日常のこと
朝おきてコーヒーを飲むとする
コーヒーはたくさんのひとが飲んでいる
(ぼくもいつも飲んでいるよ)
めをさますため なにかをつくるため
コーヒー豆を栽培しているひとのことを
かんがえる時間がときおりある
ぼくにできるのはこうやって
愚にもつかない文章をかくことだ
はんぱな頭だったから
人間をそのまま救うようなことに力をつかえなかった
(でもけっきょくみんな死んでしまうのだから救うことは
じぶんを救うことにほかならない)
すばらしいミュージシャンがいる
日常のことを歌う
おおくのひとにとって日常はとてもむずかしい
なにがそうさせるのか
かんぺきな宗教がないことか
社会のせいか
世界そのものの成り立ちのせいか
わからないけど
たとえば朝食にコーヒーがあることを
すばらしいことだとおもえるようになるのは
音楽のおかげだといえるひとはたくさんいる
春なのに寒風が吹きすさぶ
ぼくたちはいま部屋にこもるしかないことになっている
愛も安全も与えられなくて
ただ自分の好きなものを信じてどうにかするしかない
のに!
寒風は部屋の外で吹きあれている
雨もたくさん降っている
ただ音楽を聞いているだけなのに
それらはたやすく部屋のなかに入りこんできやがる
藁でつくった小屋はこれだからいけない
(2020年4月12日 世界的にコロナウイルスが猛威をふるうなか、日本はなぜかそうでもないように振るまっている。西陣の自宅にて)
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小魔術