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短編小説

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2020年3月の記事一覧

塩と肌

塩と肌

 塩で錆びた手摺りが砂浜の中で血のように赤みを帯びている。肉体の綻びはこれほど鈍くなく、また鮮やかでもない。
 浜辺はまだ肌寒く、人の気配はない。遠くで兄弟と思しき二人が叫び合いながら走り回っていただけだ。小さな男の子がもう一人を追い掛け今にも転びそうになった。少し荒れた波もその細い足元を掬おうとしていた。
 ——昔、ここで溺れかけたな。あのときは兄貴に海中から引き上げられた。
 私は海水による死

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