ずっとわからない
私にはわからない。自分が本当は何がしたくて、何がしたくないのか。
だから今日も大して面白くないことで笑って見せて、
悲しいときに平気なふりをした。と、いえば大げさだろうか。
小さいときから私の夢はよく変わった。
アニメのキャラクター、女優、ケーキ屋さん、お医者さん、看護師さん、カウンセラー
途中から自分がなりたいというよりかは、周りが喜んでくれそうなものを選んだりしてまたよくわからなくなった。
私は生まれて間もなく、母と父と3人で田舎のほうに住んだ。
家ではたいてい母と二人きりで、狭い1LDKの部屋で絵本を読んだり、ごっこ遊びをして遊んだ。
私の頭の中には小さな世界があって、私は何にでもなることができた。
大きなタオルはお姫様になるためのドレスになった。
幼いころの記憶はあまり多くはないけれど、鮮明に覚えているのはたいてい母が悲しそうに泣いている記憶でそれ以外はどれだけ幸福でもぼやけてうっすらとしか残っていない。不安そうな母をこれ以上悲しませてはいけない、私は心のどこかでそう思って、エゴは自分自身の内側へと向かっていった。
昔から、一人でいればやりたいことがわかるのに、誰かといるととたんに自分の言いたいこととかやりたことがわからなくなった。
相手を不快にさせたり、悲しませることは私を社会から断絶することにつながっていて、私がわたしを悪者にする。とたんに自分自身が一番の敵になる。
だから何も言わないほうがいいと思ってきた。
少しは成長して、それなりに自分で会社も選んで、やってみたかったことはたくさんやらせてもらって、土日は好きなところに出かけている。
でもどこかにすぽりと抜けているものがある気がして、あるいは隠している何かある気がして、それを未だに探している気がする。
それと再び巡り合う日が来るのだろうか。
湖