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【読書記録】2024年8月11日〜8月17日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 今週は連休もあっていつもより出会った本たちが多いので、このまま紹介に移ります。
 それにしても暑い。

【2024年8月11日〜8月17日に出会った本たち】

⚪️琥珀の夏

著者 辻村深月

【内容紹介】
 かつて、カルトだと批判を浴びた<ミライの学校>の敷地跡から、少女の白骨遺体が見つかった。ニュースを知った弁護士の法子は、胸騒ぎを覚える。埋められていたのは、ミカちゃんではないかーー。小学生時代に参加した<ミライの学校>の夏合宿で出会ったふたり。法子が最後に参加した夏、ミカは合宿に姿を見せなかった。30年前の記憶の扉が開くとき、幼い日の友情と罪があふれ出す。

出版書誌データベースより

【感想】
 宗教2世の苦悩を描く物語。
 宗教自体を否定する気はないけれど、「たくさんの人を勧誘すれば徳が上がる」とか「世の中を良くするため」とか言って選挙の時だけ電話してくる友人とか親戚には正直辟易とします。
 まあそれでも大人は自分の意思でその道に飛び込んだのだからその責任も自分で取ればいい。
 しかしここで問題となるのはその子供たち。確かに孤独な子育てに悪戦苦闘する親にとって何かのコミュニティに所属することが不安を軽減してくれることはあると思う。しかしその団体にどっぷり浸かってしまう、いやその環境下で子どもたちを育てることは、彼・彼女たちの自由な未来を奪ってしまうことにはならないか。
 …と元宗教3世の私は思う(今は全然関わってないけどね)。

⚪️サマーウォーズ クライシス・オブ・OZ

著者 土屋つかさ

【内容紹介】
 カズマは電子空間OZで、正体不明のデータを持つマキに出会う。なんの偶然か、マキの本体である真紀もネットカフェの隣席にいて、しかも怪しげな男に襲われていた――OZと現実世界で、2人の逃避行が始まる

出版書誌データベースより

【感想】
 早いもので劇場版「サマーウォーズ」公開から15年。…と言っても自分が映画を見たのはだいぶあとだったけれど。とにかくネット世界とそれとは対極にあるような家族の繋がりや、畳みかけるようなストーリー展開にドキドキしたことを今でもはっきり覚えています。
 っていうか「夏=サマーウォーズ」というくらい魂に刻まれた感じです。
 今回手に取ったのは本編の3ヶ月前が舞台のスピンオフ作品。
 主人公はキング•カズマこと池沢佳主馬くん。もちろん栄おばあちゃんも、「ちょっと言えないとこ」のあの人も登場。
 人は何のために戦うのか、それは…。

⚪️サマーウォーズ

著者 岩井恭平

【内容紹介】
 数学しか取り柄がない高校生の健二は、憧れの先輩・夏希に、婚約者のふりをするバイトを依頼される。一緒に向かった先輩の実家は田舎の大家族で!? 新しい家族の絆を描く熱くてやさしい夏の物語。

出版書誌データベースより

【感想】
 劇場版公開から15年。記録を確認すると、この本を最初に読んだのは2017年の夏。ちょうど読書が好きになってきた時期だったんだなぁと、なんかちょっと懐かしい気持ちになりました。
 初読の時はやっぱりわかりやすい栄おばあちゃんの手紙に、全部持っていかれた感じだったけど、今回久しぶりに再読してみて、映像作品では一瞬で終わってしまう、自然の描写や各キャラクターーの心の揺らぎ、花札バトルの緊張感に、映像では味わうことのできない活字ならではの表現の豊かさというか、独特の緊張感を感じました。
 やっぱりこの物語は名作ですね。

⚪️梟の一族

著者 福田和代

【内容紹介】
 <梟>の一族――。誰ともなくそう呼びならわされた人々には秘密があった。限界集落で身を隠すように生活している彼らは眠らないことに加えて、生まれつき常人離れした身体能力を持っているのだ。それゆえに歴史の影で大きな役割を果たし続けてきたのだった。榊史奈は一族の末裔中、唯一の十代として期待を一身に背負いながらも、平和に暮らしていた。集落が何者かにより襲撃され、一名が死亡し、その他全員が彼女を残して消えてしまうまでは……。敵の目的とは一体何なのか。単身で逃亡生活に追いやられた史奈は、一族の生存を信じて、また己のルーツに関する真実を知るため、戦い続ける。なぜ一族は外の人間とは距離を置くのか?
奇病・シラカミが発病する者としないものの差は何か?
なぜ里を守らねばならないのか?
母と父は一体どこで何をしているのか?
そして、なぜ、こんなにも孤独なのか――?
<梟>は、死を恐れない。

出版書誌データベースより

【感想】
 〝梟の胎動〟を読み始めるも、「『梟』と称される身体能力に優れた眠らない人々の話」ということ以外はほとんど忘れてしまっていたので、物語世界の再構築のために本書を再読。
 味方だと思っていた人たちが実は的!と思わせておいてやっぱり味方という展開にドキドキ。特別な能力を持っている人たちの苦悩はもちろん、特別な能力を持った人たちの中に放り込まれた普通の人たちの疎外感というか、マイノリティの逆転みたいな展開も面白かったし、それを超えた主人公の決断が実に清々しい。
 ところで主人公の榊史奈を語った人物とはいったい何者?

