亀甲貞宗と特別展「神護寺」を見に東京国立博物館へ行ってみた
【これまでの記事】
これまでの「東京国立博物館いってみた」の記事はこちらです
主に、総合文化展での刀剣乱舞の実装刀展示と、同時期に開催されていた特別展の感想をまとめています
2023年8月 博多藤四郎展示 特別展「古代メキシコ」
2023年10月 大包平・鳴狐・毛利藤四郎展示 特別展「やまと絵」
2024年2月 三日月宗近展示 特別展「中尊寺金色堂」「本阿弥光悦の大宇宙」
2024年5月 童子切安綱展示 特別企画「令和6年 新指定 国宝・重要文化財」
2024年7月 亀甲貞宗展示 特別展「神護寺」
2024年7月 亀甲貞宗展示
天気よすぎてあっついわ!
ってなわけで、サントリー美術館で物吉くんに会ってきた後、亀甲さんに会いに東京国立博物館にやってまいりました
また同時期に開催されていた特別展「神護寺」にも行ってきました
↓↓物吉貞宗も展示されていた、サントリー美術館「尾張徳川家の至宝」はこちら
刀 相州貞宗(名物 亀甲貞宗)
早速、亀甲さんのいる常設展の刀剣の展示エリアへ
いつもの正面ケースに展示されておりました
茎に亀甲紋様が見えますね…
2022年に東京国立博物館130周年記念事業として開催された、特別展「国宝」ではとても混んでいてなかなか見えなかったので、今回じっくりみれてうれしかったです!
●2022年10月 特別展「国宝」の様子
「短刀 青江次直」
また、お隣のケースには青江次直の短刀が
波紋が特徴的 炎のようですね
総合文化展の気になる品々
またこの他にも面白い作品がたくさんありました
いつ来ても東博は面白い物がたくさんあるな…
「自在鯉置物」
ちょうど刀剣展示エリアの横のところに、自在置物の鯉が
東博には龍の自在置物もありますが、これもすごく面白い品です
参考:自在置物 龍 を動かした様子
https://m.youtube.com/watch?v=QAd-I9nZ15I
これ一度見てみたかったので、今回うれしかったです
尾鰭が本物の鯉のように動くんですよ…動画がないのが残念…
龍の置物を見てもわかる通り、金属でできていると思えないほど、なめらかな動きができます
すごいなあ…
染付子犬形香炉
ぽかんとした顔がかわいい…とみていたら
解説パネルに「口と両耳に穴があいています」の文字が
耳???
そこからお香の煙でるの??
いや、なんかシュールな光景です…
実際こんなに大量の煙は出ていないのでしょうが…ちょっとなんともいえない…けどなんかかわいい
人間国宝・平田郷陽の人形 -生人形から衣装人形までー
本館では人間国宝の創作人形作家・平田郷陽の生き人形の企画展示が
…本物の首のようでちょっとびっくり
なんでこんなにリアルに作れるんだろう?
つるっとしていて、理想的な人間の肌というより、肌の質感がリアルで、怖いぐらいでした
江戸時代の、それもごく普通の庶民の男性の肌感って感じで、おでこのしわまでよく作られています
生まれたばかりの赤ちゃんのお人形も
うわー!本物の赤ちゃんが泣いてるみたい!
愛くるしい
こちらもくしゃくしゃっとした泣き顔が本当にリアルです
このほかの衣装人形もとても美しく、生き生きとした表情をしていました
その前後の物語までわかるような、動きのあるような…
特別展「神護寺展」
また今回は特別展「神護寺展」が開催されていたので、こちらも楽しんできました!
面白かった〜
写真撮影できるものはこれだけでしたので、またXのポストなどお借りして気になったものの感想を述べていきたいと思います
神護寺の歴史
まず知らなきゃならないことは、神護寺の歴史について
神護寺は京都の北西、高雄山のところにあるお寺
和気清麻呂が宇佐八幡宮からお告げを受け781年に建立した神願寺と、和気一族の私的なお寺・高雄山寺が、824年に合併、神護国寺祚真言寺(神護寺)となったことが始まりで、ちょうど今年が創建1200年になるそう
唐で密教を学んだ空海が講和や灌頂を行った場でもあり、天台宗の開祖・最澄と交流した場でもあります
その後、994年と1149年に大火に見舞われた後荒廃していたそうですが、文覚の尽力にて源頼朝・後白河法皇の庇護を受け再興
薬師如来立像、釈迦如来像、伝源頼朝像などの神護寺三像、
両界曼荼羅などの国宝を多数所蔵しています
空海との関わり
神護寺は空海ゆかりのお寺で、今回の展示でも空海に関する品がたくさん展示されていました
空海は弘法大師とも呼ばれ806年に真言宗を開いた人物で、824年には京都の神泉苑で雨乞いも行ったそう
(神泉苑といえば863年に初めて御霊会が行われたところで、8月の刀剣乱舞のイベントでもキーワード的に出てきました)
水のない地に湧水を出した昔話など、日本むかし話ではおなじみの人物です
今の香川県で生まれ東大寺で受戒し正式な僧侶になった後、遣唐使に同行し唐の青龍寺で修行
そしてわずか2年で「金剛頂教」「大日経」の2つの密教の奥義をマスター
「伝法灌頂」にて正式な密教修行者となります
留学して2年で免許皆伝、ということでしょうね…相当な秀才か天才だったんだろうな…
帰国後は高雄山寺にて国家鎮護の修法をはじめ、812年に最澄たちに「金剛界灌頂」「胎蔵界灌頂」を授けています
その後、816~817年ごろに和歌山県の高野山に金剛峰寺を建立し、平安京の東寺を下賜されます
高野山の奥の院にはまだ空海が生きているとの入定信仰があり、今でも奥之院に食事を届ける儀式が続いているのだそうです
密教とは?
