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【読書記録】2024年4月14日〜4月20日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 本読みの私にとって今週一番の出来事といえば、作家の宗田理さんが亡くなったことです。
 これは前にどこかの記事で書いたことがあるかもしれませんが、私が宗田理さんを知ったのは1988年の夏。
 誰がパーソナリティだったかはもう覚えていないけれど、ラジオの深夜放送「オールナイトニッポン」の番組中のCMで流れたこんなコトバ。

「インチキな大人に、宣戦布告!」

 コレ、ちょうどその時に劇場公開された「映画 ぼくらの七日間戦争」のキャッチコピーだったんです。
 その頃の私は、遅れてやってきた中二病をこじらせていた時期で、この言葉が脳みそを直撃。どれだけ衝撃的だったかは、今でもこのフレーズをはっきり思い出せることで明らか。
 田舎だったので映画を見に行くことはできなかったけれども、翌日本屋に駆け込み文庫本をゲット!

ぼくらの七日間戦争
著者 宗田理

 その頃読書の「ど」の字もなかった私が、夢中でページをめくったことを、今でもはっきり覚えています。
 あー懐かしい。

 そんな素敵な時間をくれた宗田理さんのご冥福をお祈りします。

では改めて今週出会った本たちをご紹介。

【2024年4月14日〜4月20日に出会った本たち】

⚪️コクーン

著者 葉真中顕

【内容紹介】
 1995年3月20日、丸の内で起こった無差別乱射事件。カルト教団『シンラ智慧の会』による凶行の首謀者は、忌まわしき過去を背負う教祖、天堂光翅であった。彼や教団に関わった者たちの前に現れる一匹の煌めく蝶。金色の翅が導くのは地獄か、それとも……。平成を揺るがすテロ事件が生み落とした絶望とかすかな希望を、幻想的かつスリリングに物語る衝撃作!

出版書誌データベースより

【感想】
 オウム真理教の事件をモチーフに、貧困、児童虐待、差別、近親相姦、同性愛など様々な社会問題を絡め、パラレルワールドの話まで織り込んであるので、物語の全容を掴むのに苦労しました。
 おまけに最後はハッピーエンドかと思いきや、エピローグがまた不安を掻き立てる終わり方で…。
 私は宗教自体を否定する気はないし、確かに信じることで救われ、前向きになれる人もいるんだと思うけれど、もし本当に全知全能の神様がいるのなら、
「『信じる人しか救わない』なんてセコい真似はしないのでは?」
なーんて思ってしまう私はバチ当たり?
いやただのB'z信者。

⚪️絶叫

著者 葉真中顕

【内容紹介】
 マンションで孤独死体となって発見された女性の名は、鈴木陽子。刑事の綾乃は彼女の足跡を追うほどにその壮絶な半生を知る。平凡な人生を送るはずが、無縁社会、ブラック企業、そしてより深い闇の世界へ……。辿り着いた先に待ち受ける予測不能の真実とは!? ミステリー、社会派サスペンス、エンタテインメント。小説の魅力を存分に注ぎ込み、さらなる高みに到達した衝撃作。

出版書誌データベースより

【感想】
 ある日マンションで孤独死した鈴木陽子という女性の半生の物語。
 とにかくこの陽子の人生が辛すぎます。もっと母親に愛されていれば。最初に結婚した夫との間に子供ができていれば。生保レディーの仕事に出会わなければ。ホストに捕まらなければ…。
 陽子と同じくこの事件を捜査する刑事・奥貫綾乃の過去も…。これもいったい何が悪かったのか、何処で間違ったのか…。
 ボタンを掛け違えれば誰にでも起こりうる可能性が…。
 ただ結末は驚きではあるけれど、早見和真さんの〝イノセント・デイズ〟や、染井為人さんの〝正体〟みたいな感じではなかったので、それが驚きといえば驚き。
 読了後「なぜタイトルが『絶叫』なんだぁぁぁっ!!」と、私が絶叫したくなりました。とさ。

⚪️Blue

著者 葉真中顕

【内容紹介】
 平成一五年に発生した一家殺人事件。最有力容疑者である次女は薬物の過剰摂取のため浴室で死亡。事件は迷宮入りした。時は流れ、平成三一年四月、桜ヶ丘署の奥貫綾乃は「多摩ニュータウン男女二人殺害事件」の捜査に加わることに。二つの事件にはつながりが……!? 平成という時代を描きながら、さまざまな社会問題にも斬り込んだ、社会派ミステリーの傑作!

