ラグビー観戦記🏉8/5・日本代表vsフィジー代表〜「AY-OH」フランスに咲け🇫🇷〜
1.Ole❗️外苑の杜
(Ole スペイン語、ポルトガル語の掛け声。スポーツ応援では『行け!』『進め!』の意で使われる。)
暑い🥵
この日も、東京の最高気温は36℃と予想されていた。しかも迷走中の台風のせいか強い風が吹く💨
熱風に巻かれ、何度も日傘をひっくり返されながら、私と夫はJR千駄ヶ谷駅前に到着した。
赤🟥、オレンジ🟧、赤🟥、、駅前の横断歩道は、なんとも暑苦しい色に埋め尽くされている。
この日国立競技場は、J1名古屋グランパスのホームゲームとして、アルビレックス新潟戦が予定されていた。
あえて詳述しないが、先日の天皇杯で、名古屋サポは『あり得ない災難』に遭遇している。
そのせいもあってか、この日ホテルのチェックインの列に並ぶ名古屋サポと新潟サポは至極円満に時を過ごしていた。
ホテルのロビーは賑やかだった。
床を転げ回る可愛い新潟サポはまだオムツをつけている。空のペットボトルを何度も振ってスポーツドリンクの雫を舐める名古屋サポの少年は既に汗だくだ。
ベビーカーにぶら下げたコンビニ袋は冷たい飲み物がパンパンに詰まっている。三世代で上京したのか、おばあちゃんが飛び跳ねる孫の手をギュっと握りホテルを出て行った。
世の中はもう夏休みなのだ。
向かいに建つ灼熱の『聖地』は、既に
『鯱の大祭典』
と銘打った祭の高揚感に包まれ賑わっていた。
およそ体力も根性もない私と夫は、『聖地』参戦に向け、部屋でエネルギーチャージすることにした。まだ時間は十分にある。
キックオフは19時過ぎ、といっても、
私達が観に行くのはサッカーではない。
目指す聖地は『秩父宮』、観に行くのは、ラグビーだ❗️❗️
2023年8月5日 リポビタンDチャレンジカップ2023 パシフィックネーションズシリーズ 日本代表vsフィジー代表@秩父宮ラグビー場
『今、スッゲー強いっす。』
ラグビー経験者の部下は、この前日夫にフィジー代表をそう説明していた。
フィジー共和国
四国とほぼ同じ面積に、92万人(東京都世田谷区の人口とほぼ同じ)の人々が暮らす島国。
1874年英国の植民地となり、1970年に独立、一時英連邦を離脱するも再加盟して今日に至る。在留邦人は約350人、日本には約300人のフィジー人が暮らしている(2022年現在)。
この南洋の島国もこんなに暑いのだろうか🥵
先週対戦したトンガ代表は
『トンガはこんなに暑くない』という趣旨のコメントを残していたが、、
日は傾き始めた。
窓の向こうに見える国立競技場から、急に陽気な音楽が大音量で流れてきた。そしてあの『大熱唱🔥』が、、
これはもしかして、、😳
『オレーー、オレーー、♪♪♪.マツケンサンバー❗️』
おお、あの『マツケンサンバ』😳😳が❗️
愛知県豊橋市出身の『マツケン』こと松平健さんが、郷土のチーム『グランパス』のためにスペシャルパフォーマンスを披露していたのだ⭐️⭐️
外はまだ30℃を超えているというのに、御年65歳のマツケンは、あのキラキラ紋付に身を包みノリノリに歌い踊っているのか、、
『そろそろ、出ようか。』
私と夫は、マツケンのプロフェッショナルな気迫に圧された、という訳ではないが、秩父宮ラグビー場に向けてホテルを出た。
赤とオレンジがひしめく国立の敷地を、赤白ジャージで横切るのは、なんとも肩身が狭かった。
愛知❤️と新潟🧡
ここに集う人々は、それぞれの郷土への愛に心地良く身を浸していたのだ。スタジアムでは、既にゴール裏サポの凄まじい応援が始まっていた。
2.🌸SAKURA🌸の大祭典🌸
国立の敷地を抜けると、途端にそこは私達の『ホーム』だった⭐️⭐️
赤と白、胸に刻んだ3つの桜🌸
赤白ボーダーの日本代表ジャージに身を包んだ人々が、遠く外苑前駅から群れをなしている。本当にこんな人数が、あの昭和レトロなスタジアム『秩父宮』に入るのだろうか⁉️
もはや恐怖を覚えるレベルの人混みが私達の眼前に入道雲の如く迫ってきた😨
ふと、群衆の中に、カーキ色の短パンをはいた『どこかで見覚えのある』男性を見つけた。数人と連れ立って横断歩道を渡ろうとしていた。
『⭐️堀川さんだ⭐️』
