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幸せの永久保存

時に壮大なことを考えて、
考えても仕方のないことに頭を悩ませて落ち込むことがある。

人は死んだらどうなるのだろうか。
命が途絶える直前まであったその人の記憶は
一秒後、跡形もなく消えてしまう。


人間って、どうしようもなく、儚い。


他の生き物と違って人間は、たとえ複雑な感情を抱いても、それを言葉にしたり身振り手振りで伝えたりできるのに、最後はやっぱり他と一緒で消えてしまう。
目の前で優雅に浮かんでいたのに突然割れたしゃぼん玉のよう。


たとえば私が誰かを愛して
でも実ることがないとわかって大事に抱えていれば
誰にも伝えず、自分の中だけに留めておいたなら

私の命が途絶えた時、私がその人を愛した過去は
すべてなかったことになる。

誰にも語られることのなかった想いは、
命とともに消えてしまう。

まるで、初めからなにもなかったかのように。

幸せで仕方なかったあの日の思い出も、
生きていく中で抱いたたくさんの感情も、
命が消えれば消えてしまう。

なんだよそれ。

どうせ消えるなら、幸せだなんて思いたくない。
消えてしまう幸せなんて、いらない。
永久保存させてよ、幸せな思い出くらいさ。


幸せすぎると怖くなる。
幸せなはずなのに、涙が出てくる。

一見矛盾しているようだけど、していないのかもしれない。
いつかその幸せが消えてしまうことを、私たちは無意識のうちに知っている。

消えてしまうのが、失うのがこわいんだ。
ただこれ以上の幸せはないと思うのに、この幸せが永遠には続かないことなんてわかりきっているから。

幸せって、幸せじゃないのかもしれない。



人間てよく出来てるよ、良くも悪くも。


でもやっぱり、幸せの少ない人生なんてつまらない。
一回きりしかない人生だから、最大限楽しんでやりたい。
一秒でも長く幸せに包まれてこの命を終わらせることができたなら、きっとそれは幸せ。

幸せな人生の記憶を、天国まで持っていくね
忘れたくないっていえば、天国にいるえらい人は許してくれるかな
コンピュータに保存された大量のデータのように
私の幸せな記憶も保存させてね

それで言うの。
私こんなに幸せな人生だったんだよ、羨ましいでしょ、って。
傲慢かもしれないけど、最後くらい自慢させてね

だからそのために、一秒でも長く幸せでいることにする

自分の幸せも大切な人の幸せも、私が見つけて増やすよ


いいでしょう?






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