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高齢生活の楽しみ方
自分の人生に満足し、老衰で亡くなった親は、
クラフトが好きだった。コピー用紙を使い、何でも作る。
特に紙飛行機を作ることが好きだった。
亡くなる5日前まで作り続けていた。
その紙には、「ありがとう」の文字が書かれていて、
今ではとても大切な思い出の品となった。
■施設での生活の現実と工夫
老人保健施設では、看護師さんや運動指導のスタッフに
とてもお世話になったけれど、
ほとんどの時間は、すべての椅子が窓を向き、
一人ひとりが一方方向を見ながら静かに座っている世界だった。
面会に行くと、何もしないで座るしかない状況を
残念に思っていると言っていた。
部屋の片隅には、麻雀を4人でやっている少し若い高齢者もいた。
テレビを永遠と見ている高齢者もいた。それしかない。
この空間で親は、自分でコピー用紙を調達し、クラフトで
時間を楽しんでいた。自分で楽しめる状況を作り出していた。
これは、昭和の初期に結核が流行った時、
隔離され、手立てがない中、何も支援されず過ごしたらしい。
介護施設では、その幼少期の経験が生かされていた。
生前、当時の状況の中で紙切れしか遊ぶものがなく、
それを使ってクラフトで遊んでいたことで、
それが趣味になったと言っていた。
施設に入っても、自分の楽しみを継続できるということが
大切だということを教えてくれた。
■日本の施設のアクティビティ
介護老人施設は、東京・埼玉・千葉・茨木まで見学に行ったことがある。
20年前くらいから施設が増えていき、
今は、介護保険も内容や基準が当時と変わり、
どこも人材不足になっている。
だから、お風呂は週に2回しか入れない施設が多かった。
入所した施設は、
アクティビティは、カラオケが週に2回あり、
外歩きや、訪問販売、ビデオ運動だけだった。
あとは、各月で季節のイベントがあるくらい。
麻雀とカラオケがある施設は多かった。
自分だったら、どうやってこの空間で過ごしたらいいのか
考えさせられた。
■夢が広がる施設
コロナ禍にいろいろ検索し、
これはすごい!と思った施設が海外にあった。
オランダの「Hogeweyk」。
読み方は、ホーフウェイ?ホーへワイ?わからない。。。
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■QOLを維持・向上させる方法
「Hogeweyk」の施設のコンセプトは、
「認知症の進行を和らげ、QOLを維持したり、向上させたりするには、
3つの環境が必要」ということで、
①新鮮な空気
②運動
③自然光
④社会的接触の機会を最大限に高める
4つある。
どれも親が入居した施設には欠けていた。
特に、②の運動は、頭を悩ませた。
いくら短い廊下を行き来しても、運動量が足りず
足の筋肉がどんどん落ちていったから。
施設側のケアマネへ、運動する時間を作ってほしいと要望しても
望みを聞いてくれることはなかった。
案の定、筋肉がなくなっていき転倒をするようになった。
■「Hogeweyk」の運動
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専用の自転車で自由に外で走ることができる!
エアロバイクではない。
あるいは、施設内を自由に歩き回ることができる。
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1Fや2F、各施設へ。決められた時間ではなく、本人がやりたいように。
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敷地の約50%は屋外で緑が楽しめる。
各ゾーンに別れた庭は、全体がつながっているから、
気分を変えながら、永遠に歩くことができる。
お友達との写真が写っている場面が多いのは、
趣味や生活スタイルことに、入居のタイプを分ける工夫があるから。
知り合いになり、会話をする場面ができやすい。
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■ライフスタイルで分けるタイプ
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画期的な試みはもう一つ、ユニットの編成法にある。全入居者を7つのライフスタイル別に分け、同じグループの人を同じユニットに集め、インテリアもそれに合わせていることにした。
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■「Hogeweyk」の楽しみ方
居住施設はテーマによって別れていて、
それぞれから共有施設へすぐに行くことができる。
「美容院」「理学療法スタジオ」「音楽クラブ室」「工作クラブ室」
「パブ」「スーパー」「ラウンジ」「クラブハウス」「レストラン」
「オープンスペース」「シアター」。
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●「オープンスペース」のイベント
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これは日本でも何となく想像できる。
広い施設は、まるでテーマパークのように
様々な場所がある。
●「ラウンジ」
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●「スーパー」
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●「レストラン」
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●「オープンスペース」趣味の集まり
絵を描くことが好きな人は、
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●「クラブハウス」
手芸や料理が好きな人が集まる部屋
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●「シアター」
ホールとして多機能使い方をするらしい。
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●「パブ」
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■施設で自分らしく安心して暮らせる
認知症の人たちは、周囲の世界を理解することが難しい。そのため不安や悲しみ、攻撃的になる。入居者のサルトジェネシスと調和した環境は、こうした感情の多くを排除し、健康に焦点を当てる。
そうでなければ、彼らは従来の老人ホームの閉鎖病棟で暮らすことになる。Hogeweykは、重度の認知症患者に安全性を提供し、慣れ親しんだ環境で安らぎを感じられるようにしている。入居者は普通の生活を送るための刺激を受け、認知症の辛さを忘れることができる。Hogeweykでは、入居者は慣れ親しんだ環境の中で、新鮮な空気や自然を思う存分楽しむことができる。
■現実にどう活かすか
Hogeweykは、月額約70万の施設なので、一般的ではない。
でも、この楽しみ方は、コストを下げて工夫できることだと思った。
介護老人施設に入所の時に実践してきたのは、
・1人一台iPad。
70代の頃から使う練習をした。
ベルリン・フィルをイヤホンで聴くことや、
Youtubeで動画を見たり、
知りたいことを調べたり、
メール、
ガレージ・バンドでピアノを触る
スカイプで家族と話す などなど
1台で多くの仕事をこなしてくれた。
・お茶会
面会するたびに、新しいお菓子とお茶を差し入れて
お部屋でお茶会をした。
・買い物の楽しみ
お菓子の差し入れの時に、
「どれがいい?」といろいろある中から
選んでもらった。
・時々お出かけ
外の空気を吸ったり、綺麗な景色を見に連れ出した。
届けを出せば、外泊もOKだったので
お泊り家族会もした。
*老人保健施設に入所してからは、すべて禁止ということで
持って行くことができなかった。
まるで隔離施設のような生活になってしまった。
紙パンツも指定のものでないとと言われ、全廃棄。
人手が足りないと、効率重視となり、
他の紙パンツは受け入れないとのこと。
いろいろ高齢生活を想像しながら考えていきたい。
■あと、ほしいもの
●洋服屋
これは本当に大変だった。
「この色やだ」「もう少しうすいもの」「着やすいもの」
「これははずかしい」「寒い」「暑い」・・・・
その都度、ユニクロに買いに行くこととなった。
依頼されるものは、どれも地味な色だった。
もっと自由に、服を選び、色々な服を楽しめたらいいのになと思った。
そう簡単ではないかもしれないけれど、
入居者が自由に選べるブティックがあり、
色々な服を選ぶことができれば、
施設の雰囲気も変わるのではと思った。
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