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その機械仕掛けの人形は ただ一切の無駄もなく 臓器と言う名の歯車を回し 思考することもない 欠陥品の人形であった その人形を掘り起こした手があった 瓦落多を掻き分け 人形を掘り起こした手は 淀みのない澄んだ水の如く それはそれは潔いものだった 然し澄んだ水と泥水が溶合えば 濁った灰色の水となり 覆水盆に返らざる それでも優しく人形を包む その手は優しさを連れてくる その手は苦しみを連れてくる それでもその手にしがみつく 優しいその手にしがみつく これが生き
今日もただ時間を食む わたしは穀潰しである ていねいに紙で巻かれた毒を食む わたしは憂いを手に入れる 代償に差し出すのは時間であり わたしは憂いを食み 生き永らえる 今日の空の色すらに 一顧を与えることもなく その毒をわたしという物体が 蛭のように啜っているとき 先程少し見上げた空は 今にも泣き出しそうなもので その空の中を 飛行機は背中を丸めて 何処か遠い国へしぶしぶ 向かっていったのだった ああ、この時のなんと 愉快だったことか 彼は「ぼくにもそれを分けてく