ニッチ香水ブランドHEELYのオススメラインナップと調香師JAMES氏の凄さ
こんにちは、9th perfumeの正木です。
ここ最近は、自分の好きなブランドの香りや精油単体をとことん試しては悦に浸ったり、新たな制作をする生活をしております。
これまでは試した香り内に秘めていたのですが、少しずつこうして綴っていこうと思いますね。
今回はその中でもパリ発のコンセプショナルなニッチブランドHEELYさんの香水をたくさん楽しむことが出来たので、こちらの香りの中のいくつかを共有したいと思います。
<総括>浴びるように使いたい香水としてパーフェクト
HEELYさんの香水を全体的に纏ってみて感じた事は、
『浴びたい!』
です。
ほとんどの香水が『使いすぎても派手にならない』
ナチュラル派の方に激しくオススメできる
香料全体のまとまりを感じ、尖りがない
つまり『生理的に気持ちいい〜』軽やかで自然美の香り
しかしきっと分かる人には分かる芸術性と繊細さ
という、絶妙なバランス感で成立している香りが目立ちます。
その証拠に2006年の「マント・フレッシュ」を処女作にしてからというもの、堅実に作品数を増やし20種類余りのフレグランスを常に取り揃え続けています。
<ポイント①>調香師・JAMES HEELY氏は独学
↑こちらにも情報が載っているので詳しくは見てもらえたらと思いますが、
こちらに載っていない情報があるとするなら、
元々ジェームズさんは法廷弁護士だったそうです(驚)
そして元々好きだった哲学やデザインを形にすべくパリで調香をほぼ独学で学び、30代半ばにして調香師としてデビューします。
香りはもちろん、フラコン、ラベル、パッケージに至るまで全てのデザインをご自身で行い『オーナー(創設者)=クリエーター』というインディペンデントなラグジュアリーパルファンブランドを作っている点は、数少ない唯一無二なブランドだな〜と思いました。
私自身も自分で商品作りをやっている経験があるので、これがいかに凄い事かが分かります。
いやはや、人生とは分からないものですね。
<ポイント②>少ない香料なのに尖らない調香の繊細さ
僕が1番びっくりしたポイントは、HEELYさんの作品は、すごくシンプルだという事なのです。
例えばHEELYさんの香水で最も有名なのは、あのメゾンキツネさんとコラボした「Note de Yuzu」だと言えるのですが、
こちら試してみると『瑞々しくも日本らしさのある和柑橘の柚子が、上品で爽やかに香る』シンプルな香りです。
ですが、僕たち調香師の端くれは知っています。
『天然の柚子』はこんなに拡散しないし持続しないということを・・。
そこで入っている香料を見てみると・・・
柚子を使わないで、少数の香料で瑞々しく上品な柚子香を表現している
という事実を見つけてしまったのです。
蓋を開ければ、そういう遊び心(というか計算)を入れていたんですよね。
しっかり柚子が拡散してインパクトを持つようにするためとはいえ、
柚子以外で表現するなんて恐ろしい・・・(笑)
しかも柚子っぽさを大々的に表現するためには、
他の香料を混ぜすぎるとその特徴をすぐに失いやすい。
自ずと多くの香料は入れられないはずです。
緻密な柚子の有効成分を調査した上で、なおかつ少数精鋭の天然や調合香料で仕立ててきたのは素晴らしいと。
いや、凄い!恐ろしい!凄い!
そう唸る香りになったわけであります。
僕ならこの3つを使い回す(ユズ+3個を選ぶ)
このセクションは、完全に個人の好みです。
Note de Yuzuは使い回し香水の1つに既に内定しているので、
他の3つを僕チョイスで選んでみようと思います。
まだHEELYさんを知らない方にとって、
お店で聴香(香りを試す)するときの入り口として参考にされてみては、というご提案となります。
1、Sel Marin(セル・マラン)
『夏のシャワーが全部これになったら良いな』
『1日がきっとワクワクするだろうな』
と思わず感じてしまった潮風なシトラスマリンの香りです。
近代のマリン系の香りって、割とライトフローラルやフルーティのコンポジションと合わせていたりウッディと合わせることでマリンを抑えている傾向を感じていたのですが、
この香りはどこか1980年代のアメリカのサーファー文化を感じるような仕上がりになっていて、どこか懐かしく安心する香りなのです。
この香りをメゾンキツネの代表が纏っていたことをきっかけにコラボに発展したという逸話付きでもあります。
2、Hippie Rose(ヒッピー・ローズ)
『ローズ&ウッディが好きなら1本持っておくとGOOD』
『冒険心をくすぐられるコンセプトとマッチする』
ブルガリアンローズのアブソリュートタイプと思われるグリーン感を感じられるイキイキとしたワイルドなローズが
穏やかでクールな夜に一筋の朝日が照らすように表現されている。
穏やかでクールな夜は、きっとパチュリ、アンバーを中心になっているのでしょうけど、この優しさ具合も素敵なんですよね。
このシリーズではきっとマイナーな方かもしれませんが、
ローズ作品を大量に作りがちな僕としては、とても好きなハーモニーです。
ローズ好きなら男女問わず要チェックです。
ちなみにコンセプトは『自由を愛するヒッピー文化』になるのですが、ヒッピー文化を表現する香りとして使用された『パチュリ(墨汁のような香り)』がドギツイ感じになっておらず。
パチュリ特有のザラ付き、アンバー特有のアニマリックな角がまろやかになっている緻密さが本当に素敵だな、と感じました。
3、JASMIN OD(ジャスミン オーバードーズ)
『現代の<悦び/JOY>を素直に表現した欲望全開の香り』
『情熱を燃やしたり、ここぞというデートに纏いたい』
そんな感想が出てきました。
合成香料が主流となったジャスミンの香りで(これも素敵なのです)が、
天然のジャスミンも本当ふくよかで良い香りなんです!
(入手しずらい方は是非うちからお求めいただきたいくらいに
試して欲しいのです)
ヒーリー氏はジャスミンを寵愛しているとされ、こちらの作品は『儚いジャスミンをどのように長持ちさせるか』を研究して発表した作品となっています。
そのおかげか、肌乗せして6時間くらい経ってもまだほんのり残っている感じがします。(個人差あり)
ジャスミンの香りが儚いってのも本当頷けるので、
この試みは僕もやってみたいと思います。
ちなみにこのEXTRAIT DE PARFUMEの贅沢なコレクションは
ほんとどれも素晴らしい作品で、全てをお薦めに挙げたいくらいに迷いました。
こちらの作品は、もはや天然精油のジャスミンとチュベローズをアンブレッドシード(天然ムスク)で仕立てただけ、というシンプルな香りに仕立てていると予想しています。
それくらいに『天然精油の素材の素晴らしさ』を分かち合いたかったであろう、ヒーリー氏の大胆さを感じられます。
HEELYさんの凄さは、EXTRAIT DE PARFUMEのコレクションにこそ宿っているとも思いますので、是非サンプルを試してみてくださいね!
〜結論〜ナチュラルなオシャレさんは1本持つと良い素敵ブランド
きっと僕より優れた知識を持った方にとっては、更なる凄みを感じ取れるのだろうと思いますので、是非試してみてください!
12/1~3の香展に出店しています
また東京の表参道にてLE SILLAGEさんが主催する『香展』でもHEELYは登場するようなので、運良くこの期間に東京いらっしゃる方は是非いらしてみてください!
HEELYさん以外にも22ブランド約280種類の製品をお試しいただけます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?