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美術の旅のはじまり

美術、芸術、アートこれらは、何か近寄りがたく難しいものであるというイメージがあります。ですが実際には、楽しみ方にルールはなく、どんな方法で美術を好きになっても良いと考えています。美術史の本として有名な入門書として、E.H.ゴンブリッチの『美術の物語』を読み解きながら、お話していきたいと思います。

これこそが美術だというものが存在するわけではない。作る人が存在するだけだ。大昔には、洞窟の壁に、色土でもってバイソンの絵を描いた人がいた。現代では、 絵の具を買ってきて、 広告板に貼るポスターを描いたりもする。人はいろんなものを作ってきたし、いまも作っている。そういう活動をみんな美術と呼ぶのなら、さしつかえはない。美術といっても、時と所によってきまざまだということを忘れてはならない。

ただそこには作り手がいるだけ。ただその人が何かを作ったという事実がそこにあるだけで美術と呼ぶこともできるのです。少し拍子抜けしてしまう部分もあるかもしれないですが、人は、何かを作るとき、よっぽどのことがない限り、何か目的をもって作り出すものです。もし作品をより知りたいとすれば、その作られた目的を想像することがでそれができると思います。

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実のところ、絵や彫刻を好きになるのはどんな理由からでもいい、と私は思っている。生まれ故郷を思い出させてくれるからという理由で、ある風景画が好きになるかもしれない。友人に似ているからというので、だれかの肖像画に心を惹かれる場合もあるだろう。それで悪いという理由はどこにもない。だれでも絵を見れば、いろんなことを思い出し、そこから好き嫌いの感情も生まれる。それによって絵が楽しめるのなら問題はない。

絵を見て、故郷の海を思い出したり、あんなところに旅をしたいと思ってみたり、ただ美しいなと思ってみたり、これにはこんな理由があるのではないかと、想像を巡らせたり、鑑賞をする側にもいろんな姿勢があって良いと思います。他のものに例えるなら、ファッションも実際に買ってみて、いろいろ着て試してみて、自分の中に自分だけの軸ができるように、まずはたくさん触れて自分で考え、感じてみるのが良いと考えています。

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ただし、自分で考えて感じることだけは忘れてはなりません。最後に、こちらの文章をおいておきます。

しかし、どんな方法にも危険はついてまわる。美術館でカタログを手に歩きまわっている人を見かけることがある。彼らは絵の前に立ちどまるたびに、目を皿のようにして作品番号を探す。本をめくってその絵のタイトルや呼び方がわかると、またすぐに歩きはじめる。そんな人は家にいた方がいい。