異分野の組み合わせの重要性 - その火付け役で居続けたい【原田久美子氏(起業家・研究者)講師インタビュー③
こんにちは!
9kidslab -ナインキッズラボは「デザイン」を通じて、クリエイティブ領域を横断し、「人生を楽しみながら切り拓く」子どもを育てる、小学生対象のオンラインスクールです。
それを実現しているのは
第一線で活躍する個性豊かな講師陣と彼らが作り出す掛け合わせの授業です。
講師インタビュー第3弾は
科学技術と美術基礎が掛け合わさった「問いのデザイン」クラスの科学技術を担当する原田久美子氏です。
原田氏にインタビューし、軌跡をたどっていくと、
常に自分に問い続け、「好き」を追求する
柔軟にキャリアをデザインし、チャレンジし続ける
人やものを掛け合わせて創造し、未来に繋いでいく
そんなしなやかに生きる女性像が見えてきました!
そんな原田氏に9kidslabの魅力についても伺っていきます!!
女性起業家✖️研究者 原田氏ができるまで
①子どもの頃、研究に興味を持ったきっかけ
子供の頃、町医者の先生が着ていた白衣に憧れ、白衣を着るお仕事に就きたいと思ったのがきっかけです。
「白衣が着れるお医者さんになれるかな?」、それとも「絵を描くのが好きだからそれを仕事にしようかな?」と色々考えながら学校生活を過ごしていました。
高校で化学の先生が白衣を着ていて、化学の先生という道もあるのかと思いました。より一層、化学の道に進もうと決意した出来事は、化学実験です。液体を混ぜると固体ができたり、色が変わったり、熱を持ったり、「なんだこれ?」と衝撃を受けたと同時に、「めっちゃ面白い!」と感動して、化学の面白さにのめり込んでいきました。
②大学時代から研究者になるまで
高校で化学に興味を持ち、もっと学びたいと思って大学でも化学を専攻しました。
安定した職業についてほしいという親の願いもあり、将来は「科学の先生ならありかな」と思っていました。
研究を始めたら楽しく、何かを生み出すような仕事に就きたいと思い、大学院に行きました。その時には企業で研究職という1択しか考えておらず、卒業後は半導体関係の化学メーカーに就職し、開発の仕事をずっとしていました。
③専業主婦時代
子供ができると、女性はライフイベントに左右されがちだと思うのですが、私も30歳を過ぎて妊娠がわかった時に、この先どのように研究開発の現場で仕事をしていくのか、ビジョンが全然見えなくなり、一度仕事を辞めて専業主婦になりました。
「これまで一生懸命、馬車馬のように働いてきたので、今後は子供にフォーカスしてもいいかな」と軽い気持ちで始めた育児でしたが、やはり社会に出たいと思い、少しずつ社会復帰をしていきました。
その時に、せっかく今まで培ってきた知識や経験を次世代に残す、繋いでいけるような、私がちょっとしたことで科学に興味を持ったように、興味を与える側に回れないかな、子供の視野を広げられる大人になりたいなと思い始めました。これは子供が生まれ、母親になったからこそ持てた視点でした。
④再度大学へ:ドローンを使った課題解決型学習の研究
社会復帰の一歩として、まず始めたのが小学校の理科支援でした。
実際の学校現場を第三者目線で見る機会をいただいて、「教育ってこのままでいいのかな」、「もっと外部から子供達に学びを提供できる場を作れないかな」と思っていた矢先、大学に入職でき、ドローンプログラミングとSTEAM教育を掛け合わせた研究活動を行いました。(慶應義塾大学政策・メディア研究科研究員)
活動はドローンそのものを学ぶのではなく、ドローンをきっかけに未来を考えるという探究学習をメインの軸に置き、全国の学校現場で行っていました。参加している学生が大人になった時に、ドローンという未来の技術をどのように活用していくのか、未来がテクノロジー溢れる社会になっている時に、どうしていきたいか問いかけるような授業を担当していました。
⑤女性起業家になるきっかけ
大学では良くも悪くもドローンやSTEAM教育の制約があったので、次世代に何かを伝えていく、興味を持つきっかけを提供するということを研究のテーマ外でもやってみたいと思い始めました。
科学者というバックグラウンドをもっと活かして、できれば地域の子供達に向けて活動したいと始めたのが個人事業の活動、MQ LABO(エムキューラボ)※です。
※MQ LABO(エムキューラボ)
身近な科学を通して「なぜ?」という視点を持ち、科学に興味を持つきっかけ作りをメインにしている地域密着型の科学実験教室。コンセプトは『科学で「まなんで・あそんで・たくらんで」』
もう1つのきっかけは、大学の研究者の置かれている環境です。任期満了とともに次の研究先を探さないといけない仕組み、国の研究費がメインという状況、若手研究者だけでなく私と同じ世代の研究者が疲弊しているような姿を目の当たりにしました。
研究から得た知識を社会に活かす、その繋ぐ場を作りたいと思い、研究支援をする会社、株式会社A-Co-Labo(エコラボ)※を立ち上げました。
※A-Co-Labo(エコラボ)
研究者の取り巻く環境を改善し、研究者が持っている経験・知見を起業の新規事業や研究開発の現場に活かせるようサポート。双方に「知る機会」を提供し、研究に関わる全ての人に自立と幸せをデザインすることを目指す、研究開発特化型のナレッジシェアサービス。
「知見や経験を繋いでいく、伝えていく」ーこれは私のコアな部分だと思っています。現在はそれを入り口側(子ども側)からと出口側(研究者側)からの2軸で活動してます。
インタビュアーからの質問①:女性起業家×研究者として、女性ならではの工夫、意識されていることは?
