【読書記録】2024年1月21日〜1月27日
みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。
あっという間に1月も最終ターン。
今年は正月から大災害があって、大変な幕開けとなりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
私はといえば、昨年末にそれまで働いていた職場を退職し、1月からは新たな職場で働くことになりました。
多分これが人生最後の転職かな。
何が変わったって、通勤ですよ。
今までは徒歩通勤で、自宅から職場まで約50分。この時間をいわゆるオーディオブックのようなコンテンツを聞きながら通勤していたのですが、新しい職場は、通勤時間は少し短くなるものの電車とバスを使っての通勤。
…電車はまだいいんですよ。大きな遅延がなければほとんど決まった時間に目的地に到着するから。
問題はバスです。とりあえず乗り込むのは始発のバス停なので確実に座れるのですが、職場近くのバス停に着くまでは通常であれば15分くらい、しかし実際のところはほぼ毎日交通渋滞などがあって、5分〜10分遅れるのは当たり前。下手をしたら20分くらい到着が遅れてしまうんです。
なので乗り込んでから職場近くのバス停に着くまで、時間が気になって気になって…。
そんな状況ではなかなか本に集中なんてできません。
これもいつかは慣れるのかなぁ。
…ということで今年は通勤時間はあまり読書に集中できないかも。
枕が長くなりましたが、今週出会った本たちをご紹介します。
【2024年1月21日〜1月27日に出会った本たちを】
⚪️おまえなんかに会いたくない
著者 乾ルカ
【感想】
自分の中高生時代にもヒエラルキーみたいなものはありました。確かにありましたがもちろん「スクールカースト」なんて言葉もなかったし、ここまであからさまではなかった気がします。
この物語は2020年、コロナが流行り出した頃、ある高校の同窓会の連絡用SNSに投げ込まれた小石を機に、十年前、クラスの中心にいた人物たちがその当時を振り返ります。
自意識過剰で承認欲求丸出しの高校時代が懐かしくもあり、ほろ苦くもあり…。コロナ自粛の閉塞感も合わさって心がざわつく物語でした。ちょっとだけですが〝コイコワレ〟とのリンクが嬉しい。
⚪️夏光
著者 乾ルカ
【収録作品】
夏光
夜鷹の朝
百焰
は
Out of This World
風、檸檬、冬の終わり
【感想】
昨年末から読んできた乾ルカさんの文庫作品。その最後を締めくくるのはデビュー作である本書。
大きくは過去編と現代編の2章構成で、それぞれ3編の短編が収録されています。
これはこれまでに度々書いてきましたが、デビュー作にしてすでに多才。
どの話も時代やテイストは異なりますが読了後にかなり苦くて切ない気持ちになるのは共通しています。
一番印象が強かったのは、人の気持ちを「匂い」として感じることができる女性の話〝風、檸檬、冬の終わり〟。パッヘルベルのカノンのような香りの意味が明かされるあの最後の1行に胸が詰まりました。
⚪️少年と犬
著者 馳星周
【収録作品】
男と犬
泥棒と犬
夫婦と犬
少女と犬
娼婦と犬
老人と犬
少年と犬
【感想】
東日本大震災で飼い主を失った雑種犬の多聞の物語。
宮城県のある場所で家族のために悪事に手を染める男に拾われた多聞は、その後様々な境遇の人たちにリレーされ、5年をかけて目的地に辿り着きます。
途中で出会う人たちは皆、何かしらの問題を抱えていて、そんな人たちにそっと寄り添ってくれる多聞の存在と温もりが、凝り固まった登場人物たちの心を癒してくれます。
実は私、子供の頃、犬の帰巣本能の凄さを実体験済みなので余計に心に沁みました。
私は犬派でも猫派でもないけれど、こういう物語を読むと、やはり犬を飼いたくなってしまいますね。
ちなみに4話目の〝少女と犬〟は単行本未収録です。
⚪️今日のハチミツ、あしたの私
著者 寺地はるな
【感想】
読了後にこの言葉がじんわり沁みます。そうパンケーキに染み込むハチミツのような感じ、そしてそれを口にすると幸せな気分になれるみたいな。
