大学ラグビー2021☆プチ観戦記☆早慶戦〜『覇者』と『王者』の誇りを胸に〜
1.『秩父宮』は人の上に人を造らず
暑いのか、寒いのか。それが問題だった。
夫は『バックスタンドなら暑いはず』と言い張りダウンコートを置いていった。たしかに外苑前駅は午前中より強く日がさしている🥵
ふと顔を上げた。
道路向かいにひっそりと立つヤクルトスワローズショップ。今日は入口までごった返しているぞ😳😳
ヤクルトのホーム神宮球場は、大学野球に使われていた。ファン達はここで装備を万端にして東京ドームに向かうのだ👊👊
商店街に翻る旗には、青木、村上、山田など、いつの間にか錚々たるメンバーを揃えていたスワローズのスター達が、下を通る人々に鋭い睨みを効かせていた。
もちろん、真ん中は高津監督だ。伊藤智仁コーチが『抑えには高津もいるので』と発言して話題になったが😅、私世代としては、今日の先発は伊藤でもいい🌟🌟二軍監督の尾花もいいけど。
ヤクルトスワローズvsオリックスバッファローズ
天国では、ノムさんと仰木彬さんが楽しそうに野球談義に耽っているだろうなあ🥲🥲
つい、昔の思い出に心が還るのは今日が特別な日だからか。
11月23日 早慶戦。
この時期は野球ではなくラグビー、会場は秩父宮ラグビー場。
入場口は、早くも赤黒とタイガージャージの人々で賑わっていた。
会場に入ってみると、、
寒い🥶🥶
理由は簡単だ。私の当てたチケットは、バックスタンドではなくメインスタンドだったのだ😳😳
私の『無責任な勘違い』のせいで、夫はキックオフ前からコーヒーを啜り、背中を丸めてブランケットにくるまっていた。夫よ、ごめんなさい🙇♀️
さて、いつものように来てみたが、キックオフ45分前では早かったらしい😳😳
トップリーグでは、この時間ならもう練習が始まっていたのに、大学は違うようだ。
空には白い雲が湧き、青い空と芝の緑が、まさに『青春のコントラスト』を生み出していた。
早慶戦は、早稲田、慶応両校にとって唯一特別な試合だ🌟🌟🌟🌟
もっとも現役部員には『大学選手権も控えているのに、ここにエネルギーを費やすなんてナンセンス』という意見もあるらしいが😅
会場には、早慶OBOGとその子供達、小学校から大学院までの在校生達、教職員その他関係者の方々、OB OG以外の大学ラグビーファン達、で、南スタンド2階までほぼ満席になった😳😳
ここに集った人々は、どちらか、あるいは両校に声援と拍手を送る。ここには
『高校.大学から入っても慶応じゃない(最近は早稲田でも言われるらしい)』
みたいな排他的雰囲気はない。いや、この早慶戦という空間だけが、切ない『私学カースト制』から離れて、全ての人が『等しく母校を愛せる場所』なのかもしれない🥲🥲
誰もが母校のマフラーを巻き、旗を振り、コロナ禍前なら校歌を歌う。誰もそれを揶揄したり軽蔑したりしない。
自由で平等な空間だ🌟🌟🌟🌟
会場は、どこかときめきにも似た華やいだ雰囲気が広がっていた。
2、それは予言⁉️なのか
選手達が練習を始めたのは、一時半を過ぎた頃だろうか。私の目の前には、慶応の部員達がバチバチと体を当てていた。かなり気持ちも昂っているのか、声出しの声が若干上ずっている。
卒業後はほぼ一般就職する慶應。
スポーツ研究最先端の学部を有し、未来の日本代表候補も揃う早稲田。
当然の事ながら毎年早稲田勝利の予想が定説であって、慶応がいかにいい勝負に持ち込むか、というのが早慶戦の流れではある。
前年は11点差。慶応は、後半突き放されたものの、前半から魂のタックルが炸裂して見ている私達を感動させてくれた🥲
今年は筑波と明治に敗れてどうにも調子がでないが、ここでプライドを見せたいところだ。
