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倉庫バイト③
お昼休憩は、朝話した愛想の良いお姉ちゃんと休憩所で会ったので、隣に座ってご一緒させてもらった。
「どこで仕事してた?ひとりだけ連れて行かれたようだけど。」
「積み済みのロールを、エレベーターに乗せてひたすら下に運んでた。
めっちゃ力仕事で汗だく、ヤバイよ〜
適当に選んだって言ってた。」
どうりで、おばちゃんには声がかからなかったんやな、納得。ホッ笑。
***
午後からも同じ業務を粛々とこなす。
…にしても、足先につけている安全保護カバーが重いこと。
常勤の方々は、皆さんしっかりとした靴を履かれていなさるようだ。
それから、服に丸い扇風機が付いているベストを着ている人を何人か見かけた。
今流行りの『ファン付空調服』と言うようだ。
いや、流行りではなく、今後は夏に必須アイテムになるかもしれないな、等と眺めながら思った。
3時位に15分休憩があった。
お昼が45分だから、分割で取れた方が、立ちっぱなしには有り難かった。
ところが、休憩場所まで徒歩5分程度かかり、トイレに行くと、ゆっくり出来る時間は5分ほどしかなかった。
慣れない者には、あっという間に終わってしまった。
残り2時間弱。
最後の力を振り絞った。
途中、同じ作業していた若い女の子と多少会話を交わしたのが、唯一の救いだった。
翌日にはバイト代を引き出せるから、勤めている会社を有休で休み、アルバイトに来ていたらしい。
あらら、給料日まで待てないくらい持ち金が切迫してたんやね〜(>ω<)
仕事が終わり、受付に借りたものを返却し、表に出た。
「やれやれ、これからチャリで帰るんやな〜(´-﹏-`;)」
と思っていたら、唯一の救い、金欠少女が、
「仕事中、話しかけてくれて、ありがとうございました。」
と、声をかけてきた。
「いえいえ、こちらこそありがとね〜」
倉庫バイトはもう2度とやらないかもしれないが、こんな風なたった1度の出会いも良いもんやなと、踏み込むペダルも軽くなった気がした。