真言宗は密教の宗派の一つ
…ということは学校で習っていても…そもそも密教ってなんじゃ?というところがいまいちわからず
いい機会なのでちょっと調べてみました
●密教
大日如来を宇宙の中心にいる仏とし、その大日如来が示した「言葉では表せない教え」のこと
教えは対面でしか継承できず、悟りを開くための儀式など実践重視
加持祈祷によって現世利益をもたらすという考え方があり、そのため平安時代の朝廷に広まった
経典:「大日経」など
●顕教
(密教に対しての、南都六宗などほかの教えを区別した言い方)
衆生済度を目的に開祖・釈迦が人々にわかりやすいよう説いた教えに近いもののこと
一般的に広く伝える、公に説かれた教え
日々の瞑想や戒律の順守を通じて、時間とともに悟りに近づくことを追及する
経典:「華厳経」「法華経」など
…う~ん、なるほどわからん
なんとなくそれまでの仏教とは違うことはわかりますが…
「言葉で表せない教え」ってどんなものなんだろう?
展示の解説文にも、教えの音に漢字を当てると伝わらなくなってしまう、などありましたが、どういうものなんだろう??
両界曼荼羅(高雄曼荼羅)
その「言葉では表せない教え」をわかりやすく表したものが、この2つの曼荼羅
縦横それぞれ4メートルにもなる、金泥で緻密に書かれた巨大な絵になります
「金剛界」「胎蔵界」の二つが、前期後期に分けて展示されておりました
曼荼羅は密教の世界観を図式したもので、「金剛頂経」と「大日経」をもとにしたのが、この「両界曼荼羅」だそう
国家安泰を祈る後七日御修法などで使われたもので、大内裏の真言院という部屋にて、東西に両界曼荼羅、その他五大尊や十二天像を飾って祈祷をするのだそうです
どちらも中心に大日如来がおり、「金剛界曼荼羅」は大日如来と一体化する即身成仏の道筋を、「胎蔵界曼荼羅」は外側に行くにつれて仏の階層が下がっていき、その隅々まで大日如来の慈悲が広がっていく様子を表しています
↓↓図に表わすとこんな感じ??
いわば前者は仏になるまでのフロー図、後者は組織図、と言ったところでしょうか?
そう思ってみると…わかるようなわからないような…もうちょっと詳しい解説がほしいところです
あ、だから対面式でないと教えが伝授できないのかな?
今回のVR作品「空海 祈りの形」のキャッチコピー「言葉では伝えきれない」もなんか納得します
それにしても大変大きな曼荼羅
特別展のアカウントには設置している時の様子が上げられていますが、6人がかりの作業
平安時代にどうやってこんな大きなものを作ったんだろう?
また、密教の教えに関わるもの以外にも、神護寺の歴史に関わるものが展示されていました
鎌倉時代に神護寺復興に関わりのあった、後白河法皇・源頼朝にちなむ作品が神護寺三像です
伝 源頼朝像・伝 平重盛像・伝 藤原光能(神護寺三像)
教科書でお馴染みの頼朝像といえば、この絵ではないでしょうか?
ほぼ等身大とのことでかなりの大きさです
2023年の特別展「やまと絵」でも展示された品です
確かに髪の毛などが緻密に書かれています。近くで見ないとここまではわからないからよい機会を得たなと思いました
本来は5つの絵がセットになっており、この3つ以外に後白河法皇・平業房の像があったそう
本来は後白河法皇を中心に、左右に源頼朝・平重盛、下座に平業房・藤原光能が、中央の後白河法皇を見つめる感じで配置されていたそう
なるほど、だから右を向いている絵と左を向いている絵があるんですね
かなり大きな絵なので、5つも飾るとなると迫力がすごそうです
薬師如来立像・十二神将立像
御本尊の国宝「薬師如来立像」
仏様というとわりと穏やかな表情の像が多いのですが、結構きりっとした表情ですね。口もぐっと力強く結んでいて、ちょっと意外でした
後期には後ろの白い仕切りが外され、薬師如来の後ろ姿や、後ろの十二神将立像と一体化した様子が見ることができたようです
この光景も見たかったな
十二神将立像は、今回特に照明にこだわったという展示とのこと
背後に躍動感ある影が伸び、迫力があります
神護寺では2段に分かれて祀られているようなので、この1列に勢ぞろいの様子は圧巻です
今回も3〜4時間ほどじっくり滞在してきました
なんで東博っていつも面白いものや企画展示があるんだろうなあ?
いつ来ても、いつも楽しいです
次は9月から厚藤四郎の展示があるそうなので、今から楽しみです!