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【詩】Squeezed orange
消防車が咽び泣く夕暮れ時、
おもむろにイヤホンを外してみる。
喧騒の隙間へ僕は溶け込み、
疲れ果てた世界に絶望を覚えた。
ホームドアのない線路前で、
数歩踏み込んでしまう予感がした。
慌てて正気を揺すり起こす。
もう離してくれ、満員電車。
個性に塗れた交差点、足早な隣人を追いかけた。
上を向いても狭い空が映るだけ。
世界を呪っても仕方ないか。
息が詰まり、君を探した。
生きる術を求めた僕等。
色濃い常夜灯は朝を残酷に伝える。
縋りつくも霞む答えに、
君はやっと今日を閉じるだろう。
濾された後も、君は信じた。
使い捨ての毎日を恨みながら、
プラスチックの夢を見るんだ。
薄暗い未来が追い越してゆく。