奇妙で微妙な〈バディムービー〉の佳作『殺しのベストセラー』(87)。脚本は異才ラリー・コーエン。
◆『殺しのベストセラー』(1987/米/Best Seller) 〈劇場未公開〉
劇場未公開の犯罪スリラーの△佳作『殺しのベストセラー』(1987/米)。ジェームズ・ウッズとブライアン・デネヒーW主演の異色バディ・ムービー。
警官でベストセラー作家の「デニス(=B・デネヒー)」と、警察署の保管金庫への強盗で得た大金で起こした新興企業でヒットマンをしていたが、社長に裏切られクビになった恨みから、内情を暴露したノンフィクションをデニスに書いてもらい社長に復讐したい「クリーブ(=J・ウッズ)」。この「元ヒットマンのクリーブ」の動機は、一時期の「ガーシー」氏を連想させる。
オリジナル予告篇
監督はジョン・フリン(1932-2007)。脚本家は独特の「ヘンテコな脚本」を書き、映画監督もするラリー・コーエン(1936-2019)。低予算のスリラーやホラーで活躍?したラリー・コーエンが脚本を書いている映画では「殺し屋が主人公を襲う」場面に特徴がある。普通は「人通りの少ない暗闇」が定番だが、「現実性よりも派手さ」を重視する?らしく、『探偵マイク・ハマー 俺が掟だ!』(82)では、ステーキハウスのアジア系のシェフが調理中に突如ナイフを振りかざし、『殺しのイリュージョン』(87)では、ガラス張りで見晴らしのいい川沿いのレストランで食事をしてる所にヘリで窓の外からマシンガン乱射、本作『殺しのベストセラー』(87)でも、女工が働く大きな工場を訪ねた主人公達を真っ昼間の作業中に堂々と乱入し集団で銃撃してくる。
『殺しの~』の「整合性は後回し」の〈微妙さ/奇妙さ〉は、ラリー・コーエンのクセの強さを知ってると「あー、又やってるな」と嬉しくなってくる。
『ビデオ DE 大発見!』(1990年)の巻末の「ジャンル別ホコリ高き未公開ビデオ・ベスト5」の【サスペンス】に選出されていて知り、随分後に観た。
私が観ている範囲で、奇妙で微妙な「ラリー・コーエンらしさ」を味わえる映画は「脚本のみ」の『フォーン・ブース』(2002/米)と、「監督/脚本」の『地獄の殺人救急車(旧題:アンビュランス)』(1990/米)の2本を推す。
『フォーン・ブース』の予告篇
『地獄の殺人救急車(旧題:アンビュランス)』の予告篇
『殺しのベストセラー』の関連リンク集
海外の評価
「VHSビデオ」と「DVD」のジャケット写真
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