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青山正明による【ルチオ・フルチ監督】の略歴と評価
※「利用規約違反(「性的な音声、画像、動画」)」による修正後?の再投稿※
私がルチオ・フルチ(1927-1996)監督作で観ているのは、全てビデオでですが、『サンゲリア』『地獄の門』『ビヨンド』『墓地裏の家』『野獣死すべし』『未来帝国ローマ』の6本だけです。『ビヨンド』と『墓地裏の家』はビデオを所有してるだけで未見かも。この人の映画は、なぜか「記憶に残らない」ので観たかどうか不明。『サンゲリア』以外5本は〈劇場未公開〉。
『サンゲリア』のヒット後、日本でも多くのビデオソフトが題名に「ルチオ・フルチの~」と冠して発売されるという、大巨匠なみの栄誉に浴している。ファンの多くは『サンゲリア』『地獄の門』『ビヨンド』を絶頂期の三大傑作とし、続く『墓地裏の家』『ザ・リッパー』でやや勢いを失い、以降の作品はほとんど失敗作とする意見が多いが、上記の作品以外にも今尚カルト的人気を誇る作品も少なくない。娯楽映画の体を成しながら難解な結末が用意されている事が多く、その点で賛否は大きく分かれる。作品毎に作風が変化してくるところも特徴的だった。60代半ばまで多作を続けたが、最後の
数年は健康を損ね第一線を退いていた。ちなみに、生前撮った自らの監督作品で最も嫌いなのは『サンゲリア2』である。
★青山正明氏による【ルチオ・フルチの略歴と評価】(1985年)
ルチオ・フルチ
フルチは、脚本、監督、プロデューサーとして幅広い作品に携(※たずさ)わってきた。これら三つの仕事の中でも彼は特に脚本が好きだという。「テクニカル・レベルでみれば監督も面白い。しかし映画作りで一番重要なのは脚本なのだ。だから“サンゲリア”は例外として、これまで私が関係してきた全作品のオリジナルソースは遍(※あまね)く私自身の発案によるものだ」 ミケランジェロ・アントニオーニ、ルキノ・ビスコンティらと共に学んだフルチの三十余年にわたる映画生活は、作品の傾向として三つのエポックに分けられる。第一期はトートと云うコメディアンを主役とする22本の「コメディ・ミュージカル」期。第二期は『真昼の用心棒』(’66年フランコ・ネロ主演)等の「西部劇」期。そして現在、彼は第三期「ファンタスティク・フィルム」へと全精力を注ぎ込んでいる。 「“キャット・ピープル”」(’42年版)のジャック・ターナーや一連のポー作品を物したロジャー・コーマンに感服してファンタスティク・フィルムを作りだしたのさ。例えば“真昼の用心棒”で兄弟が直面する超バイオレンスは現実にはあり得ない、ファンタジーそのものじゃないか」 『カローレ』(SFXを『エイリアン』『E.T.』のカルロ・ランバルディが担当)を潮(※しお)に本格的にファンタスティク・フィルム・メーカーを標榜したフルチは、’77年『レッムリー・ビバンテ』(米題『ザ・サイキック』ジェニファー・オニール主演)でその意を高らかに具現化してみせた。そしてこの『ザ・サイキック』が製作者ファブリツィオ・デ・アンゲリスの目に止まり、『サンゲリア』がGOとなった次第である。 「私の作品よりクリント・イーストウッドの“ダーティ・ハリー”シリーズの方が、若者にとってずっと危険に思われる。何故なら私の目論むファンタジーとはあくまで悪夢の世界であり、そこには何ら合理性も無く、映画を観終われば観客は悪夢から目覚め、全くの自由になるのである」
フルチのホラー作品に対する評価
_フランコ・ネロ、ジュリアーノ・ジェンマ等を起用したフルチの「マカロニ・ウエスタン」は、その残酷さにおいて他の追従を許さぬ衝撃的な作品であった。日本・アメリカでの知名度も高く、’80年『サンゲリア』が全米で公開された折(※おり)「西部劇」と勘違いし劇場に入った中年の観客も多いと云う。_アメリカにおける『サンゲリア』(米題『ゾンビ』、原題『ゾンビ2』)の評価は非常に高い。FANGORIA誌の表紙を飾り、公開まもなくレーザー・ディスクとビデオソフトが発売された。かの『ゾンビ』(ジョージ・A・ロメロ『ドーン・オブ・ザ・デッド』)さえソフト化されたのは、公開後五年を経た’84年である。_アメリカでの人気はロメロの『ゾンビ』がかなり上回るように思えるが、これは、当作品がアメリカで’50年代に刊行されていた「ECホラー・コミックス」のユーモアを数多く取り入れたことに所以(※ゆえん)する。_しかしながら純粋に“恐怖” を司る“ホラー”の観点から判断すれば、『サンゲリア』を上回るゾンビ映画は無いと判断出来る。現に
我が国においては、ロメロの『ゾンビ』とフルチの『サンゲリア』は全く人気を二分している。_さて続いて’83年夏にリリースされた『ゲイツ・オブ・ヘル』(米国公開第二弾)もその戦りつシーンが物議を醸(※かも)した素晴らしい傑作ホラーであった。『ゲイツ・オブ・ヘル』(※『地獄の門』)は、FANGORIA誌のスペシャル・イシューに『サイコⅡ』『トワイライト・ゾーン』『ハンガー』『バスケット・ケース』『死霊のはらわた』などと共に取り上げられており、その絶大なる評価を窺い知ることが出来る。_’60年代に、西部劇に対して「マカロニ・ウエスタン」があったように、’80年代には、米国製ゾンビに対するイタリア版ゾンビ映画を総称する「コンチネンタル・ゾンビ」なる呼称も登場。このコンチネンタル・ゾンビを一手に担うのが、ルチオ・フルチなのである。 (青山正明)
