![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/145918260/rectangle_large_type_2_0e3a01aaab8e999d84289d58ec0a4b13.png?width=1200)
歌うたいの猫と、魔法の万年筆。【ヒカリの向こうへ】
【ヒカリの向こうへ】
なんという眩しさでしょう。
猫が、ぎゅうっと瞑った瞼の裏は、チカチカ光るお星さまで埋め尽くされていました。
猫は万年筆がどうなったのか気になります。けれど、眩しいお星さまは、猫の目の中からなかなか出て行ってはくれません。
何だか少し寒いような、後ろ脚やふさふさのしっぽがゾワゾワするような、そんな気持ちがしました。
猫は何度か、前脚で顔をゴシゴシと洗いました。
そして、ようやくそーっと目を開けることができました。
猫はまた、あの不思議な万年筆を探すため、歩き出そうとしました。
コツン…。
猫の前脚に、何か触れました。
万年筆です。
でも、お星さまのように輝いていた、あの万年筆とは、ずいぶん違うようです。
色は茶色だし、ところどころ、古ぼけていて、キズが付いたりしています。
前脚でちょいちょいっとしてみたり、ふさふさのシッポでぺしぺししても、何も変わりません。
さっきまで、あんなに楽しそうにお話していたのに…。猫は、何だか悲しいような、寂しいような、目からまた「ナニカ」が零れ落ちそうな。そんな気持ちになりました。
猫はそっと、万年筆を前脚で拾いました。
猫の前脚は、ギターをたくさんたくさん、弾いていたので、「普通の猫」より器用なのでした。
「にゃにゃ〜…。」
猫は、ため息のような、うなだれ声を出しました。万年筆がなぜ、古ぼけた万年筆になってしまったのか、まったく分からなかったからです。
猫は、うなだれていた頭をよっこらしょっと、持ち上げて、ぼんやりと光る森を眺めていました。
………? ぼんやりと光る森………?
空は、宙になったはずです。
猫は、宙にお星さまがキラキラ光るのは知っていました。しかし、ぼんやりと森が光っているなんて、今まで見たことがありません。
猫の心臓が「ドキドキ、ドキドキ。」と、いつもりよ大きな音を出し始めました。
『あの光の向こうに、行かにゃくちゃ。』
そう、「なんとなく」分かったからです。
猫は、前脚で包んでいた万年筆を、ギュッと握りしめました。
すぐに、森の住処に戻ります。
お気に入りのポシェットを首に引っ掛けて、万年筆を大事に大事に、しまいました。
森の音楽会は、もうできないかもしれません。
「なんとなく」そんな気がします。森の動物たちには、足あとのお手紙を描いておきました。
そして、宝物のギターをしっかりと背負い、ぼんやりと光る森に向かって、走り出します。
「ドキドキ、ドキドキ。」
ぼやけた森の光に向かう途中も、猫の心臓の音はどんどんどんどん、大きくなります。
風を切る音、草の擦れる音、小枝の弾ける音。
宙を覆う、木々の葉が何か「秘密のお話」をしているような、不思議な音もします。
「はぁはぁ」と息が上がるくらい、猫は走りました。ようやく、ぼやけた光がハッキリと見えてきました。
その頃には「ドキドキ」は落ち着いて、「ワクワク」になっていました。
ハッキリと見えるようになった光の中心には、何かが浮かんでいるようです。
つづく…。
☆彡 Inspired by 『#春とギター』 ☆彡
☆彡 にゃんくしーさん主催「#ネコミミ村まつり」 ☆彡
☆彡 もうすぐ始まる…!猫さん達のお祭り!?こちらをちぇけら♪
☆彡 にゃんくしーさんのnoteはこちら ☆彡
☆彡 「にゃにゃにゃ♪」猫語の遣い手!?にゃんくしーさん♪
☆彡 PJさん創作大賞2024参加中 ☆彡
[ RSF : ロマンティック・サイエンスフィクション ]
[『愛すべき登場人物、みんな幸せになって欲しい。』ストーリー部門第一位 ]_(・ω・´)ちぇけら☆
☆彡 素敵な虹色の光のお写真はTakeKurokiさん
見出し画像として、ほっとするような虹色の光、お借りしました!
素敵なお写真がたくさん!ぜひみなさんも覗いてみてください~!
( ・`д・´)ノ" [ 要ちぇけら ]✨
TakeKurokiさん、ありがとうございます♪
いいなと思ったら応援しよう!
![Q_nine](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/106458791/profile_febb2375be8624e40c41738cf87af22e.jpg?width=600&crop=1:1,smart)