私の応援する静岡ブルーレヴズの堀川隆延アシスタントコーチは、端正な面差しに柔らかな笑みを浮かべながら横断歩道を渡っていった。スポーツ誌の連載記事執筆のためにいらしたのだろうか。
入口から赤白の人々に埋め尽くされた『ラグビーの聖地』は、大食い選手権の如く彼らを場内へとガンガン飲み込んでいた。
ここまでラグビー日本代表(以下、ジャパンと表記)は、先月から連続するテストマッチ(国際親善試合)に苦戦続きだった。
ここまで1勝3敗🥲
この日の試合が、W杯2023フランス大会前に国内で行う最後のテストマッチだった。
どう戦うのか、いや、ファンの本音を言えば、今度こそ気持ちよく勝てるのか⁉️
スタジアムには、ファンとラグビー関係者達の不安と期待が渦巻いていた。
既にジャパンは練習を始めていた。
注目は、なんといってもこの日の7番ラブスカフニ選手(ラピース)だ⭐️⭐️怪我からの実戦復帰がこの日ようやく叶っていた。頼もしいラピース🌸の姿に、多くのファンが声援を送り、カメラやスマホを向けていた。相変わらず女性ファンの人気も絶大だ⭐️⭐️
フィジー代表も練習を始めていた。
大きい😳❗️しかも手足が長い❗️
二所ノ関親方にスカウトしたいくらい縦にも横にも大きな選手が、俊敏な動きで軽快にボールを捌いている。
この日のメンバーは既に発表されていた。国内テストマッチ最終戦ということもあり、これは鉄壁のメンバーだ⭐️⭐️
https://twitter.com/jrfumedia/status/1686931167579443200?s=46&t=6HF12W27Rr9kGH8Ea-4NTg
期待の若手長田さん、今絶好調のファカタバさんもスタメン入りしている。もちろん控えには、ラスボス堀江さんを始め流さん、中村さんといった頼もしいW杯2019メンバーが入っている。 前々戦レッドカード🟥を貰ったリーチはまだいないが、ここにラピースが加われば、、
会場は、期待と心地よい緊張、テストマッチという『祭』の華やいだ雰囲気に包まれていた。南スタンドはもちろん、立ち見席までぎっしりと埋まり、まさに【赤と白、桜🌸の大祭典🌸】が始まろうとしていた。
いつの間にか日は落ちていた。
夕涼み。
昼間の猛暑はすっかり収まり、心地よい風が吹いていた。
夕闇が迫る中、ジャパンは隊列を組みグラウンドを後にする。
キャプテン姫野さんを先頭に、ジャパンには緊張がみなぎっていた。見渡す限り赤白の祝幕に囲まれ、無数の桜が咲き誇る秩父宮、
どんな試合をすべきか、
彼らが一番分かっていたはずだ。
選手達の去ったグラウンドには、自衛隊音楽隊と両国の旗が翻っていた。
バンパンパン💥パンパンパン💥長い筒から花火が次々と空へ打ち上がる。
両国の選手が入場する。
両国国歌が演奏された。
迷いなく周りは歌い始める。リーグワンのプレーオフファイナルでは、まだ歌うことに躊躇う人が多かった。
かつての日常が、スポーツの世界に戻っていた。
サッカーなら、早々に試合が始まるだろう。
しかし、ラグビーでは、フィジーを含む4カ国に認められた『伝統的文化儀式』がある。
フィジーの選手達は半円を作った。
ジャパンは肩を組み一列に並んだ。
シビ🇫🇯が始まる🔥🔥
フィジーの選手達は声を発し、足を踏み鳴らし、拳を突き上げた。
最後にピョーンと跳ね上がるのが、『シビ』の特徴だ。
フィジー戦士達へ観客の拍手が、次いでジャパンを激励する手拍子が場内に響く。
W杯まであと1ヶ月余り、15日にはメンバーが発表される。
選手達にとって、まさに最後の『テスト』マッチが始まった。
3.前半〜悪夢〜
フィジー強いっす🇫🇯
この言葉が大袈裟ではない事はすぐに分かった。
速い😳😳
7人制ラグビーが盛んなフィジーは、東京五輪で金メダルを獲得していた。
ボールを持った瞬間、トップスピードで突っ込んでくる🔥しかも、ジャパンのディフェンス網に躊躇なくストレートに突っ込んでくる。
しかも強い😳😳
鋼鉄の如き肉体を容赦なくぶつけてくるフィジー戦士達は、その度にジャパンをジリッ、ジリッと後退させていく。
ボールは右へ左へ目まぐるしく動き、その度に激しい衝突の攻防が起こる。
ラグビーの魅力とは?
