お前、無能だな
「お前、無能だな」
その言葉に今まで自分を支えてきた糸が切れて、翌朝、ベッドから起き上がれなくなった2月4日。
やっとの思いでベッドから起き上がたけれど、何をするにも息切りがする。フラッシュバックで涙が止まらない。笑おうと思って声に出したら、息切れと涙で過呼吸になり、その場でうずくまってしまった。
『僕が死んだら、加害者はやったことの重みがわかるのかな』
小学生の時に他クラスでいじめられていた同級生の男の子の言葉を思い出す。わかるなぁ、とてもわかる。いっそのこと死んでしまえば。と思ってしまう自分が怖かった。けれど、その男の子は死なずに今も生きている。私も生きなければと思って、病院に診察の予約を入れた。
「たかがアルバイトのことで、プロ意識を持って働く気持ちがわからない。」
私が働いているアルバイトは、プロ意識を持って働いている人が多い。なんのアルバイトをしているかはここでは公表しないけれど、朝早くから働き、忙しい時は夜10時過ぎまで残業する。それを週6で働く人もいるし、それ以上の連勤は許されないが暗黙の了解で働いている人もいる。
社員もアルバイト上がりがいる。その社員の大体は連勤なんて当たり前だと思ってる。「出勤時間全国一位」とか「30連勤した」などを自慢して、それを塗り替えようと頑張っていたのが、私に『無能だ』と言ってきたAだった。
学業の両立でアルバイトをしている私は、コロナ禍で増加した業務を完璧に覚えられていなかった。反対にAは連日出勤しており、全ての業務を自分のものとして、わからないことがあればAに聞くという形が作られてしまった。
「お前、もうサブリーダーだろ?なんでこんなこともわからんの?馬鹿なんじゃねぇの?」
「さっき言ったこと、もう一回言ってみろや。」
"わからないことは聞く"そんな当たり前のことを聞いただけなのに、なぜ人格否定されるのか、罵倒されるのかよくわからなかった。しかし、私の同級生と一個下の子が私が覚えていない業務を出勤量で覚えていた。
2人と私は来年チームを回す中心人物だ。その中で私だけが遅れをとっていた。2人と比較し、できない私を攻撃したのだろう。だけどあまりにも酷すぎる。糸が切れた日は新人の前で罵倒され、周りには私が仕事ができなかったことを面白おかしく話していた。それが耐え切れず、その日バイト先のトイレで嗚咽しながら泣いた。
精神が擦り切れて、知り合いに病院に付き添ってもらった。診察表に書く字は震え、時々起こる動悸に自分は耐えられなくなって泣いてしまった。取り返しのつかないほんの近くまで放置していた自分に後悔した。
「一時的なトラウマですね。」
精神科で一般的にさす、『トラウマ』、所謂、命に関わる経験やその瞬間を見た、のではなく、
侮辱などによって起こる『トラウマ』だった。
薬がなくても時間が経てば治ると言われたけれど、あまりにも思い出すことが多いので、処方してもらった。チームのリーダーと社員に電話で連絡し、後日、Aは注意喚起された。
『中々覚えないから、腹が立って攻撃してたんですけど。』
それがAの答えだった。あまりにも身勝手で言葉が出なかった、その後、チームのサブリーダー以上は私の状況が伝えられ、後日いくつかメールが届いた。
『攻撃されていたのに何もしなくてごめん』
『相談受けていたけれど、そんなに追い詰められていたなんて気づかなくてごめん』
まるでイジメではないか。連絡が届くたび鼻で笑ってしまう始末だ。声を上げていたのに、成人した大人が、事が起きるまで何も動かなかった。結局、どれだけ周りと仲良くしていても助けてくれないんだなと思った。
休養中、Aは何事もなかったかのように連日出勤していた。会社も周りもそれを許していることに腹が立った。これが現実なんだと思うと、今日本で起きていることも理解できる。何も変わらないのかもしれない。
声を上げているもの、その声を拾って下さい。手を伸ばしているもの、その手を引っ張って下さい。この文章をここまで読んで下さりありがとうございます。現在は元気ですが、相変わらず字が綺麗に書けませんし、最近は言葉が上手く出てきません。客観的に見て元気なので、理解されないでしょう。今後も症状が続くならば、きっと私は周りとの折り合いに葛藤するでしょうが頑張ります。
なのでこれを読んでいる皆さんの周りで私のような状況の人がいたら思い出して下さい。
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