出版書誌データベースより

【感想】
 平成元年に生まれ、年号が令和に変わる直前に亡くなった、いや直前まで生きたBlueと呼ばれる戸籍のない少年の物語。
 二つの殺人事件に関わるBlueの30年ちょっとの人生は、まさに平成という時代の波に翻弄された感じ。
 これ単体で読むと、平成の世相を駆け足でざっくりさらった物語という印象を受けるかもしれませんが、同じ著者の〝絶叫〟と続けて読むと、より深みが増します。
 特に二つの物語を跨いで登場する、奥貫綾乃刑事の苦悩と葛藤は、Blueの境遇と同等、いや読む人によってはそれ以上に心を抉ってくるかもしれません。

⚪️そして、海の泡になる

著者 葉真中顕

【内容紹介】
 バブル絶頂期の1990年、個人として史上最高額4300億円の負債を抱え自己破産した朝比奈ハル。平成が終わる年、彼女はひっそりと獄死した。彼女のことを小説に書こうと決めた私は関係者に聞き取りを始める──。解説・芦沢央。

出版書誌データベースより

【感想】
 1980年代半ばに「北浜の天才相場師」と称された投資家にして、バブル崩壊後は多額の詐欺事件にも関与した尾上縫さんをモデルにした物語。
恥ずかしながら私、この本を読んで初めて、尾上さんの存在を知りました。
 物語の中では「北浜の魔女」朝比奈ハルという名で語られ、主人公の女性が彼女の半生を小説にするために、彼女と関係のあった人物を尋ね歩きます。
 読みどころは朝比奈ハルという女性の生き様を、彼女本人ではなく関わった人々の証言から描いているところ。全編モノローグやインタビューに答える形で話が進んでいくという構成も面白く、貫井徳郎さんの〝愚行録〟を思い出しました。
 それと忘れてならないのがミステリーの部分。バブルという狂乱の時代の解説書的一冊。

⚪️バンド臨終図巻 ビートルズからSMAPまで

著者 速水健朗 他

【内容紹介】
 あなたが好きだったあのバンドはなぜ解散したのか?カネの分配、ドラッグ、メンバーの死、女性関係、そしておなじみの「音楽性の違い」。
ときにはマネージャーが暴走し、メンバーが殴り合い、美しい解散宣言もあれば、泥沼の裁判沙汰に至ることも。
 ビートルズからSMAPまで、古今東西のバンド191の死にざまを網羅する音楽ファン悶絶必至&阿鼻叫喚の大著!
 古きよきロックはもちろん、ソウルもJ-POPも、メタルもパンクも渋谷系も、アイドルにフォークにプログレにシューゲイザーまで、古今東西の音楽ジャンルを横断。X JAPANやスコーピオンズなど「臨終」から不死鳥のごとく甦ったバンドも収録。SMAP、FUNKY MONKEY BABYS、girl next door、モーターヘッドなどを追加。Hi-STANDARDの16 年ぶりのシングルリリース、ABBA再結成ツアー敢行、嗣永桃子 芸能界引退発表など最新情報も。 
 あのバンド、このバンドの「死因」が一目瞭然:メンバーの死(T・レックス、カーペンターズほか)、メンバーの逮捕(カルチャー・クラブ)、メンバーの離婚(ABBA)、マネージャー(ザ・クラッシュ、デスティニーズ・チャイルドほか)、成功による重圧(イーグルス、ニルヴァーナほか)、兄弟げんか(オアシス)、公約通りの解散(横浜銀蝿)……

出版書誌データベースより

【感想】
 1961年から2016年にデビューした国内114、海外77組のバンドやユニット、アイドルグループの解散理由をまとめた本。
 かなり懐かしい名前が並んでいて、それだけでニヤニヤしてしまいました。
 活躍していた年数も人気の度合いも異なるグループの記事を幅広く集めているので、解散理由を詳しく分析しているものもあれば、さらっと触れただけのものも。
 公式には「音楽性の違い」と発表されることが多い解散理由も、蓋を開ければ金銭問題、恋愛、ドラッグ、グループ内のパワーバランスの崩れなど様々。
 一番拗れていたのはハウンドドッグとSMAPそしてチェッカーズかな。

【まとまらないまとめ】

  いかがでしたか。
  今週は、先週に引き続き「葉真中顕」さんウイークでした。
 とくに今週読んだ4冊は昭和の後期から平成の終わりまでの日本の世情を振り返る内容で、読みながら「あーそうそう、そーだった!」なんて思わず声に出してしまいました。
 ちょうどバブルの頃は学生だったので直接徳をしたり損をした思い出はないのですが、考えてみれば、テレビ番組なんかも各局競うように世界各国を回るクイズ番組を放映していたし、毎年楽しみにしていた「スターかくし芸大会」は2夜連続で、ものすごく豪華だったような。
 今週は何かと懐かしさを覚える1週間でした。

最後に、
 読書っていいよね。


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