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無駄も楽しんで生きていきたい|旅の記録9/21-22

9/20(金)
・23時過ぎ、これから迎える三連休で唯一*入れていた予定の中止が決まった。誰も悪くないけれど、なんだかくやしい。せっかくまっさらな3日間があるのなら、ふだんの休日には出来ないようなデカいことをしたい。遠出するか。宇都宮に餃子食べに行くとか。長野に蕎麦食べに行くとか。名古屋にモーニング食べに行くとか。香川にうどん食べに行くとか。選択肢が食べものしか出てこなくってこわい。
*唯一、は嘘でした(後述)。

・しかしここまで考えてしまうと、遠くへ行きたい衝動は抑えこむことができない。agodaでホテルを調べ、大して吟味することもなく10分足らずで予約を済ませた。新幹線はとりあえず片道だけ予約して、帰りのことはまた明日考えればいいと開きなおった。適当に荷物を詰めて深夜1時にようやく眠りにつく。

9/21(土)
・5時にセットしたアラームの一音目で目を覚ます。眠った感覚もなく、だからといって眠たいわけでもなく、じぶんに対して現実味のないまま出かける準備を進めた。両親を起こさないよう、玄関の鍵をそっと閉める手つきは紛れもなく家出を図る女(23)だった。

いつも通勤で通る道、この日はなんだか違う景色のように見えた。

・新幹線のなかで、日曜日に申し込んでいた読書会*への参加をキャンセルするため主催者のかたにメールをした。申し訳なさはありつつも、読書会のテーマをみるかぎり"おなじ側"の魂をお持ちのかただと確信していたので正直に述べてみる。
*三連休に入っていたふたつめの予定。決して忘れていたわけではないのだけど、上記の理由でゆるしてくれると思ってしまったことが最大の傲慢であり反省点(ごめんなさい次はちゃんと行きます)。

読み返すと一文の長さがかなり気になるが、問題はそこではない。

・わりとすぐに肯定的なお返事がきて、前日キャンセルなんて迷惑な話だろうに……と思いつつ、やはり魂の種類がおなじであったことにうれしさも覚える。次の機会はちゃんと行きます、ほんとうに……。

・図らずも、2年前のツイートの伏線回収を果たす。

はじめて降り立つ名古屋駅には、新幹線のチケットをもとめて長蛇の列ができていた。みんな無計画旅行者の仲間かと思ったが、たぶんちがう。

・地図を読み違えていたせいで、名古屋駅の東西を1往復半する。当たり前だけど、知らない駅すぎる。

ようやくたどり着いたお目当ての喫茶店。未成年は入店できないらしい。
10分ほど外で待って、ようやく朝ごはん。名古屋といえばこれのイメージがあったのでうれしい。
のんびり30分ほど歩いて、つぎの目的地へ。ほっともっとじゃないんだね。
名古屋に行くことがあれば寄ってみたいと思っていた書店。

・前日の仕事中も都内の個人書店をめぐっていたのだけど、プライベートの旅行でもまず向かうのは書店。境界のあいまいな職業だと日々感じている。

おそらく代官山の蔦屋書店とおなじルールで、スタバの席で購入前の書籍を読むことができるらしい。
たとえ動機が写真を撮るためだったとしても、それが書店に足を運ぶきっかけになるのなら良いことなんじゃないかと思った。写りこんでいたらごめんね。
無くても生きていける本や文学といった存在が、食べるという避けられない行為と隣りあわせになっているのはおもしろい。
ちびっこもたのしめる空間づくりが素敵だった。本となかよしでいてほしいね。
名古屋駅の混雑が嘘みたいにしずかな住宅街、知っている道のような気がしてしまう。

・イオンモールから40-50分ほど歩いただろうか、つぎの目的地に到着。暑すぎて歩幅も狭まる。歩くのがだるい。暑い。

歴史に疎いので、パンフレットはこども用がちょうどよい。

・このへんでかなり陽が照ってきて、一気に溶けるような暑さに。水を買い足したりお土産処をみつけるたびに駆け込むものの、あまり記憶がない。写真もない。

・若干ふらふらしながらも、遅めのお昼ごはんをもとめて南下する。わたしの歩幅が狭いせいか、信号が1回で渡れなくて地味にストレスが溜まる。

ご自由にお飲みくださいってウケるな。運動会の救護テントか
駆け込みランチにきしめんを頼んだところ、白米もついてきた。しかもおかわり自由。 お店のおじちゃんに「美味しそうに撮ってね~」と言われた。

・お会計のときスタンプカードを作るか訊かれたので、東京から旅行でこちらに来ていることを伝えると「ボクのこと忘れないでよ~?」と言われた。こんなおじちゃんのいるお店、会社の近くにあったら間違いなく通う。

・暑すぎるので一旦ホテルでチェックインをして、ひとやすみしてから再出発。

ビルの一室にある書店。高円寺の蟹ブックスさんにも似た空気を感じる。
入り口を開けると、扉の内側にはのり子。高瀬隼子の新刊サイン本があったのでつい購入🎶
東京でも買えるのにね……。

・電車を乗り継いで、金山にある書店にも行くか迷ったけれど、名古屋城あたりの暑さで溜め込んだ疲労もあって断念。いつまで夏やってんだ

栄、の声でか

・栄駅で降りてホテルにもどる。書店をひとつ諦めたぶん時間が余ったので、すこし遠回りしてセントラルパークをチラ見。

みんなひとりでいるところが良かった。
ホテルに戻ると、おともだちがかなしそうにテレビの画面を見つめていた。ごめん

・休憩がてら、夜ごはんのお店を調べる。むずい。手羽先が食べたいだけなのに。ホテルの周辺には居酒屋が無数にあるけれど、すべて雑居ビルの2階以上に押し込んだような類で、だいたい階下か上にはさまざまなタイプのオトナのお店が入っている。ほぼ歌舞伎町。花園神社に泊まっているかんじ。わたしの社会的属性を考えると、土曜の夜にそうした地区へ足を踏み入れるのはあぶないしこわい。