対する早稲田は、帝京にまさかの敗北を喫していた。その主たる原因となったFW陣の不調が気になるものの、やはり一枚も二枚も上手である事に変わりはない。
私の後ろには、ラグビー経験者の慶応OBシニアの方が座っていた。
50ー12❗️まあ、そんなもんだろう
連れの若い方に、その方は結果をこう予言した😨。もちろん早稲田が50の方だ。
いや、なんてリアルな😅😅
私は、ラグビーに造詣の深いこの方のドンピシャかもしれない予言が当たらないことを祈った。
頼むから、後半も見る気になる試合にしてください🙏🙏
この祈りはある意味外れ、ある意味当たったのだが。
選手が入場してきた。
初めは慶應義塾大学
まるで、子供の卒業式に立ち会うようで涙が出そうになった。
この試合はNHKEテレで生中継されている。日本代表戦中継がWOWOWのみだった事を思うと、この試合は今もスポーツ界の一大イベントらしい😳😳
慶応の部員にとって、早慶戦はラグビー人生の総決算だ🌟🌟出るだけではなく、勝利をもぎ取りたい👊
続いて早稲田大学
河瀬くん、伊藤くん等将来のJAPANを背負うであろう青年達が続々と入場してきた🌟🌟
彼らには、対抗戦グループメインイベント『早明戦』が控えている🌟🌟とはいえ、この試合は特別、もちろん必勝だ👊
98回目の『伝統の一戦』が始まった。
3、『覇者』は覇者の如く
序盤から慶応はボールを繋いで前進を図る。しかし、早稲田の壁は厚い。一進一退の攻防。
ジリジリした鍔迫り合いに決着をつけたのはやはり彼だった。
早稲田FB河瀬くん🌟🌟
どこに防御の穴を見つけるのだろう😳😳その判断力と予測能力は尋常ではない。彼が走り出すと慶応の防御網は一気に揺さぶられた。
このランを起点に早稲田はゴールラインに迫り、最後は一年生のNo.8佐藤くんへ。クルリと回りながらトライ❗️余裕があった😳😳
前半5分 早稲田先制。
早いなあ😨まだ始まったばかりなのに😨😨
慶応は、受けに回る、というか早稲田の突如湧き上がる速いテンポに勢いを削がれていた。昨年は試合開始からビシビシ決まっていたタックルが今ひとつ効いていない。
攻める早稲田、守る慶応、しかしここでもまた事態を打開する『個の力』が均衡を破った。
16分、またも河瀬くんが、右に左にステップを切りながら、まるでマラドーナみたいに慶応の選手を次々抜き去り前を切り裂いた😳😳最後はボールをもらった相良くんがしっかり決めた。
早稲田2本目のトライ❗️
私の周りは慶応ファンが多かったが、早稲田怒涛の攻撃に唖然とするばかりだった。
しかし、慶応も負けていない。
25分、早稲田のペナルティを機に敵陣へ。ラインアウトからモールで一気に押し込もうとする。モールは崩れないで前進🌟🌟
押し込む❗️押し込む❗️押し込んだ🌟🌟
慶応この日始めてのトライ🌟🌟
判官贔屓、ではないが、慶応のトライに観客は暖かい拍手を送った。
来てよかったなあ☺️☺️
このトライで早くもお腹はそれなりに一杯だった💐💐
しかし、、ここから早稲田は猛然と反撃に出る。
28分、早稲田は慶応のディフェンスをジリジリと押し下げていく、できた穴から早稲田HO原くんが一直線にスパート😳😳誰も追いつけずそのままトライ🌟🌟
原くん、FWだけど結構足が速いのかな😳😳
その後慶応にはミスが続いた🥲
慶応のパスミスから地面に転がり出たボールをSO伊藤くんがうまく蹴りながらそのまま前進😳😳俊足を利かせ、ボールをもう一度前に蹴った😳😳😳
伊藤くん、サッカー経験者⁉️それはドリブルに近かった😳😳イニエスタの如く独走🌟🌟🌟
しかも、最後は弾んだボールをそのまま胸に受けて一気にポールど真ん中にトライ🌟🌟🌟🌟🌟🌟凄すぎる❗️❗️❗️
伊藤くん、異次元の運動神経😳😳😳😳