⚪️梟の胎動

著者 福田和代

【内容紹介】
 忍者の末裔にして、眠らない特殊体質を持つ梟の一族。里を失って四年。東京の大学生になった史奈は、一族を襲う奇病・シラカミを研究する父、陸上競技に邁進する長栖兄妹のように、己の生きる道を見つけられずにいた。そんな折、〈梟〉の力を借りたいと、ある競技の遺伝子ドーピングに関する調査依頼が舞い込む。その裏に渦巻く姑息な陰謀とは? 長い夜が明け、梟の新時代が始まるシリーズ第2巻。

裏表紙より

【感想】
 〝梟の一族〟の村襲撃事件から4年。
 今度は「ハイパー・ウラマ」という新スポーツ(?)に巻き込まれていく梟たち。この新スポーツ、バスケットボールと格闘技を合わせたような競技だがなんと、出場選手はドーピングから人体改造までなんでもアリのトンデモ競技だとか。
 しかしこの巻では実際の大会まで話が進みません。なにせ「胎動」なので。ライバル的な存在の「狗」と呼ばれる集団も登場し俄然盛り上がってきたところでなんと、梟存続の危機襲来。ドキドキするやら焦ったいやら。
 実際に競技が始まったらどんな強者が登場するのかそれが楽しみ。

⚪️梟の好敵手

著者 福田和代

【内容紹介】
 梟の里の襲撃事件から四年。大学生の史奈は、再び渦中の人となる。長栖兄妹とともに、全世界が熱狂する新競技「ハイパー・ウラマ」に出場するのだ。ドーピング可を謳う大会に生身で挑むと宣言した梟の一族を、執拗に潰しにかかる運営側。彼らの用意した切り札こそ、因縁のライバル・狗の一族だった。片時も眠らない梟vs.異様に鼻が利く狗、究極の忍者バトルの火蓋が切られる!シリーズ第3巻。

裏表紙より

【感想】
 「梟」シリーズ第3弾。ここにきてやっとトンデモ球技「ハイパー・ウラマ」大会開催。個性豊かな選手たちが続々登場し、手に汗握るジャンプ漫画のような王道展開を期待するも、選手が怪我をして途中で試合終了になったり、棄権や妨害で試合自体が中止になったりとちょっと残念。
 もう一つの柱である梟一族の存続を脅かす奇病の治療薬開発についても、いつのまにか目処がつき、最後には主人公の史奈は一族のルーツを探る度に出ることを決意するという。
 新たに登場した奥殿という「狗」に続く第三勢力っぽい謎の人物とか、今後の展開が楽しみ。

⚪️砂嵐に星屑

著者 一穂ミチ

【内容紹介】
 舞台は大阪のテレビ局。腫れ物扱いの独身女性アナ、ぬるく絶望している非正規AD……。一見華やかな世界の裏側で、それぞれの世代にそれぞれの悩みがある。つらかったら頑張らなくてもいい。でも、つらくったって頑張ってみてもいい。人生は、自分のものなのだから。ままならない日々を優しく包み込み、前を向く勇気をくれる連作短編集。

出版書誌データベースより

【感想】
 まずタイトルについて考えてみる。舞台がテレビ局なので、砂嵐は放送終了後のスノーノイズのこと(最近は一晩中放送してるから見かけなくなったけど)か。そして星屑は散らばったたくさんの星の輝きのことだから、テレビ局で働く様々な業種の、この連作短編の主人公たちのことかな。だから星(スター)ではなくて星屑なのか。
 読み始めはテレビ業界が舞台の「お仕事小説」かと思いきや、不倫や叶わぬ恋、親子関係、仕事との向き合い方などもっと根本の部分で迷ってる人たちの物語でした。
 大阪の物語なので、土地勘がある人はより楽しめると思います。
 ちなみにこの文庫版には、単行本未収録の短編「砂嵐に花びら」が収録されています。

⚪️すべての神様の十月(三)

著者 小路幸也

【内容紹介】
 才能はあるけれど売れない小説家と、画力は抜群だけれど物語が作れない漫画家。二人が出会った時に起きる小さな奇跡とは?(「結ばれたものは」)、出掛けるたびに道に迷ってしまう方向音痴の母。そこには意外な理由が隠されていて……(「方向音痴は直りません」)。
死神、福の神、風神、雷神――気まぐれで心優しい八百万の神と、人間たちとのちょっと不思議な《縁》を描いた、人気シリーズ第三弾。
文庫オリジナル。

