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ある日、虹の彼方へ行ってしまった、『さよなら』も、言わずに。
葉に毒を持つという謂れのある花に 待ち望んでいた蕾がついた 雨の似合う花 雨が好きらしい花 水無月に咲くと そう思い込んでいる花 最初の鉢を枯らし その後 幾つもの鉢を枯らしてしまった それでも どうしても 時期が来て 同じ鉢を見かけるたびに また 同じものを求め ようやく ここを棲み家と定めてくれたらしい その鉢が 今年もまた 白い蕾を 幾つも 幾つも つけた 『 ねぇ これ 見て ほら 蕾がついたの これ 好きなの 何度も同じ花の植木鉢を求めて どうしても