「自分の居場所は自分で見つける」これが大事。大人になっても「自分は人見知りだ」、とか、「自分には居場所がない」なんていうのは、やっぱり言い訳なんだと思います。
主人公・碧の周りには心優しい人が集まってくるけれど、皆それぞれ抱えているものがあって、その人たちにとっては碧が蜂蜜の役目を果たしていたんだなぁと。
⚪️永遠をさがしに
著者 原田マハ
【感想】
原田マハさんの初期作品。
今は美術関連の小説を多く執筆されている原田さんですが、この頃のは美術系だけじゃなくて、いろんなジャンルの物語を書いてたんですね。
…でこの物語の題材はクラシック音楽。
世界的な指揮者の父とチェリストの母の間に生まれた女の子・和音の物語は、思春期の葛藤や淡い恋心などを織り交ぜながら進んでいきます。
自分が進むべき道がわからない和音の前に現れる父の再婚相手だという女性・真弓。とにかくこの女性のキャラが濃い。全体的に薄味な印象の登場人物の中でこの人が際立って見えたのは私だけでしょうか。
読了後に聞く♬G線上のアリア♬がまた、心に沁みます。
⚪️オヤジの細道
著者 重松清
【感想】
今から15年ほど前、42歳になった重松さんが、前期オヤジ世代代表として夕刊フジに連載したコラムをまとめた本書。
世代的には私より一から二世代上。
新聞連載の日常系エッセイなので「泣きのシゲマツ」も「黒シゲマツ」も封印してメタボで酒タバコ好きでスケベな「フツーのオヤジシゲマツ」全開!
読んでいて感じたのは、この本刊行当時の40代(オヤジ)と今の40代(オヤジ)は雰囲気や立ち位置、振る舞いがだいぶ違う気がします。何というか昔の40代より今の40代の方が若いというか、若作りしているというか、悪あがきしているというか…。
⚪️子は親を救うために「心の病」になる
著者 高橋和巳
【感想】
まずはこのタイトルが衝撃的。子供が不登校や拒食症、リストカットをするのは結局、親が自分の問題と向き合えず、または向き合わずに解決できていないから、それを気づかせるために問題を起こすのだと。
自分は子育てがほぼ終わった世代だけれど、これはちょっとダメージが大きい。
もしあの時この本を読んでいたら、何か少しは変わっただろうか。そんなことを考えながら読み進めました。
読んでいて気づいたのは、やっぱり自分は親との関係が希薄だったということ。これはまぁ、自分が子供だったあの時代では、仕方のないことではあるのだけれど。
最終章では子育てが終わった後の人生についても語られています。
誰もが思う「人生って何だろう?」という疑問に、この本はこう答えています。
確かに。
今まで人生について書かれた本はいくつか読んできたけれど、この本が一番しっくりくるかも。
⚪️友だち幻想 人と人の(つながり)を考える(再読)
著者 菅野仁
【感想】
ちくまプリマー新書といえばコレというくらい有名な本書。
簡単にいうと、「嫌いな人は排除するんじゃなくて、適当な距離感で付き合っていこう」という話。
現代はひとりでも生きていけるように錯覚してしまうほど便利になったけれど、それでも全く他人と関わらないで生きていくことはできないし、そもそも人は人との関わりを求める生き物。だからこそ「他人」と、特に「自分と気の合わない人」と、どう付き合っていくかというのが重要。
多様性という言葉の本当の意味を考えるためにも、まずは教育現場に立つ先生方に手に取っていただきたい一冊です。
【まとまらないまとめ】
いかがでしたか?
今週のラインナップを見ると、「乱読オヤジ」の本領発揮という感じですね。
…で一番気になったのが重松清さんのエッセイ。
感想でも書きましたが重松さんは私より一世代か二世代上の方なので、若い頃に聞いていた音楽や見ていたテレビ番組、流行っていた物事が私とは少しずれているんですね。だから読んでいても、なんとなくわかるけれども、どストライクではない感じがするんですね。私はエッセイはあまり読まないのでよくわからないのですが、日常系の話だと「あっ、そうそう、そーなんだよ」って共感できることが一つのポイントなのではないかと。
…ということで、
【お願い】
1970年代生まれの作家さんが書く、日常系おもしろエッセイ本(できれば文庫本)があったら、コメントでぜひご紹介ください。
よろしくお願いします。
最後に
読書っていいよね。