出版書誌データベースより

【収録作品】
結ばれたものは
コンビニで恩返し
間に合わせます
運が良くても悪くても
当たり過ぎる
気象予報士は雨女
方向音痴は治りません
座敷童は大人になるのか
死神よ来い
地味過ぎる

【感想】
 このシリーズを読む度に、我々の周りには実にたくさんの個性豊かな神様がいるんだなぁと、つくづく思います。なにせ「八百万の神様」ってくらいですから。さすがに800万は多すぎると思うけどね。
 この短編シリーズを読み始めるときにまず考えるのは、毎回どんな神様が登場するのかということ。ほぼレギュラー化している死神や福の神以外にも、今回は風神・雷神、韋駄天、道祖神、雨女から八咫烏の子孫など実にたくさんの神様が物語を彩ります。
 しかもこの物語たちがどれも温かい。血生臭くて物騒な話がひとつもないというのもこのシリーズの魅力の一つだと思います。

⚪️たんぽぽ球場の決戦

著者 越谷オサム

【内容紹介】
 元高校球児の大瀧鉄舟は野球の道をあきらめ、人生そのものが停滞したまま二十代半ばを迎えてしまった。そんな彼が、ひょんなことから草野球チームを創設することに。彼の元に集まったのは野球で挫折経験ありの男女八人。すったもんだの果てに迎えた初の対外試合で、へっぽこナインがまさかの奇跡を起こすのか!? 読めば心が温かくなる傑作長編。

出版書誌データベースより

【感想】
 高校野球やプロ野球などリアルな野球には全く魅力を感じない私ですが、野球がテーマの物語は時々手に取ります。‥というかたまたま推し作家さんが野球の物語を描いているだけという気もするけれど。
 とにかくそれぞれ挫折を経験した立場の違う老若男女がチームを結成して一致団結、「勝利」を目標に切磋琢磨、孤軍奮闘するというのはやっぱり興奮します。
 主人公は高校野球で県代表一歩手前までいったものの、肩の故障で挫折し、その後目標を見つけられずフラフラしていた青年。ひょんなことから草野球チームの代表になった彼の葛藤や心の成長が実に清々しい物語でした。

⚪️家族でテキ屋をやっていました

著者 高里杏子

【内容紹介】
 「はい、ウマイよ、できたてだよ!」
「大たこ焼き、6個で500円だよ!」
日本の祭りを盛り上げるテキ屋の屋台。しかし、行政による締め付けが厳しくなった昨今、徐々にその姿を減らしている。
そもそも、テキ屋はいったいどのような組織なのか?
どうやってテキ屋になるのか? 扱う商品は誰が、どうやって決めているのか? 商売をする上での縄張りは? そしてどれくらい儲かるのか? 
日本の風物詩であるテキ屋、これまで明らかにされてこなかった実態を、テキ屋一家に生まれ育った著者が赤裸々に描く。

【感想】
 夏といえば花火、お祭り、そしてそれに必ずついて回る出店。
 そういえば最近は町内会が出店を出したり、そもそもコロナ以降お祭りやイベントが縮小されたり、おまけにグレーゾーンを許さない社会が、情緒あふれる、なんだかちょっと怪しげでそれがまた楽しいという、心のゆとりみたいなものを奪ってしまったような気がします。
 この本はいわゆるテキ屋として40年以上働いてきた著者が語るテキ屋のあれこれ。まず誰もが考える素朴な疑問「テキ屋は暴力団なのか?」。コレはキッパリ否定していました。でもなぜかいわゆる暴対法の対象にされてしまうという。
 そういえばちょっと前に、あるYouTuberが「屋台のくじを全部買って、当たりの数を確かめる」みたいな動画を公開していたけれど、昔はそんな行為を「無粋」と言って世間が許さなかったんですけどね。

【まとまらないまとめ】

 いかがでしたか。
 特別意識したわけではないんですが、今週は偶然「夏」がテーマのラインナップになりました。
 中でも一番心に残ったのは知られざるテキ屋さんのあれこれを解説した高里杏子さんの〝家族でテキ屋をやっていました〟。この本、本屋ではなくてコンビニで偶然見つけた、いや出会った、違うな呼び止められた感じで手に取りました。
 書店でも古書店でもコンビニでもいいんですけど、私は本に呼び止められることがしばしばあります。そしてこの呼び止められた本が大概面白いという。
 皆さんはこういう経験はありますか?
 さぁ、また素敵な本に声をかけてもらえることを願って、今日も明日も書店へGO!

最後に
 読書っていいよね。 


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