片道切符でどこまでも。

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再会②

あれは高校生の時に出会った。数学の証明とか教材やらでごった返した部屋の掃除より気持ちを整える方が断然難しかったあの頃。それもそのはずで、その当時の私には大切な恋人がいたのにその人の存在が1番大事だったからだ。この状況を誰にも相談できず、そして恋人と別れる決断もできずに。 そんな中、その人から誕生日に一冊の本と名前のイニシャルが入ったブックカバーをもらった。誕生日プレゼントなんて初めてだった。本は橋本紡さん著書の「流れ星が消えないうちに」であり、初めて知る著者の本であることと

    • 再会①

      居ても立っても居られないような気持ちで私は本屋さんに向かった。候補は決まっている。候補は2冊。2冊のうち1冊は在庫があったので購入し、残りの1冊は違う書店に寄った時に探してみることにした。 購入したのは、島本理生さん著者の「君が降る日」。三篇の恋愛小説が収録されている。その中でも「野はら」と言う題名のお話は、異性との間での恋人ではなく友達になることへの難しさと切なさを綴った内容は、まさに求めていた作品だった。最後に収録されている作品だったけど1番最初に読まなくてはならないと

      • 最後かもしれない前に

        8月の連休に2年ぶりに地元に戻る。地元には会いたい人が何人かいて、その中でいつも会いたいと思う人がいる。その人は地元に残り、私は進学するタイミングで地元を出ていった。地元を出て10年目がそろそろ近づく。私はこの夏を最後に地元に戻らないことにした。 決めた理由は個人的に決めたこと。それについては置いといて、私はこの夏を機にその人と会うのも最後になるかもしれないと思った。毎回会っている仲だから最後になるかもって言うのは大袈裟かもしれないけれど、最後になるかもって思うのはいくつか

        • あの冬のいち

          1月の中旬、午後1時、晴天の空、バス停。陽の光の温かさ、手の甲が乾燥しているのが気になって仕方がない。 どうしていつもあきらめようと思ったところで、立ち止まってしまうのかな。地団駄踏んだところで変わらないか悪くなるかのどちらかなのに。食堂のメニューで食べたかったメニューが売り切れた時はいつもすぐに違うメニューを決められるのに。「決めるの早すぎるよ~」って友人から言われるのに。どうして。 まもなく発車するとアナウンスが流れた。でも中々発車しなかった。運転手の人が鏡を見ている

          お前、無能だな

          「お前、無能だな」 その言葉に今まで自分を支えてきた糸が切れて、翌朝、ベッドから起き上がれなくなった2月4日。 やっとの思いでベッドから起き上がたけれど、何をするにも息切りがする。フラッシュバックで涙が止まらない。笑おうと思って声に出したら、息切れと涙で過呼吸になり、その場でうずくまってしまった。 『僕が死んだら、加害者はやったことの重みがわかるのかな』 小学生の時に他クラスでいじめられていた同級生の男の子の言葉を思い出す。わかるなぁ、とてもわかる。いっそのこと死んで

          お前、無能だな