この時ならすぐ答えられた。
それは、格闘技に等しいスリリングな体と体のせめぎ合いであり、サッカーをも凌ぐスピーディーな攻撃スタイルだ🔥
そして、
ゴールラインにボールごと飛び込むトライの美しさ、、ではあるが、
それを開始早々見せてくれたのは、フィジー代表だった🥲
前半3分、動きの激しい攻防の最中、僅かな綻びからフィジーは一気に抜け出した。ピタリとサポートの選手が併走し、私達は快走するフィジー選手の独走を呆然と見送るしかなかった。
フィジー トライ⭐️CGも成功。
0-7
フィジーは攻守共に洗練されていた。今日は中々面白い試合になりそうだ🔥
そんな見通しを根底から覆すアクシデントが起こったのはこの直後だった😨
ファン、ラグビー関係者、おそらく試合を放映していたテレビ関係者にとっても『最悪』の事態が起こってしまったのだ。
それはフィジー攻撃の最中、いつになく強い主審の笛が鳴った。フィジーの選手が倒れている。
すぐに主審は手で四角を作った。TMO だ😨
ジャパンのタックルは相手の顎にヒットしていた。その瞬間、明日のジョーのワンシーンの如く飛沫が高く舞い散った。
ハイタックル😨カードが出るのは間違いない。問題は色だが、、
主審はポケットに手を入れカードを取り出した。ジャパン7番へ歩み寄りそのカードを掲げた。
色はレッド🟥=退場😨😨
しかもカードを示されたジャパン7番は、あのラピースだった😨😨😨😨
悲鳴、吐息、どよめきが会場を渦巻いた。
まだ、前半10分も経っていないのに、ここからジャパンは14人で戦うのだ😭😭しかもラピース抜きで❗️❗️
前半の秩父宮は『気まずい静寂』に満ちていた。
もちろん、観客はJ1某チームサポみたく『怒りの応援拒否』をした訳ではない。
一言で言えば、
『しょんぼり😞』
してしまったのだ。
ジャパンの覇気満ちる攻撃、鬼気迫る防御、、観客一人一人の思い描いていた夢が、一瞬にして崩れさった失望感、しかもラピースはもういない、、
どうにも沈んだ雰囲気の中、フィジーは容赦しなかった。ラピースを欠いたジャパンのスクラムを押し込み優位に立つ。
14人で戦うジャパンには、どうしても無理が出る。期待のファカタバさんは怪我で交代、ムーアさんも肩を押さえ顔を顰めながらもプレーを続ける。
フィジーは、この後ジャパン陣内でのスクラムを機に2つのトライを奪う。ジャパンは松島さんや長田さん、マシレワさんが再三突破を図るもフィジーの防御を突破できない。
前半終了 0-21
観客はホッとした様にバラバラと席を立った。あまりに辛い前半だった😞
4.後半〜ça ira❗️桜の戦士達よ🌸
緊急事態は、選手交代にも影響がでる。
いつもなら後半20分過ぎから登場する『ラスボス』堀江さんも.後半開始からメンバーに入っていた。SH流さんも入る。
ハーフタイムに申し合わせはできたのだろう。
ジャパンの動きに勢いが戻ってきた🔥
流さんはボールを早く動かしチームを押し上げていく。
これはサインプレーだったのだろう。
ジャパンボールのラインアウト、堀江さんの投げたボールは長く伸び、走り込んだ松田さんがキャッチ、素早いパスを重ね一気に前進する🔥しかし、パスが途切れてトライに至らない🥲
このジャパンの勢いは、逆にフィジーの闘志にも火をつけたらしい🔥。
フィジーの怒涛の攻撃が始まった😨😨
が、しかし、、
後半失速しがち、というのがフィジーの課題らしいが、57分に4本目のトライを決めている。さらに、、
この後重ねた3トライ、それは称えられるべき美しい攻撃だったが、いずれもTMO が入り、結果ノートライの判定となった😳映像の力は良くも悪くも試合の流れを左右する。
【ノートライ】
その度に秩父宮全体に安堵の吐息が漏れた。といっても、それは胸を撫で下ろしただけであって、およそ胸高鳴る状況ではない。