女性だから気をつけていることは特にないのですが、自分に関係ないこともキャッチアップしようとはしています。研究だけに没頭することは、もちろん楽しいのですが、その先のどうやって新しいものを生み出していくか、新しいものを作っていくかとなったときに異分野との掛け合わせが大切だと思っています。
私は、社会経験、研究経験の両方を経験したからこそ異分野の組み合わせの重要性を知っています。「これとこれを組み合わせたら違うものができそうなんじゃないかな」ーそのような火付け役でい続けたいと心がけています。
どんな仕事であっても、やはりまだまだ女性にかかる負担は大きいと思っています。ライフイベントに応じて、何かを諦めないといけない風潮は研究業界でも同じだと感じています。とりわけ、自分で何か研究しないと結果が出せない職業だからこそ、もしかしたら他の職業よりも大変さはあるかもしれないと思っています。
質問②:9kidslabの魅力とは?
1番の魅力は、普段会えない人に会えるところかなと思っています。
例えば、私は美術基礎の杉本氏とのコラボさせてもらっているのですが、美術を学んでいる人と基本的に学校外では会わないですよね。
また、学校で教える美術にはちゃんと教科書があって、ここまでを教えるというゴールがあると思うのですが、ゴールがないところに挑戦をさせてくれる場、かつそれを許容してくれる専門家がいる場というところはすごく魅力的な場だと思っています。逆に私が9kidslabに通いたいぐらいだなと思っています。
質問③:9kidslabでこれからやっていきたいこと
たくさんありますが、1つはせっかく美術基礎とのコラボで講座をしているので、何か一緒に共通のクラスをできればと思っています。
私が知っている人達、例えば、研究者の方達とのコラボということも、この9kidslabでできたらと思っています。子供達にはこの場を通して、いろんな職業、いろんな大人、いろんな考え方にどんどん触れていって欲しいと思っています。
9kidslabで伝えていることは、短期的に楽しい経験を積むことができるということもありますが、長期的目線で見ると、大人になった時に発揮される能力づくりだと思っています。今クラスに参加している子供達が、物心ついた時に「そういえば昔、ああいう大人いたよね」と、ふとした時に振り返って内省してくれることがゴールなのではと思っています。
また、9kidslabが提供していることは「サードプレイス」ならぬ「サードパーソン」なのかなと思っています。それはつまり、普段会えない身近ではない人達が、自分の知らない身近なことを教えてくれる場なのかなと思っています。美術を専門にしているアーティストが身近にいて、いろんなことを教えてくれるってなかなかない場じゃないかなと思っています。
質問④:科学の道を志す子供達へのメッセージ
いい言葉ではないのですが「当たり前を疑うこと」かなと思っています。
日常生活の中で常にいろんなものに「なんでこうなるんだろう?」と疑問を持つことを心がけてほしいかなと思っています。
科学の軸だけでなく、それが他のいろんな学びにつながると思っていて、それは今、9kidslabの提供しているクラスにつながるところがあると思います。
原田さんおすすめの科学にふれられる場所
👇イチオシ👇
・神奈川県立生命の星地球博物館(神奈川県小田原市)
地球と生命・自然と人間が共に生きることをテーマに活動する自然史博物館。巨大な恐竜や隕石から豆粒ほどの昆虫まで1万点にのぼる実物標本を楽しめる。常時ワークショップも開催されており、幼児や小学生から参加できる講座もある。
【初めて科学に触れる子ども向け】
・東芝未来科学館(神奈川県川崎市)
【もう少し科学ってなんだろうを学びたい子ども向け】
・日本科学未来館(東京江東区)