台風LANと絵を描く【生徒作品紹介】
こんにちは!
9kidslab -ナインキッズラボは「デザイン」を通じて、クリエイティブ領域を横断し「人生を楽しみながら切り拓く」子どもを育てる、小学生対象のオンラインスクールです。
それを実現しているのは、第一線で活躍する個性豊かな講師陣と彼らが作り出す掛け合わせの授業です。
生徒さんの作品と想い、先生のコメントを掲載していきます。
第1回は「ニノちゃん」の作品になります!
夏休みの自由研究「台風LANと絵を描く」
まさに「美術基礎」と「科学技術」の掛け合わせを、夏休みの自由研究で「台風LANと絵を描く」と題して取り組んでくれました。
もとは「美術基礎」のにじみ絵(水分を含ませた紙に絵の具を垂らすと色が広がる技法)の授業と「科学技術」の顕微鏡(植物の細胞を観察)の授業をベースに
台風の中に絵の具を置くと、どんなにじみ絵ができるか?
さらにその絵を顕微鏡で観察したら何が見えるか?の記録になります。
こちらについて
「美術基礎」クラス講師 杉本 克哉さんと
「科学技術」クラス講師 原田 久美子さんが
各分野の目線から「どう見たのか」を解説していきます。
この自由研究のポイントは2つ!
・「台風」という自分ではないものに絵を描いてもらうというコンセプトの面白さ
・偶然性や、コントロールできないものを楽しむこと
美術作品や実験結果などが「プロの目からどう見えるのか」の参考になればと思います。
実験の内容と結果
【美術基礎:杉本さん】
テーマとして、たまたま出てきた台風とにじみ絵を組み合わせようと思ったこと自体が素晴らしいです。
「台風がくるぞ!よし屋上でにじみ絵をやろう!」っていうのがまずとてもいいなぁと思いました。
ニノちゃんは普段、非常に丁寧な表現をする子です。そこにさらに科学と掛け合わせた発想が突き抜けていてすごい!
また、やり方や使うもの、目標とか予想が面白いですね。
予想をひとつのアウトプットとして提示することや、出来上がった繊維を見るということを、美術ではあまりやらないので面白いと思いました。
【科学技術:原田さん】
まず、情報収集の仕方が上手です。
「台風の日に」と書けばいいところを、台風の具体的な説明をしたり、いつ実験を行ったかなどをきちんと書いてあって、科学の素質がありそうだなと思いました。
台風で設置した用紙がどうなったのか、その結果がこちら↓↓↓
【美術基礎:杉本さん】
台風で用紙自体がちぎれてしまった実験結果その1「LAN - A」も作品としてとても綺麗ですね。くしゃくしゃになったのを失敗と思っていないところがまたいいです。
【科学技術:原田さん】
実験もそうで、失敗したことをよくないことって子どもたちは思いがちなんですよ。「失敗じゃないんだよ」ということを(授業の中で)ニノちゃんに伝えられたのであれば嬉しいなと思いました。
【美術基礎:杉本さん】
うまくいかなさを良しとする
対談に参加した代表の吉柴の言葉も印象的でした。
【ナインキッズラボ:吉柴】
お2人の授業を通じて、そのことは根幹として伝わっていると思います。
今の世の中って
手順通りだったり、結果が記された通りにならないと、失敗という減点対象になってしまいがちじゃないですか。
でも、「そこは失敗じゃないんだよ」とか
「失敗したとしても、どうすれば次できるんだろう」って考えたりとか
お二人の授業で生徒さんたちに伝わっているなと感じています。
「失敗を失敗ととらえない」は、9kidslab(ナインキッズラボ)の根幹として伝えていきたいと思っています。
実験の結果のまとめと、ひび割れた箇所を顕微鏡で観察した結果がこちら↓↓↓
【科学技術:原田さん】
ここが一番評価したところなんですが
予想もいいですが、感想ではなく考察をいれている点です。
分かったところと自分が考えたことを、分けているのがすごくいいなと
思っています。
ここは大人でも混同して書いてしまいがちなので、実験の結果と
そこから何が分かったのかというのを分けて書けたのが素晴らしいです。
【美術基礎:杉本さん】
美術的な視点で見ると、この自由研究という作品の中でコラージュ的な要素もあるのがいいですね。
写真や文章の紙の貼り方、構成の仕方に美的センスを感じます。違う素材を貼ったり、写真をわざとずらして貼ったりしているのもとてもよいですね。
さらにニノちゃんは、「最初の予想ではもっと絵の具がにじむことを想定していたが、風が強く流されてしまった」結果を踏まえて、台風が去った後、追加の実験も行いました。「風と雨が去ったあとならば、もう少し絵の具が残るんじゃないか」という仮説を立てています。
追加の実験と結果
【美術基礎:杉本さん】
追加の実験もいいなぁと思いました。
偶然性のコントロールも美術技法のひとつなので。
2回3回やるというのは、偶然の中でもある程度、自分の意図のコントロールをどこまでいれられるかという挑戦でもあります。
偶然生まれてくる色や形の面白さをどこまで自分でとりこめるかというのを、ニノちゃんは無自覚にも追加の実験をして、にじみ絵を作るということで挑戦しているのがいいですね。
【科学技術:原田さん】
自由研究は論文と書き方が一緒なんですよね。
背景があって、なぜやろうと思ったか。あと目的、やり方、結果、考察。
誰にでもできる、再現がとれるような形にすること。
ニノちゃんの学年(小4)からしても、きちんとまとめられていて非常に優秀な作品だと思います。
【美術基礎:杉本さん】
破れてしまった結果や、追加の実験など、ナインキッズラボの半年間を通じて、決められた通りにやらなくてもいいんだよ。評価されるんだよ。
というのが伝わったのであればよかったなと思いました。
まさにうまくいかなさを良しとするですね。
【ナインキッズラボ:吉柴】
ニノちゃんの作品のように
偶然性を利用するとか、コントロールできないものを楽しむという発想自体がとても大事なことであり「人生を生き抜く上で」必要な考えじゃないかと思います。なんてったって、人生ほとんど自分の思い通りにはいきませんから(笑)
これは大人になっても大事なことなので、9kidslab(ナインキッズラボ)としても継続的に子どもたちに伝えていきたいですね。
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