・食べログやGoogleMapsの口コミ、旅行系のwebメディアなどを読み漁るものの、どの店もピンと来ない。お、と思うと予算的に厳しかったり、車がなければ不便な場所だったりする。ペーパードライバーには厳しい世界。

けっきょく名古屋駅まで戻る。せっかくなので徒歩(せっかく、という距離ではない)。
歩道橋を使わなければ渡れない道路があった。車の量が多すぎるのか、トム・ソーヤ島のつり橋くらい揺れる。
もう一軒、夕食前に寄った書店。外の灰皿にはまだ長いままのタバコが突き刺さっていて、この状況に至るまでの経緯がすこし気になった。

・身の安全を優先した結果、駅ナカの飲食店街のなかからお店を選ぶことにした。名古屋ディナーの最適解については探求がつづく。

立ち飲み居酒屋デビュー。ドリンクを除いておっさんの食事
おなかいっぱいだったので、帰りもホテルまで数駅ぶん歩いた(歩いた、の一言で済ませる距離ではなかった気もする)。ただいま〜
ドラッグストアで見つけたパスコのご当地らしきお菓子、浮かれてつい買ってしまった。翌日、名古屋駅のキオスクで大量に売られているのを発見する。会社近くにあるセブンのレジ横には肉球型の「なごにゃん」が売られているのを先日発見して二度泣く。

9/22(日)

めずらしく「行列に並ぶ」をする。途中から、この時間ってなんだっけ、と考えてしまう。時間が経つほど、ここまで待ったし……と考えて後戻りできなくなる。
(バターふたつも要らないだろ)と思っていたのに、気付いたらふたつめも開けていた。サクサクのパンが美味しいし、何よりコーヒーがあまりにも飲みやすくてびっくり。
トヨタの街だから車が多いし車線も多い、という話を耳にして、昨日からずっと横断歩道が一度で渡きれなかったのはそういうことか!と納得。
鮮やかな色の傘、お洋服と合わせるには難易度が高いけれど街なかには映える。
折り畳み傘で臨むには少々厳しい強さの雨が降ってきた。
新宿駅の埼京線ホームもこれくらい拡張させたほうがいい。あんなのいつか落ちるに決まっているので。
お土産を買って、あっさりと名古屋を離れる。
いかにも旅、というかんじがして素敵な後ろ姿。
先ほどの雨でずぶ濡れになったリュックのポケットから、入れっぱなしにして存在すら忘れていた『老人と海』がシワシワのヨレヨレに濡れた姿で現れた。ますます読了が遠のく。

・行きの新幹線では、モーニングのお店を調べたりその日の予定を組み立てたりしていたので、車窓に目を向ける余裕などなかった。せっかく在来線で移動するのだから、ちいさな画面からは目を離して、次々と後ろへ流れていく知らない街の景色を目に焼き付ける。

・豊橋に着いたら、三両編成くらい(ふたしか)の東海道線へ乗り換え。これまでの人生で一度も耳にしたことのない駅名で電車は何度も止まって、そういう駅にも当たり前に降り立つひとがいて、乗ってくるひともいた。当たり前に、生活がある。わたしはまだこの世の何も知らない。

2時間の電車移動の末、浜松に到着。
前回来たときにも気になったけれど、地下道を通らなければ道の反対側へ渡れないこの街、車の地位があまりにも高い。
駅からすこし歩いて鴨江アートセンターへ。だれもいない展示室で、大きなポスターたちがエアコンの風でわさわさ揺れていて、たのしい光景だった。
存在しないチャーハンの看板を掲げる餃子屋、最高。
もやしが添えられたさっぱり重たくない浜松餃子。ほとんどおやつの時間だったので、夜ごはんに備えてライス抜き
すこしだけ街なかを散策。警察官ってそういうノリで募集していいやつなんだ
6月にも来たので、ひとりで道を歩いていても名古屋にいるときのようなソワソワ感は薄かった。そう考えると、学生時代にひとりで訪れたのはどこも行ったことのある街だったから、ほんとうの意味で「ひとり旅」をしたのは名古屋がはじめてだったのかもしれない。
(いちおう)名古屋旅を締めくくるごはん。
さわやかのハンバーグって、誰かと食べるものかもしれない。部活帰りの三角チョコパイとか、期末テストが終わった日のスタバとか、そういうかんじ。

・帰りの新幹線はそれなりに混雑していて、運よく窓際の席を確保できたあとはすぐに眠ってしまって記憶がない。三島駅を発車したところから東京駅に到着するアナウンスが聞こえるまで、いっさいの音が遮断されていたほど爆睡していた。逆によくそこで起きられたよね。

・東京駅の新幹線改札を抜けてしまうと、そこにあるのは紛れもなく日常だった。脳を介さない作業みたいに、「歩く」というより「足を交互に前へ出す」といった感覚で大手町駅へ向かう。あの改札は、夢の国のゲート以上に現実と夢の線引きをしていると思う。

・無計画ゆえの後悔や反省点も多々あるけれど、それも含めてよい旅だったと思う。ふだんは避けがちな行列に並んでみて気付くことがあり、在来線で2時間かけて移動したことでからだの空気が入れ替わるような感覚もあった。
学生のころにくらべると自由に使える時間が限られているからこそ、わたしにとって必要な「無駄」とそうでないものを分別しながら日々を過ごしたい。そうやって、じぶんだけの「無駄」を愛する余白をわすれずに生きていたい。

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