を選ぶのすら億劫だなあ、とも思っておりました。
時は流れ、青森県に住み始め、荒れ地の活用で家庭菜園を始めました。わが家の菜園はゴールデンウィークごろに始まり、お盆あたりに収穫の最盛期を迎えます。種類ごとにレーンを分けて育てているのですが、種まき時期をずらしていないので、1レ ーンごと一挙に収穫時期が来てしまうこともしばしば。必然的に、食べなければいけない野菜たちが冷蔵庫や冷凍庫に押し寄せることになります。人によっては困り事かもしれませんが、私の場合は店で野菜を選ぶ手間より、自然の成り行きで勝手に食材がやってきて、献立化しなければいけない状況の方が性に合っています。
そんな悠長なことを言っていられるのも、ひとえにインターネット上のレシピがあるからこそ。とりあえず冷蔵庫にあるものを検索窓に入れれば、献立の逆引きができます。 レシピサイトが登場するまでは雑誌や料理本、テレビの料理番組が主たる情報源でした。先に献立があって、材料がある、という順番。この方法だと、献立のために材料を買わなければならず、しかも滅多に使わないような材料だったりすると、もう料理以前に何もかも億劫になってしまいます。そして1回しか使わないスパイス類なんかが冷蔵庫で地層になったりするわけです。お、これは3年前の地層から出土したクミンだぞ、 のように。
最近では雑誌もオンラインで購読しており、作ってみたい料理があれば画面を写真に撮って電子化しています。データを保存する時に大まかな材料名と共にメニュー名をファイル名に付けておき、オンラインでアクセスできるプライベート用データ保管庫に入れています。いうなればデジタルレシピ帳。材料名検索だけでなく印刷もできます。 何度も繰り返し作るようなものは印刷して壁に張ることもあります。
レシピサイトには調味料の作り方もたくさん載っています。青森県は国産ニンニクが驚くような安さで売っており、せっかくなので焼き肉のたれなども手作りしました。好みのニンニクの量とお気に入りのお醤油を使い、サイトを参考にしつつ完全にわが家オリジナルの味ができました。お醤油にこだわりのある方はぜひ一度お試しいただきたいです。ちなみに、去年より家人がニンニク栽培に挑戦しておりまして、うまいこと収穫までこぎ着けることができました。どんどん上がる自給率。
青森暮らしを満喫できている理由の一つはインターネット文化のおかげ、と言っても過言ではありません。ありがたや、ありがたや。
ところで、以前こちらで玉味噌造りについて触れた際に、菌学会の権威であらせられる星野保先生に一方的なアプローチをしたところ、ご連絡を頂きました。感謝の気持ちで下げた頭が地面にめり込みました。きっかけがふみづくえだけに、メールをやりとりする様は文通のようでした(うまいこと言ったつもり)。