1985年(ビデオの発売年度)に書かれた↑の文章は、明らかに「何らかの資料の引き写し」だと思われるが、青山氏は1989年に↓のような事を書いている。
_映画やビデオの紹介に携っている人間は、ホント馬鹿ばかりである。大別すると馬鹿にも2種類あって、ひとつは、語学が得意な馬鹿。彼らは、洋雑誌の引き写しと、間抜けなインタヴューだけで、評論家気取りである。もうひとつは、やたらにスタッフやキャストの名前、映画タイトルを記憶している馬鹿。どうしてあれほどの知識量がありながら、それが質へと変容しないのか不思議である。とまれ、どちらのタイプにも決定的に不足しているのは、映画外知識の貧困である。どれだけ大量の映画雑誌を読もうが、月に100本からのビデオを観ようが、アメリカ社会の病いを知ることなく、O・ストーンの生い立ちを知ることなく『トーク・レディオ』は語れないのだ。_JICC出版局No.1のパラノ野郎、町山氏が編集した本書には、真の映画評論がびっしりと詰まっている。
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ちなみに、町山氏は「2002年」と「2005年」に単著『〈映画の見方〉がわかる本』を出版している。「パラノ」というのは、浅田 彰氏が提唱?した「スキゾ⇔パラノ」の対立図式で、パラノ(パラノイア=偏執狂)とは古いタイプの人間(モーレツ型?)の在り方で、スキゾ(スキゾフレニア=分裂症)は色んな事に興味を持ち実践する「一貫性(自己同一性)に固執しない多重人格的」な新しい時代の在り方。【洋雑誌の引き写し】は↓の文章も参照して下さい。
(※青山正明氏は)またアメリカのホラー映画専門誌『ファンゴリア』(1979年創刊)も定期的にネタ元にしていたと見られる。特にルチオ・フルチの記事はこれ一冊で書いていたという。やけにフルチの話が出てくるのは『ファンゴリア』の記事がよく出来ていたからだろうか。
町山氏と青山氏は【90年代悪趣味/鬼畜文化】のキーパーソンに当たるか?
「サブカル」とは「反体育会系/非オタク」の【文科系マッチョ】なのか?
少なくとも青山氏は「大のオタク嫌い」を感じさせる文章を何度か読んだ。
購読していたエロ本に連載の青山氏の書評で知り読んだ本が、『アウトサイダー』『夢の島で逢いましょう』『史上最強のシネマバイブル ’91』。他には1ページも読まなかった『意識の中心』『マリファナ・ハイ』も新刊で。
★私が観た【ルチオ・フルチ監督作|6本】のVHSコレクション
フルチ監督の映画のレビューを少しだけ覗くと、「話に整合性が無い」「構成が無茶苦茶」みたいな評価があるようです。私はだいぶ前にビデオで観た『サンゲリア』と『地獄の門』は、何一つ記憶に無いが「つまらなかった」という印象も無い。数年前に観た『野獣死すべし』と『未来帝国ローマ』では、マフィアものである前者の「女性への拷問?」の場面が、イタリア映画らしく〈残虐(=やり過ぎ)〉だったな~の印象程度で、後者を含め個人的には「凡作」評価です。青山氏の文章では、フルチ自ら《私の目論むファンタジーとはあくまで悪夢の世界であり、そこには何ら合理性も無く、映画を観終われば観客は悪夢から目覚め、全くの自由になるのである》と、自作について「合理性が無い(=不条理?)」と語っているので、それが彼の作風か⁉
◆『サンゲリア』(1979/伊) ※私が観たのは上から3番目の「東芝」版
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◆『地獄の門』(1980/伊) 〈劇場未公開〉 ※私が観たのは「東芝」版
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◆『ビヨンド』(1981/伊) 〈劇場未公開〉
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◆『墓地裏の家』(1981/伊) 〈劇場未公開〉
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https://vhshell.blogspot.com/2012/02/
◆『野獣死すべし』(1980/伊) 〈劇場未公開〉
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◆『未来帝国ローマ』(1984/伊) 〈劇場未公開〉
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アイキャッチ画像は↓こちらの素敵なジャケ写を借りました。
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