【詩】惜春(せきしゅん)
春を惜しんだ世界の隅で、
途方に暮れる僕が置き去りになった。
朝はどうやらやってきたらしい。
僕はもうずっと、夜を諦めて生きている。
無駄に律儀な信号機、
悩みを抱えたままの空。
それでもお構いなしの社会で、
生きていけば良かっただろうか。
生活音がやけに響いた。
もの寂しい部屋は変わらない。
全部嫌になって投げ出したはずが、
肝心の僕を捨てきれないままで。
それでも捨てきれないままでいて。
大体、世界は気にしちゃいない。
歯車が狂ったとしても、
どうにか明日は進むんだろう。
君の言った通りだ。
「 空の広い場所は安心するの。 」
あの公園の水溜りを、
あの頃の君を真似て踊らせてみた。
ふと笑みが溢れた。