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【私と本】本が好きだった

 何度も書いているが、両親が喫茶店をしていた。生後3か月で近くの保育園に預けられ、母の仕事があがると迎えに来てもらい(父はアルコール時間帯まで営業していた)、自宅に帰っていた。ときどきはアルバイトの学生さんなどが代わりに迎えに来てくれたそうだ。80年代の話です。

 小学校に上がってからは、いちおう家の鍵を与えられたが、学校が終るとその足で店に向かった。母が仕事を終える19時頃までそこで過ごし、一緒に買い物をして家に帰った。

 母を待つ間は、近所の幼なじみと遊んだり、図書館で本を借りて読んだり、店のマンガ雑誌や週刊誌、文字の書いてあるものは片っ端から読むなどしていた。宿題なんかも少しくらいしていたかもしれない。

 いつだったか、母がこんなものを出してきた。

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 保育園のころに私が作った本だという。記憶にあるような、ないような気がしながら受け取ってきた。こんなに小さくて、薄くて、ごみみたいなものがよく今まで残っていたと感動する。我が家はこれまで、何度も引越しをしているのだ(離婚もしたし)。

 この紙は、たぶん店で使っていたブロックメモだ。なつかしさがこみあげくる。

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 このページは、方言が入っていておかしい。「そしたら」とか、「ひらおうと」など、我ながらほほえましい。

 全文を書いておく。


「うさぎ」

おてんきのひに うさぎさんが なわとびであそんでいました。
(なわとびをするうさぎの絵)

そしたら にんじんがおちていました。そしてひらおうとしたら、にげてしまいました。(写真のページ)

するとほかのうさぎさんが とってしまいました。(ふたりのうさぎの絵)

でもそのうさぎさんが はんぶんくれました。
(半分になったにんじんと、笑顔のうさぎの絵)

ありがとうといいました。そして ふたりでいっしょに たべました。
(ふたりのうさぎと「あむ あむ」という擬音)

そしておうちに さそいました。(おうちの玄関にうさぎがいる絵)

これでおわりです。(ポップな太文字で)

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片山 緑紗(かたやま つかさ)
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