秩父宮は依然『沈みがち』のまま、試合時間残り10分になろうとしていた。
一つのプレーが、会場の雰囲気をガラリと変えることがある。
パスを受けた長田さんは、ススッ、ススッ、と軽妙にフィジーのディフェンスを次々振り切り、ゴールラインに向け疾走した。
ウォーーーーーーッ❗️❗️行けーーーーーーっ❗️❗️
それは地鳴の様な、悲鳴の様な、あらゆる声が秩父宮に響いた🔥🔥
これがサッカーなら
『長田ミドルシュート❗️ゴール❗️ゴラッソ❗️』
となりそうなところだが、ラグビーは基本ゴールラインを人とボールが越えなければならない。
長田さんをサポートする選手が足りなかった。ゴールライン寸前で捕まり、ボールは手からこぼれてしまう。
ジャパン ノックオン🥲
しかし、秩父宮はこれで一気に勢いづいた🔥
エーオ❗️(エーオ❗️)エエオー❗️(エエオー❗️)
スタジアムMCのコールに観客が応える🔥
サッカーはオーレ⚽️、ラグビーはエーオ🏉らしい。
これは、Queenのライブでお馴染みの《コール&レスポンス》だと後日知った。
ジャパンの躍動は止まらない🔥
フィジー陣内ジャパンボールのスクラム。
流さんからナイカブラさんと一気にボールは繋がる🔥中村さんのサポートを介しナイカブラさんはゴールラインにスーッと飛び込んでいった🔥🔥
秩父宮は弾ける様な歓喜に沸いた⭐️⭐️
ジャパンこの日はじめてのトライ⭐️⭐️CGも成功⭐️⭐️
7ー28
さらにジャパンの攻撃は続く。ボールは左に右に次々と渡り、最後は大外左で待つマシレワさんへ。ディフェンスをかわしながらゴールライン左隅に飛び込んだ🔥🔥
ジャパン二つ目のトライ⭐️⭐️CGは不成功。
12ー28
残り時間はもうほとんどない。
しかし、、
このまま試合は終わらなかった。トライに歓喜するスタンドの興奮が冷める間もなく、フィジーは走り出した。
80分のホーンが鳴った。が、彼らは走り続ける。
ほんの僅かな防御の綻びだったのか、、
スルリとジャパンのディフェンス網を突破したフィジー、脇にサポートの選手は複数揃っていた。私達は再び茫然とした😨
フィジートライ、CGも成功。
試合が終わった。フィジーの選手達はその場に座り込んだ。
完敗、といっていい。
両国選手達は互いの健闘を労った。私達も拍手て彼らを称えた。
千駄ヶ谷へ向かう赤白の人並みは皆言葉少なだった。国立から外苑前駅に向かうサッカーサポ達もなぜか黙々と歩いている。
ジワッと汗が滲んできた。真夏のスポーツ観戦は、帰りに疲労がドッと噴き出すらしい。
赤白ジャージに身を包んだ人々と、赤もしくはオレンジのユニを着込んだ人々は、互いに怪訝そうな視線を送り合いながら、それぞれの結果に思いを馳せていた。
〜あとがき〜
衝撃のオープニングで幕を開けた国内最後のテストマッチ。あのお通夜を思わせる沈んだ秩父宮は、選手達にとってまさに『針の筵』だった事でしょう。
苦しい時こそ応援する、
それはわかっているのですが、あの時、私を含めてファンは行動に迷っていました。
『良いプレーには拍手をしましょう』永らく中立応援をマナーとされてきたラグビーファン達。今回秩父宮を埋め尽くした22000人は、そこに存在するだけでも十分『応援している』とは思いますが、もう少し選手達のためにできることがあったのではないか、そんな思いが残りました。
試合は完敗でしたが、本番は全く別物。サッカー男子日本代表も、現在躍進中のなでしこジャパンも、まさに本番に調子を合わせてきました。
ça ira❗️きっと上手くいく❗️
ラグビー日本代表の活躍を信じています❗️
(ça ira =サイラ=フランス語 フランス革命時代の流行歌 『きっと上手くいく』の意味)