そして前半終了間際、早稲田は慶応のペナルティーから敵陣でのラインアウト、そのままモールで押し込みNo.8佐藤くんがトライ🌟🌟🌟
前半終了
35ー5 なんと30点差😨😨😨😨
もしかして、『あの予言』は当たってしまうのか⁉️かなり近づいているぞ😨😨当の『預言者』の方は、
『参ったなあ、、』
と困り果てたように呟いた。
私たちの周りにはあの時ため息だけがあった🥲
4.『陸の王者』は諦めない
突き放す早稲田
追う慶応
後半が始まった🌟🌟
開始早々、早稲田SO伊藤くんが自陣ゴール前でボール処理を誤りノックオン。
慶応ボールのスクラムで早稲田がペナルティー
ここで敵陣深く侵入した慶応は、ラインアウトから前半同様モールで押し込む作戦に出た。
今度も入るの⁉️はいるの⁉️入ったー‼️
慶応2本目のトライ🌟🌟🌟🌟
ラインアウトからのモール
大学ラグビーやトップリーグ、代表の試合でも見てきたけれど、入る時は入るし、ダメな時は全然ダメ。なにがコツなのか初心者には謎すぎる戦術だ😳😳😳
慶応の攻撃は止まらない。
後半13分、またも敵陣でのマイボールのラインアウトからのモール作戦
そんな、同じ戦法通用するの⁉️さっきと全く同じだよ😳😳😳
しかし、慶応は押した。止まったり倒れなければOKらしい。最後は2人となってそのまま突っ込んだ🌟🌟🌟🌟
慶応3つ目のトライ‼️‼️
なんとなく、だが点差が詰まってきた。
しかし、早稲田は突き放しにかかる。
あの『怪物』伊藤くんは足を痛めたのかベンチに下がっていた。既に後半開始早々にキャプテン長田くんも下がっている。早稲田はここが正念場だと分かっていたのだろう。
怒涛の前進だった。松下くんの好プレーを起点に、河瀬くんの個人技を足掛かりに攻める早稲田。必死に守る慶応だったが、早稲田のスピードと粘りが勝った。宮尾くんが倒れながらねじ込むようにトライ🌟🌟🌟🌟
これで、試合の帰趨は決した、と誰もが思った、そしてそれは間違いではない。
しかし、勝敗と勝負とはまた別種のものだ。
75分、早稲田のペナルティー、中楠くんはもちろんボールを蹴り出す。もうこの時から会場には一種のどよめきがあった。
慶応がこれから何をやるのか、まるで芝居のロングラン公演のフィナーレみたいに観客全員が知っていたからだ😳😳😳
ラインアウト、そして、モール、
そして、トライ❗️‼️
『毎回一緒だけど、、それでいいんだ❗️』後ろの方でこんな声が聞こえた。
『2トライ2ゴールで追いつくぞ❗️』驚きにも似た声も聞こえた。
この時間帯でそんなことはありえない、が、しかし、まだ何かが起こりそうな予感に会場はますます高揚した雰囲気に包まれた。
フィナーレは、フィナーレに相応しい結末だった。
終了間際、争奪の末ボールを奪った慶応は前方に柔らかいキックパスを送った。
ドンピシャで追いついたのは慶応鬼木くん。
鬼木くんは走った❗️走った❗️内側に大きく切り込んで早稲田の選手をかわす❗️もう誰も追いつけない❗️
慶応、会心のトライ🌟🌟🌟🌟
そして中楠くんは、慎重に、しかし確実にゴールを決めた。
ノーサイド
40ー33 早稲田大学勝利🌟🌟🌟🌟
1トライ1ゴール差、予言は外れたのだ☺️☺️☺️
後半、自分達の出来ること、やるべき事に徹した慶応の大健闘に、早稲田のファンも拍手を送ってくれた。
私達慶応ファンも、個々のクオリティーの高さを存分に見せてくれた早稲田の選手達に賞賛の拍手を送った。
前半の慶応、後半の早稲田は、大学選手権を見据えたら『反省てんこ盛り』の内容だったかもしれない💦💦
しかし、ここに、あるいはテレビの前に集ったファンの心を最後まで惹きつけたこの試合は、伝統の一戦らしい、のかもしれない。
早稲田、慶応、それぞれの選手達が観客に一礼する姿は、80分間青春を燃やした若者だけが持てる美しい後ろ姿だった。