【本の紹介】螺旋プロジェクトの8冊

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 突然ですがみなさんは「螺旋プロジェクト」をご存知でしょうか?

 螺旋プロジェクトとは、中央公論新社が創業130周年を記念して2016年に創刊された文芸誌「BOC」。その第1号から10号に連載していた、8組(9人)の作家さんによる共作(競作?)企画の名称です。

私がごちゃごちゃ書くよりも…。
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 そもそも「螺旋プロジェクト」を知ったのは昨年、2022年の春、朝井リョウさんの作品を集中して読んでいた最中に出会った〝死にがいを求めて生きているの〟でした。
 これがどうやら、何か壮大な企画の中の一冊らしいと知り、朝井リョウさんブームが一段落した後、発起人であり参加メンバーでもあり、今まで何冊か読んだことがある伊坂幸太郎さんの〝シーソーモンスター〟を読み進め…。
 このシリーズに興味が湧いたものの、畳み掛けるように他の作家さんブームが到来して、しばらくこのシリーズからは遠ざかります。

 …で再燃のきっかけは、昨年10月から3ヶ月連続で8作品が文庫化されるというニュースを知ったことでした。

「せっかくシリーズ2作を読んだのだから、これを機に全巻制覇してみよう!!」

…ということで、早速買い求め、年末年始でシリーズ全8作品を読み終えたので、いつものようにざっくりご紹介。とは言ってもあらすじなどは、上の特設ページをご覧ください。

螺旋プロジェクト

【作品紹介】

●原始編「ウナノハテノガタ」

著者 大森兄弟

●古代編「月人壮士」

著者 澤田瞳子

●中世・近世編「もののふの国」

著者 天野純希

●明治編「蒼色の大地」

●昭和前期編「コイコワレ」

著者 乾ルカ

●昭和後期/近未来編「シーソーモンスター/スピンモンスター」

著者 伊坂幸太郎

●平成編「死にがいを求めて生きているの」

著者 朝井リョウ

●未来編「天使も怪物も眠る夜」

著者 吉田篤弘

【読了後の感想】

 まずは達成感!
 これにつきます。
 私はいつも「乱読」と言ってはいますが、やはり今、現代が舞台の小説を読むことが多くて、それ以外の時代の物語は少しハードルが高いと感じていたので…。特に私にとっては難解だった原始や古代、そして未来の物語を、途中で投げ出さずに読み終えることができたのは、かなり嬉しいです。

 自分にとって難解(平たく言うと苦手)な物語をなんとか読み終えて夏川草介さんが〝本を守ろうとする猫の話〟に書かれていたこんなフレーズを思い出しました、

「難しい本とは、自分にとって新しいことが書いてある本」
本文より

…確かに今回8冊を読み終えて納得です。

 次に感じたことは、
 作家さんたちの熱量というか情熱。
 テーマやシチュエーション、モチーフが共通とは言っても、それぞれ作風がまったく違う作家さんが、まさに切磋琢磨して生まれた物語たち。特に現代の犯罪小説を描く薬丸岳さんが明治時代の海軍と海賊の争いを描いていた〝蒼色の大地〟、天野純希さんが900年にも及ぶ長い武士の歴史を400ページちょっとにギュッとまとめた〝もののふの国〟、そして歴史的背景など全くない原始編を描いた大森兄弟さんの〝ウナノハテノガタ〟などはまさにお見事!

【私のイチオシ】

…で8作品の中で私の一番のお気に入りは、
 乾ルカさんが描いた昭和前期編の〝コイコワレ〟。
 この螺旋プロジェクトのいくつかあるルールの中で最も重要なのが「海族と山族の対立」なのですが、乾ルカさんの作品は、ただ単に「対立」を描くのではなくて、「自分と合わない相手とうまく付き合っていく方法」みたいな、いわゆる上手に生きていくためのヒントみたいなものが書かれています。この物語は第二次世界大戦の終戦前、昭和19年〜20年を描いた物語ですが、SNS全盛の現代の我々にこそ必要な心構えだと感じました。

【残念というか】

 最期に一つだけ欲を言えば、
 吉田篤弘さんの未来編と大森兄弟さんの原始編が、なんらかの形で繋がっていてほしかったです。そうすればどの物語から読み始めてもぐるっと一周する壮大な物語になるから。
 あっ、それだと「らせん」じゃなくて「リング」、いや「輪廻」になっちゃうのか。
 お後がよろしいようで。

【特報】

 そういえば、各文庫の巻末に特報として「螺旋プロジェクトの第二弾始動!」と書かれていました。参加するのは伊坂幸太郎さん、武田彩乃さん、月村了衛さん、凪良ゆうさん、町田そのこさん。そして小さく「ほか」と記載されています。
???「ほか」って誰なんだぁ!!

 何はともあれ期待が膨らむばかりです。

【まとまらないまとめ】

 いかがでしたか?
興味のある方は是非気になる1冊、いやできれば8冊全て手に取ってみてください。
これじゃまるで、中央公論新社の営業マンみたいだ。

最期に
読書っていいよね。


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