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明日もきみで終わりたい
敬礼したあとぱっと両手をひらく
表情が和らいで、手のひらが小さく揺れた瞬間「あ、じんくんだ」と思った
涙を流す部隊の仲間に声をかける
何度も聞いてきた口癖が耳に触れた瞬間 また
「あ、じんくんだ、」と思った
じんくんの仲間が泣いて、じんくんが泣いて、気づけば自分も怖いくらい呆気なく泣いていた
メンバーの姿に嬉しそうにきゅうっとあがる頬、仲間を包み込むようにやさしく抱きしめる背中、目を閉じてふわふわ笑う顔、わたしのだいすきなじんくんのまま
あ、すき、だいすき!と驚くほど安直に思った
おかえりぼくのおつきさま
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The Astronautを置いて、自転車に乗って遠くにいったじんくんは、じんくんのためだけに用意されたたったひとつの宇宙に、The Astronautを響かせて、自転車に乗って帰ってきた
せっかく残していってくれたのに、思い出すのが怖くてあの日からずっと聞けないままいたThe Astronaut、1年半越しにじんくんが歌って聞かせてくれた
そうだあの日は講義をサボって帰ったんだっけ、真っ暗な部屋でじんくんの宇宙を覗いたんだっけ、こんなに好きなのに こんなに大切なのにわたしたちおわかれしなくちゃいけないんだねって、そうやって泣いたんだっけ
低音がすこし苦しそうで、いつも完璧しか見せてくれないじんくんは、あんなに慎重で練習魔なじんくんは、きっとボーカルの調子を整えてから舞台に立ちたかっただろうなって思った
だって昨日まで軍にいたんだ、
すぐに会いにくることを優先してくれたんだと思うと、胸がきゅっとなった
「 And I love you 」
束の間のお別れの言葉
じんくんは、さよならのかわりにアイラブユーを選んだ
あの日、宇宙のど真ん中で音に乗せた世界でいちばんやさしかったさよならは、今度はせかいでいちばんやさしいただいまに聞こえた
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わたしたちに決して涙など見せてくれないじんくんの瞳の奥が揺れる
潤んだ光を誤魔化すようにぱちぱちと瞬いて、星がはじけてきらめいて、じんくんの瞳に宇宙が広がった
歌ってるときの手の表現、何年経っても変わらなくて、やさしくて好きだなぁ
歌詞にこめられた思いを、努力で磨いたじぶんの歌声を、聴く人のこころをそっと撫でるような
ほんとうにおつきさまみたいで、綺麗で、柔らかくて、誰も傷つけなくて、一生懸命で、好きで好きで仕方がなくて、瞬くたびに輪郭を取り戻しては視界がぼやけた
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無数のキラキラの中で踊るじんくんは、まるで宇宙を飛んでるみたいで
渦巻く歓声のど真ん中で歌うじんくんは、まるで世界中の視線を独り占めしてるみたいで
そう そうだった、これがじんくんのファンだった、こんなきもちにさせてくれるの、世界中どこ探したってじんくんしかいないんだった
誰かに自慢したくなるくらい幸せで、誰にも伝えられないくらい幸せだった ずっと
顔を見るだけで声を聞くだけで涙が出る好きを、
わたしは今も昔もじんくん以外に知らない
とっくに片手なんかじゃ収まらなくなった年数、
いつもこころのいちばんめ
これを人生と、そう呼びたい
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ファンのそばに近づいたじんくんが、紫を目にいっぱいいれて「そうだね、これがぼくの生きてきた人生だったよね」って思い出したみたいに溢した
じんくんの選んだ人生、
いつかこの日々ぜんぶを思い出す日に、楽しかったって、これでよかったって絶対言わせる人生にしたい、この先何度だって「アイドルが天職だ」って痛感しては笑ってほしい
これからも映画みたいな景色だけ見せるから、一生掴めない場所で、届かない場所で、遠い場所で、きらきら輝いててね
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他のことは何ひとつ書けやしないのに、何年も何年もじんくんへの 好き にだけは言葉がとめどなく溢れてくること、もうこれが答えだと思った
「やっぱりじんくんのこと話してるときがいちばん楽しそうだね」って笑われたこと、もうこれがすべてだと思った
春にも夏にも秋にも冬にもじんくんがいて、どの季節を超えてもじんくんが大事で、365日を何周してもやっぱりじんくんが特別だった
息をするのと同じくらい、心臓が動くのと同じくらい当たり前にじんくんを好きな自分がいて、泣いたって止まったってわたしの人生にはじんくんがいるというその事実に、泣きそうなほどほっとする
好きになってから一度だって、じんくんのことを好きでいる気持ちを裏切られたことがない
今でも心の奥深くに大事にしまい込んである、ぜんぶ過去になってしまったあのときの「楽しい」、時々取り出して眺めてみる
じんくんがくれたいっぱい、いつも、いつまでもやっぱりいちばんきらきらしてる
じんくんのおかげでなんだかずっと楽しいの
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キラキラピンクマイクを握るじんくんを眺めながらやっぱりおもった、
近すぎず遠すぎず、ずっと一定距離を保ってアイドルしてくれてるところが好き
昔から一貫して「良いところだけ見せたい」って言ってくれるところが好き
ファンが見てる「キムソクジン」を見せ続けてくれるところが好き
いつも心にスペースがあって「絶対に忘れてはいけないことをいつも忘れてない」ところが好き
自分を待っていてくれた人たちのことだけを考えてるところが好き
消えた歓声のことじゃなくて、いつも目の前にいる人たちを喜ばせることだけを考えてくれているところが好き
人に気を遣わせないやさしさが好き
いつも想像の斜め上をくれるところが好き
今できる最大限を届けてくれるところが好き
すべての努力と愛情に込められた本気さが重く感じられないようにしてるじんくんが、綺麗に澄ました顔をして誰よりも前向きな泥臭さを持ってるじんくんが、めいっぱいだいすき
じんくんが離れてゆく人がいることを当たり前に受け止めているなら、わたしはいつまでもそれを裏切り続けたい
いつかページの端がやわらかくなっていく速度でしか思い出せなくなってく日も、記憶を再生するたびに彩度が落ちていくのを分かっていて繰り返しのボタンを押す日も、そこに映るのはじんくんがいい
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じんくん、誕生日おめでとう
あの日、うっかりわたしに見つかってくれてありがとう
気を抜いたら泣いてしまうくらいじんくんのことがすきです
きっと明日も、起きていちばんめにじんくんのこと考えて、じんくんで終わりたい
2024.12.4 🌙
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