詩
ひとりの部屋で
名もない座り方で座っていると、
それが一ぴきの猿のように思えてくる
猿山で産まれて、猿山で生き、
思い出したようにふっと見上げる
見上げはするけれども、猿山で生きる
のそのそと歩き、かゆいところを掻き、
気のままに座るのを、それを、
柵の外から見ていて、心が汗をかいてしまう
湯船に浸かる瞬間に、
ァァァーと声を発するようにしている
台詞がないと、人間でいられない気がした
「いただきます」とか「ごちそうさま」を
言うのがごはんで、言わないのがえさだ
潜る練習をする
小学校の頃を思い出す
息を吸い込む瞬間
まるでスポーツのようだと思う
身体の力を抜くのが上手くなった
上手に浮くと、生から離れられて良い
考え事をしながら髪を洗って、リンスを顔に塗る
なるほど、まちがえるのも悪くない